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#37 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第24話「磁限爆」

 地下ちかから瓦礫ガレキがガラガラとくずれていくおとあとにし、アレックス・ブルガントとソルマン・ノルスタインは地下ちか階段かいだんがってった。そしてマクシム連合れんごうシカゴ支部しぶ支庁しちょう懲役房ちょうえきぼうとお地上ちじょう0かい到達とうたつした。するとそこにはアレックスがおもえがいていた最悪さいあくのシナリオがまえひろがっていた。

ノルスタイン「だれも…いませんね…」

アレックス「…最悪さいあくだぜ…死体したいまったくねぇ…!!」

 周囲しゅうい見渡みわたしても、らされた室内しつないはんしてだれ死体したい地面じめんころがっている様子ようすかった。

ノルスタイン「1かいか2かいがれば…死体したいくらいつかるかもしれませんよ?」

アレックス「馬鹿バカか?…死体したいつけるのが目的もくてきじゃねぇんだよ……こんな大掛おおがかりな計画けいかくしておいて死体したいひとつもころがってねぇのが不自然ふしぜんだってってるだけだ」

 そしてアレックスは早足はやあし玄関げんかんまであるいてき、いきおいよくとびらけた。

 するとそこには幹部かんぶのスティーブンがレスリー・コーナーと褐色かっしょくはだおとこ対峙たいじしている光景こうけいだった。

アレックス「……ヘイ、スティーブン…」

 アレックスはわずかながらいかりにくちびるふるわせ、言葉ことばしぼした。そのこえいた周囲しゅうい適能者デュナミストたちはハッとかえり、モーゼの十戒じゅっかいごとくアレックスのまえみちつくった。

スティーブン「!……ボス?」

アレックス「テメェにはオトリとしてここであばまわってまちをメチャクチャにしろってつたえておいたはずだったよな?」

スティーブン「それは…地下ちかからがって囚人しゅうじんども邪魔じゃましてきたことで、内部ないぶ崩壊ほうかいさせる計画けいかくができなくなってしまって…」

アレックス「わけはそれだけか?」

スティーブン「!?」

 いかりにふるえているアレックスをてスティーブンはかおさおになっていた。周囲しゅういにいたブルガントだん団員だんいんたちかおあおざめていた。

住人じゅうにんA「ヘイヘイ!勝手かってなことばかりしやがってブルガントだん親玉おやだまさんよ〜!!」

住人じゅうにんB「これ以上いじょう俺達おれたちあいしたこのシカゴの都市まちらすってんなら!俺達おれたちはシカゴ市民しみん名誉めいよにかけて!!断固だんこたたかうぞ!!」

住人じゅうにん「そうよ!!ここは私達わたしたち都市まちなのよ!!この都市まちきらいだったなら、とっととってちょうだい!!」

 住人じゅうにんたち次々つぎつぎ大声おおごえはっして、てるよう怒声どせいひびわたった。そのいかりのこえ一身いっしんびせられたアレックス・ブルガントはいかりにかおゆがませた。

アレックス「…だまれよ……!!」

 ちいさくともいかりにふるえたこえでアレックスは言葉ことばしぼした。しかし、そんなこえまった人々ひとびとみみにはとどいていなかった。

アレックス「だまれつってんだろうが愚民ぐみんどもがッ!!!」

 アレックスのいかりにあふれた一言ひとこと周囲しゅうい人達ひとたち一瞬いっしゅんだまらせるほど轟音ごうおんとなって、あた一面いちめん騒音そうおんした。

アレックス「テメェら全員ぜんいんこうなったら皆殺みなごろしにしてやるよ!!!」

 アレックスはそううとポケットのなかからちいさなケースをし、そのなかからくすりのカプセルをした。そしてそのカプセルをアレックスは全部ぜんぶくちなかほうんだ。

   ゴクッ!!

アレックス「…はぁ…はぁ……」

ブルガント団員だんいんA「ボ…ボス?…そんな一気いっき霊昇麻薬ギアルステロイド摂取せっしゅしたりしたら…!!」

ブルガント団員だんいんB「いのちかかわりますよ!!」

アレックス「うるせぇよ…テメェらもあといまこのでブチころしてやんだからしずかにしてろや」

ブルガント団員だんいんたち「「「え??」」」

 アレックスのはなった言葉ことばに、ブルガント団員だんいんたち愕然がくぜんとした表情ひょうじょうかべていた。しばらだまったのち、そのなか一人ひとりようやくちひらいた。

ブルガント団員だんいんB「…は…はは…ハハハハハハ!…ボス?こんなときにユニークな冗談ジョークらないですよ?」

ブルガント団員だんいんC「そ、そうっすよ!俺達おれたちまで皆殺みなごろしの対象たいしょうだなんていてませんでしたよ!」

アレックス「そもそもこまるんだよ…この都市まち秘密ひみつっちまってる連中れんちゅうがこんなにいること自体じたいがな…しかもそいつらはそろいもそろって役立やくたたずの愚図グズばかり…」

ブルガント団員だんいんD「そ…そんな…」

アレックス「まぁ安心あんしんしろよ…そんなテメェらにも存在そんざい価値かちあたえてやったんだ…おれ見出みいだしてやらなきゃきる価値かちいゴミになってたんだからよ」

 そんな言葉ことば項垂うなだれているブルガントだんうしろででっかいこえかえ少年しょうねんがいた。

源太げんた「バッカじゃねぇのオッサンたち!!」

 するとブルガントだん団員だんいんたちこえぬしほういた。そこには猿渡さわたり源太げんたかた如意棒にょいぼうかついで仁王立におうだちしていた。

源太げんた散々さんざんこの都市まちらしまくって!!ひと生命いのちうばつづけたクセに!!なになみだながしてんだよ!!本当ほんとうきたいのはコッチだろ!!」

 源太げんたしめしたところには、この都市まちまもためたたかっていたシカゴ市民しみんみんなであった。

源太げんた「しかもアンタにいたっては自分じぶん計画けいかく全然ぜんぜん上手うまくいかなかったからって仲間なかまころそうとするなんて!世界せかいがどうとか、まわりがどうとか以前いぜんにアンタたちって人間にんげん馬鹿バカなだけじゃねぇのかよ!」

アレックス「なんだと?」

レスリー「…ふふふ…ってくれたよ源太げんたくん!そのとおりだよ!この社会しゃかい不完全ふかんぜんであるのはたしかな現実げんじつだ!しかし!」

 レスリー・コーナーが源太げんたかたいて、まえた。

レスリー「そもそも我々われわれ人間にんげんうのは不完全ふかんぜんものであるはずだ!適能者デュナミストであろうが、無適能者アンチステージであろうがみんなおなじだよ、そこには人種じんしゅ国籍こくせき性別せいべつ年齢ねんれい関係かんけいい」

アレックス「資本主義しほんしゅぎいぬ言葉ことばだな」

レスリー「そうだな…人間にんげんみなまれながらに平等びょうどうではない…これはらぎようのないこの世界せかい現実げんじつだ…しかしそれでもなんとかしてそのきびしい現実げんじつたたかってきたものたち大勢おおぜいいるんだ」

 レスリーはアレックスのまえあるいていった。

レスリー「アレックス・ブルガント…残念ざんねんだがおまえ正義せいぎおれにはまった理解りかいできない」

アレックス「理解りかいできない?」

レスリー「おまえ正義せいぎ結局けっきょくのところ、ただのひとがりだ…だれかのためにやっているつもりでも最終さいしゅうてきには自分じぶんためでしかない…いずれにせよ…」

 レスリーは一呼吸ひとこきゅういてつめたくはなった。

レスリー「そんなものを我々われわれみとめはしない」

アレックス「だったらよ…お前等まえらしんじるその資本主義しほんしゅぎってのをまもってみろよ」

 アレックスはむねポケットからカプセルをし、自分じぶんくちなかにそれをほうんだ。

源太げんた「あのくすりまさか!!?」

レスリー「どうした源太げんたくん?」

アレックス「なん小僧こぞう?このくすりってるのか?」

源太げんた「そのくすりをどこでれたんだ!!?ソイツはインディアナしゅう極秘ごくひ実験施設じっけんしせつでしかはいらないはずだぞ!!」

レスリー「!!?一体いったいどういうことだ!!?」

アレックス「そうか…マッカートニーのヤツってた施設しせつから逃亡とうぼうした実験体モルモットってのはおまえのことだったのか…こりゃおまえ生捕いけどりにしておけばマッカートニーの野郎ヤロウにもうひとしをつくることができるな」

レスリー「なにをごちゃごちゃっている!そのくすりってのはなんだ!!おまえ一体いったいなん秘密ひみつまもっている!!?」

光男みつお人体じんたい実験じっけんだよ」

 アレックスの背後はいご建物たてものからこえこえてきた。そこには藍川あいかわ光男みつお竜賀りゅうが、ルーカス、メリアンの四人よにんっていた。

アレックス「なんきてたのかよ」

 ノルスタインが四人よにんちはだかってアレックスをまもっていたが、それを無視むしして光男みつおつづけた。

光男みつお「さっきアンタのスパイをやってたウイリー・べドナーがまったおんなじモンを使つかっていたよ…一時いちじてき適能者デュナミスト伽霊能力ギアルスキル活発かっぱつさせてしまう薬物やくぶつたし名前なまえは“霊昇麻薬ギアルステロイド”だっけか?」

アレックス「そうか…ウイリーのヤツはしくじったのか…」

光男みつお「どんな適能者デュナミストでも強制的きょうせいてき能力チカラつよくできてしまう反面はんめん上昇じょうしょうしている状態じょうたい能力チカラ使つかぎると伽霊能力ギアルスキル暴走ぼうそうはじめて制御せいぎょできなくなっちまう」

 光男みつおはまるで忠告ちゅうこくするよう口調くちょうはなった。

光男みつお「だからわるいことはわねぇ…いますぐ伽霊能力ギアルスキル解除かいじょしろ、かえしのつかない事態じたいになるまえに!」

アレックス「そのリスクをってでもつか価値かちのある利益りえきいままえにあるんだよ…お前等まえらの“”って利益りえきがな!!」

竜賀りゅうが「バッカじゃねぇの?」

 かろうじてっている藍川あいかわ竜賀りゅうが大声おおごえった。

竜賀りゅうが他人ひところしてられる利益りえきなんてあるワケないだろうが!!人殺ひとごろしなんて全部ぜんぶマイナスしかねぇんだよ!!せいぜい気休きやすめでマイナス0ゼロすこ近付ちかづくくらいでなにさねぇんだよ!!」

 まだ年端としはもいかない子供こども必死ひっし言葉ことばはそのにいた人達ひとたち全員ぜんいん意識いしききつけた。

竜賀りゅうが「アンタら全員ぜんいんってたじゃねぇか!!アメリカをえるためにシカゴを支配しはいするってな!!いまアンタのった皆殺みなごろしのどこが支配しはいなんだよ!!だれ支配しはいできてねぇからたりしようとしてるだけじゃん!!」

ルーカス「…このとおりだ…お前等まえら計画けいかく完璧かんぺき失敗しっぱいしている…大人おとなしく自首じしゅするか、このくにからくかしかお前等まえらブルガントだんみちい…まぁもっとも…」

 ルーカスはふたた洋杖ステッキにぎめてブルガントだんけた。

ルーカス「マクシム連合れんごうはここまで喧嘩ケンカられたんだから、俺達おれたち俺達おれたちほこりと威厳いげんけて、かならずここでお前等まえら全員ぜんいんきてらえるがな!!」

 その言葉ことばにマクシム連合れんごう面々めんめんはそれぞれ力強ちからづようなずいた。

アレックス「ったはずだ…」

 アレックスは伽鍵礼符キーカードし、周囲しゅういにいる人達ひとたちた。

アレックス「まもってみろ!!!」

  バリバリバリッ!!!

 つぎ瞬間しゅんかんアレックスの身体からだ中心ちゅうしん電撃でんげき一気いっき周囲しゅういひろがった。地面じめんかべ一瞬いっしゅんでヒビがはいり、くろげた。

 いや予感よかんかんったマクシム連合れんごう隊員たいいんたち咄嗟とっさ住民じゅうみん人達ひとたちたてになったり、ひとったりしてかろうじて電撃でんげき影響えいきょうかわした。

光男みつお「あっぶねぇ…!!」

ルーカス「あとコンマ何秒なんびょうおくれてたら、完璧かんぺきくろげになってたな」

メリアン「そこ!!無駄口ムダグチたたいてるヒマなんかいわよ!!」

 メリアンは大声おおごえ二人ふたり注意ちゅういした。光男みつおはハッとかえると周囲しゅうい電柱でんちゅう自動車じどうしゃ看板かんばんった金属類きんぞくるいがどんどんアレックスにせられていった。

アレックス「ふ…ふふふ…ふふふふふ…はーーーハッハッハッハ!!!こりゃいい!!能力チカラめどなくあふれてくるようだ!!」

 アレックスのもとあつまった金属きんぞくはゆっくりかれ中心ちゅうしんにハリケーンのよううずいてうごいていた。

アレックス「これだけの能力チカラがあればマクシム連合れんごう連中れんちゅうなんざてきじゃねぇ!!俺様オレサマ無敵むてきだ!!」

   パァン!!

 そんななか磁力じりょくうずかってマクシム連合れんごう隊員たいいん一人ひとりじゅうった。しかし、銃弾じゅうだんはアレックスにとどくことはかった。銃弾じゅうだん磁力じりょくうずつかまり、ゆっくりうずうごきにわせてながれていった。

源太げんた「そんな…」

レスリー「拳銃ピストル銃弾じゅうだん一切いっさいかないほど磁力じりょくちょう磁力じりょくってことか」

アレックス「いまなら…こういうのもできそうだ」

   バチッバチッバチ!!

 磁力じりょくうず徐々じょじょ火花ひばならして、金属きんぞくかたまりたち竜巻たつまきよう渦巻うずまかせた。まるできているように。

ノルスタイン「こりゃまず〜〜い…」

スティーブン「全員ぜんいんげろ!!!」

アレックス「もうおせぇよ…!!」

  ドン!!!!

 その瞬間しゅんかん竜賀りゅうが世界せかい突如とつじょこわれたとおもった。巨大きょだい質量しつりょうんでたとかそんな感覚かんかくではなかった。地球ちきゅう重力じゅうりょくあし裏側うらがわから背中せなかがわわったかとおもった。

  ガラガラガラガラ!!!

 周囲しゅうい建物たてもの硝子ガラスやコンクリートがどんどんがされてしの鉄筋てっきんだけになっていくのをかろうじて竜賀りゅうがとらえることができただけだった。身体からだばされた竜賀りゅうが自分じぶん方向ほうこう感覚かんかくや、平衡へいこう感覚かんかく完全かんぜん見失みうしなっていた。

  ドサッ!!

 強烈きょうれついたみを背中せなかかんじるととも竜賀りゅうがは、自分じぶん地面じめんたたけられたと気付きづくのにしばら時間じかんかった。背中せなかいたみを必死ひっしこらえながら竜賀りゅうがはなんとかがった。すると竜賀りゅうが周囲しゅうい様子ようす絶句ぜっくしてしまった。

竜賀りゅうが「な…なんだよ…これ…」

 竜賀りゅうががさっきまでえていた高層こうそうビルのならつシカゴの都市とし瓦礫ガレキすな地面じめんひろがり、黒煙こくえんのぼ地獄じごく絵図えずとなっていた。

竜賀りゅうが「…とうさん…?源太げんた…?メリアンさん…?…ルーカスさん…?」

 かすごえあたりを見回みまわしながらけた。しかし、そのけにはだれこたえてくれなかった。竜賀りゅうが強烈きょうれつ不安ふあんおそわれた。

竜賀りゅうがとうさん!!きてるんだったら返事へんじしてよ!!」

 竜賀りゅうがはらそこからのどけるかとおもえるほど大声おおごえした。しかしそのこえむなしく瓦礫ガレキころがる戦場せんじょうひびわたっただけだった。

竜賀りゅうが「ねぇ!!きてるんでしょ!!こんなことでようとうさんじゃないだろ!!!」

 瓦礫ガレキからのぼ黒煙こくえんがもくもくとそらがっていくなかなに世界せかいのどなかっている竜賀りゅうが強烈きょうれつ現実げんじつ直面ちょくめんしていた。

竜賀りゅうが「そんな…とうさん…源太げんたんじまったのかよ…」

 竜賀りゅうが絶望ぜつぼうひざ地面じめんいて項垂うなだれていた。すると背後はいごから嘲笑あざわらこえこえてきた。

アレックス「アレ?…おまえきてたのか?」

 竜賀りゅうがはそのこえがすぐアレックスのものだといた。

アレックス「あんな大声おおごえしてりゃ一発いっぱつ居場所いばしょおしえているようなもんだ…すぐんでたよ」

竜賀りゅうがなんなんだよ……コレ」

アレックス「ああ?…これか?…これは磁力じりょく一気いっき全方位ぜんほうい放出ほうしゅつして、半径はんけい1マイルのあらゆるものをばすわざ、『磁限爆マグネットボム』だ…おれはこのわざでこれまでいくつものまち破壊はかいしてきた」

竜賀りゅうが「こんなことをするのが適能者デュナミストだってうのか…!!こんな平気へいきひと生命いのちうばうのが…!!」

 竜賀りゅうがはらそこからグツグツとがってくるいかりとかなしみでこえふるえていた。

アレックス「こんな能力チカラ使つかって他人ひと生命いのちうばうながらきてるとな、不思議ふしぎ感覚かんかくになんだよ」

 竜賀りゅうがふるえているのを、面白おもしろいものをつけたみたいな表情ひょうじょうていたアレックスはさらにあおようった。

アレックス「コイツは俺様オレサマころされるためまれてきた実験動物モルモットなんだってな?」

   ビュオ!!!

 竜賀りゅうが右手みぎてからかたなし、かえりざまにアレックスのクビ横薙よこなぎをはなった。しかしかたなはアレックスのクビたるかたらないかのところでピタッとまった。

アレックス「小僧こぞう…おまえけんおれにはつうじねぇってことはかってるはずだぜ?」

竜賀りゅうがるか!!!」

 竜賀りゅうがかたなかえし、連続れんぞく袈裟斬けさぎりを仕掛しかけた。しかし、かたな切先きっさきがアレックスの身体からだたる直前ちょくぜん磁力じりょくかえされてしまいまった攻撃こうげきつうじなかった。

アレックス「からねぇヤツだな…物理ぶつりてき無理むりだっつってんだよ!!」

 アレックスはそうてると、から伽鍵礼符キーカードした。そして礼符カード小槌こづちサイズの鉄槌ハンマー変化へんかさせた。

アレックス「おれ霊具ギーツ雷鐵鎚グラスヒッター』にご挨拶あいさつしとけ!!」

   ドン!!!

 アレックスのろした鉄槌ハンマー電撃でんげき何処どこからともなくこし、周囲しゅうい地面じめん建物たてものかべ一気いっき破壊はかいしていった。

 竜賀りゅうがにも電撃でんげき直撃ちょくげきした。地面じめんにゴロゴロところがりながらもがる竜賀りゅうがながらアレックスは怪訝けげんそうなかおかべた。

アレックス「……いま電撃でんげきらって、っていられるなんてん…」

竜賀りゅうが「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

 するとそのときかたいきをしながらもかたなかまえる竜賀りゅうがはだあおウロコ模様もようようなモノが一瞬いっしゅんだけかびがったのをアレックスは見逃みのがさなかった。

アレックス「そうか…それもおまえ伽霊能力ギアルスキルか?」

竜賀りゅうが「…ああ…霊段階ステージ4フォー竜ノ鱗りゅうのうろこ”だ…あらゆる攻撃こうげき厄災やくさいから自分じぶん全身ぜんしんまも能力チカラだ」

アレックス「…ながいこといろんな適能者デュナミスト伽霊能力ギアルスキルてきたが、このレベルの防御ぼうぎょけい伽霊能力ギアルスキル使つかっているヤツはそうはいない…」

 アレックスはさっきまでの鬱陶うっとうしいものをから、すこ興味きょうみいだいたわっていた。

アレックス「小僧こぞう…おまえいま段階だんかいではまだたいしたことのない適能者デュナミストかもしれんが…もしかしたらこれからもっとすご適能者デュナミストになるかもしれん」

 アレックスは竜賀りゅうがかってべた。

アレックス「俺様オレサマ部下ぶかになれ…そうすればこの世界せかい俺様オレサマとおまえ能力チカラおもいのままにきな世界せかいつくえることができるぞ」

竜賀りゅうが「………」

 竜賀りゅうがはアレックスをにらけたままはなしいていた。

アレックス「どうだ?俺様オレサマむか?」

竜賀りゅうが「……ねぇな…ことわる…!!」

 竜賀りゅうが返事へんじにアレックスは表情ひょうじょういかりにゆがめた。こえからはいかりがにじていた。

アレックス「なんだと?」

竜賀りゅうが「アンタはさっき自分じぶん仲間なかま皆殺みなごろしにするとって実際じっさいそのとおりにこのシカゴの都市まちをこんな廃墟はいきょにしたワケだ…そしておれ親友しんゆう親父おやじまで…ころした…!!」

アレックス「よわヤツ結局けっきょくぬことになる…それが自然しぜん摂理せつりってモンだ」

竜賀りゅうが「テメェの仲間なかまはそんなつもりでテメェにいてってたワケじゃなかったみたいだがな…どっちにしろ…テメェがどんなわけ理屈りくつならべられても、おれ家族かぞく傷付きずつけたヤツ容赦ようしゃするつもりはない!おれはそういう性分しょうぶんなんだよ!」

アレックス「なるほど?…まだ餓鬼がきだが…一端いっぱしくちをきけるようだな」

竜賀りゅうが「テメェがつよいかよわいかなんてどうでもいい…テメェみたいな外道げどう安売やすうりしてやるほこりなんざわせちゃいないってだけだ」

 竜賀りゅうがかたなあらためて両手りょうてにぎなおしアレックスにけた。そしてそのいかりをとおした“なにか”が宿やどっていた。

アレックス「いかってるのか?だったらおれせてみろ…おまえいかりをな」

 竜賀りゅうが一気いっきにアレックスのふところみ、力強ちからづよ一歩いっぽかたな両手りょうてにぎ刺突つきはなった。

   グサッ!!

 かたな切先きっさき磁気じき影響えいきょうけ、はやさがにぶったがまることなくアレックスの肩口かたぐちさった。

アレックス「!!!?」

竜賀りゅうが手応てごたえアリだ!!」

 竜賀りゅうがかたなをすぐさまき、うしろ退がり距離きょりった。アレックスは傷口きずぐちさえてながれているのをめようとしていた。

アレックス「…!!…いま一体いったいなにをした…?」

竜賀りゅうが父親ちちおやからおしえてもらったわざだ…しき諸手もろて刺突づき灼烈砲しゃくれつほう”…全体重ぜんたいじゅう渾身こんしん刺突つきめてはなわざだ…」

アレックス「だからつってたかだか餓鬼がき怪力パワー俺様オレサマ磁力じりょくたて突破とっぱするなんざねぇ…」

竜賀りゅうが「テメェのまもっている磁力じりょくよろいまえにはかたな刃渡はわた全体ぜんたい使つかった切落きりおとしや横薙よこなぎの斬撃ざんげき磁気じきかべ影響えいきょうらってしまう…」

 竜賀りゅうがかたな切先きっさきせつけるようげた。

竜賀りゅうが「だったら正面しょうめん突破とっぱじゃなく、一点いってん突破とっぱ刺突つきつらぬけばいだけだ…!!たたったり、くだけが日本刀にほんとう武器ぶきじゃない…冷静れいせいになれば、たたかかたほかにも沢山たくさんあるんだよ!!それをおれおしえてくれたとうさんのためにもおれはテメェに絶対ぜったいけるワケにはいけねぇんだよ!!!」


To Be Continued

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