2023年3月29日(水) Day 1
「桜の樹の下には屍体が埋まっている」と言ったのは梶井基次郎だが、自分も基次郎ほどにはペシミストであり、小説が書かれた1928年当時に彼が感じた「透明な」不安が頭から離れない。
自分は「桜」が得意ではない。「綺麗だな」とは思うが、要するに「人の熱狂」のようなものが好きではないのだ。とはいえ今回の「旅」の目的は明確に「桜」であり、今年に限っては桜の開花情報に目を配ってきた。SNSでは多くの桜の写真がアップされ、関東ではそろそろ満開の時
木戸駅と
2023年3月30日(木) Day 2 その1(朝)
朝5時半、すでに労働者同志は食堂の席に着きそれぞれが無言で朝食を取っている。食堂の入口付近に、空腹に耐えかねた中学生男子がひとり、おどおどと中の様子を伺っている。このホテルでは今まで巡り合ったことのない宿泊客だ。
1.5キロほど先にあるJヴィレッジはサッカー複合施設なのだが、合宿なのか試合なのか、少年たちはこの地を訪れたのだと思われる。 国際試合に対応するJヴィレッジだから施設内のホテルは高額であり、近隣の広野か木
大野駅から夜ノ森駅へ
2023年3月30日(木) Day 2 その2
今回は超望遠レンズと三脚も持参してきたのだが、とりあえずそれらを富岡のホテルに預け、10時57分発の特急で大野に向かうことにした。大野は富岡から二駅だけだが次の発車は2時間後の12時57分なので、他に選択肢はないと考える。特急料金は660円。
大野駅と大熊町役場と
11時05分大野駅着。小さな無人駅だが、ここでは必ず何組かの乗客が降り、そして必ず「迎えの人」が待っている。
大野駅は大熊町にあり、福島第一原発の最寄り駅だ
富岡駅と
2023年3月30日(木) Day 2 その3
一度ホテルに戻り荷物を整理する。ここも2階建の単身者用アパートのような外観の労働者向けビジネスホテルである。
富岡駅は海岸線から500メートルとほど近く、津波に流された駅舎の写真で知られている。自分はその壊れた駅舎を見ていない。
震災から常磐線全線運行再開までの道のりをまとめる。2014年6月に避難指示解除準備区域にあった広野〜竜田間の運行が再開、2015年1月末には第一原発周辺の帰還困難区域を通過して竜田駅から原ノ
そして、夜ノ森駅と
2023年3月31日(金) Day 3
6時02分富岡駅発下り始発。首都圏で始発電車がこの時間に走り出すことはない。もちろん浜通りの朝はすでに始まってはいるのだが、要するに車で移動することが前提だ。
最終日、夜ノ森に桜を撮りに再訪する。自分もプロの「カメラマン?」ではあるので、フォトショップを使わなくても車や人が無い写真は撮れるのである。
しかし問題は「桜」とは何かというところにある。ゲームセンター「理想郷」看板も上田屋商店の「桜並木」の看板も、次に来たとして、も