「ロスト・フライト」の感想

町中華に行って、ラーメン定食を頼んで、それが出てきて、それを食べて、いつも通り美味しいなって思った。
ジェラルドバトラーはいつも通り頼れるリーダーをやっていた。

内容を一文にまとめると、「ヤバい島から脱出する話」だった。
島のヤバさには任意の要素を代入すればよくて(怪物とかゾンビとか)、今回はそこに反政府組織が代入されていた。

ハッピーエンドで終わったんだけど、「ラッカは静かに虐殺されている」を見たあとだと、この話の一番の被害者であるはずの、「住んでいた島を反政府組織に占拠されてしまった島民達」に全く触れないことが気になってしまった。

ただ、これはあくまで脱出する話であって誰かを救う話ではないので、その部分を期待するのはお門違いではある。彼はヒーローではなくキャプテンなんだから。

当然始まるであろう乗客達が機長に恨み言を言うくだりは潔癖男が一手に担い、それを周囲が非難する形で極限まで簡素化されていた。
乗客は聞き分けが良いし、殺人犯もすんなり仲間になるし、副操縦士はちゃんと飛行機を直すし、救助隊もめっちゃ強い。
主人公の足を引っ張るようなキャラや展開が全くなく、トントン拍子に進行していくのでノンストレスで見れた。これはマジで良い。

本当にスルスル進んでいくんだけど、そのせいで必要な引っかかりまでスルーされちゃってない?と思うような点もあった。

それがキーキャラクターであるはずの殺人犯ガスパールの扱い。
彼があまりにすんなり仲間になってしまうのはまあ良い。ちょっと笑っちゃったけど、でもその展開は予告でも明かされてるくらいだし、見せたいのはそこじゃないんだろうと思う。

自分はてっきり、この映画が見せたいのは、仲間になった彼が「護送中の殺人犯」に戻る瞬間なんだと思っていた。
力を合わせて脱出間際まで来たけど、このまま脱出を成功させた場合、自分は刑務所に入れられる。みんなにとっての脱出成功は自分にとってはゲームオーバーを意味する。その板挟みの状態での彼の葛藤が肝になるのだろうと。
しかし彼の決断もスルスルと消化されてしまっていて、じゃあこの話は何だったの?となってしまった。
マジでかっこいいジェラルドバトラーを見せたかっただけ?

まあでも確かに、マッチョさが抑えられ、責任感のあるプロフェッショナルとして映されるジェラルドバトラーはかなりカッコ良くて、ジェラルドバトラー映画の中ではかなり好きな方だった。

その他、細かな感想。

・エンドオブシリーズでは彼の帰りを待つ存在として妻が配置されていたけど、今回は娘になっていた。時の流れを感じる。

・ガスパールが捕虜を木陰に連れて行って、銃声が聞こえて、ガスパールが1人で帰ってきて、主人公はそれをコックピットから見ていて、2人の目が合って、主人公が何も言わずに自分の仕事に戻るシーンが良かった。「仕方ねえよな」っていう、お互いやらなきゃいけないことを分かってる感。

・娘側がビデオレターを送ったところでちょっと笑った。そっちが伝言を残す展開とかあるの?普通死地にいる側が残さない?

・スナイパーライフル?の威力が高過ぎてすげーって思った。

・最後のタラップに座り込むカットがカッコよかった。

・ガスパールの犯した犯罪は、彼の境遇がそうさせたのだというようなエクスキューズがあった。これは彼が最終的に下した決断(境遇をリセットしてもう一度生き直すぜ)と相まってかなり良い描き方だと思うんだけど、じゃあなおさら1番酷い境遇にいる島民達に触れたりはしないのか?いやまあこれはお門違いな期待なんだろうけど。

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