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視覚障がい者は僕らよりも「観えている」 - ブラインド・ファシリテーションの”場”を下さい
僕は今、視覚障がい者の方々を、チームやグループ、部門などの組織や団体における対話の場でファシリテーションをしてもらうことを価値にすることができるのではないか、という仮説のもとに”ブラインド・ファシリテーション”という概念を提唱しています。
提唱しているだけでは社会において価値にならないので、ファシリテーションを行う場を求めています。条件は、複数人があつまる関係性の場であるテーマについて対話が行われるということだけで、視覚障がい者1人と私の2名の実費をいただければそれでどこにでも参ります。
その場を機会としていただきたく、記事にまとめました。募集については"皆さんのちからを貸してください(ファシリテーションをする”場”の募集)のところに飛んでいただければ。
なぜ”ブラインド・ファシリテーション”なのか?
対話を諦めやすく、分断につながりやすい時代
チームやグループ、部門などの組織や団体における対話の場においてファシリテーションの重要性が増しています。VUCAと呼ばれる不確実なことが当たり前となった世の中において、物事を予測することがますます困難になっています。そんな中、私たちが直面するあらゆるテーマも同様で、確実なことはなくなり、不確実性が増大しています。
対話に参加した全ての人が全部とは言わないまでも、部分的にでも納得し、前向きな行動を生み出すことが難しくなっています。それならまだしも、対立したり決裂したり、場合によってはもう二度と対話をしない、会わないという選択をすることすら少なくなくなってきたような気がします(”ミュート”や”ブロック”は現代社会に望まれた必然的な機能なのではないでしょうか)。
対話を諦めた地方製造業企業の例
僕はとある地方の製造業のマネジメント改革を目的としたプロジェクトを2024年から手掛けてきました。今までとは異なる競争環境に放り込まれたその会社は、社内、顧客や海外兄弟会社を含めた社外との対話が上手くいかず、数々の”叱責”を受け、”尻拭い”を行った上で、”はしごを外される”というトラウマを経験してきた結果、対話をすること自体をやめてしまいました。
他者と対話しても良いことはなく、むしろその反対のことが生じ、結果として状況がますます悪くなるのであれば、誰でもその選択をしない行動をとるでしょう。
対話を取り戻すための働きかけ
僕はその中に入り、ひたすら個人の声を聴き、感情を味わいました。同時に、個人の声を全体の一部として聴き、感情を味わいました。全員や複数人が集まる場で提案や報告をする際には皆シーンと静まり返り、こちらから名指しをしない限りは発言をしない人たちでしたが、僕に対しては色々なことを次から次へと話してくれました。驚くほどの違いがありました。
僕に対して話をしてくれたのは、僕がその会社にとっては外部の人間であることともありますが、それ以上に僕自身がCo-Activeコーチングの学びを同時並行で行っており、100時間を越える実践学習の中でスキルや、そのベースとなる考え方、あり方などが身についていったことが強く影響していると感じています。
【あり方】"People are Naturally creative, resourceful, and Whole." =「NCRW:人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である」などの”礎”に乗ることで相手を”評価・判断”せず、その場で何も”解決しない”態度で望むこと
【問い方】”拡大質問(「どんな感じ?」、「どうしたい?」などのオープンな形式の質問)”を投げかけ、返ってきたフィードバック(言語外も含む)に対して時には”比喩”を使った”反映”を返し、相手の響きが出てきたところで"認知"をすることで、相手自身も意識していなかった自分の内側のリソースやエネルギーに気づきを与えること
【フィードバックの解釈の仕方】前述したように、個人の声を彼ら自身から出てきたものとすると同時に、彼らが属する全体(組織などの”関係性システム”)の声として聴き、感じること
これ以外にもありますが、代表的にはこのような態度、あり方で関わっていった結果だと思っています。
人は他者から評価・判断、”品定め”されるようなことはされたくありませんし、そうされることでむしろ閉じていってしまうのです。相手に対して良かれと思ってこのような関わり方をすることが社会の中では一般的ですし、僕自身も経営・戦略コンサルタントとして同じような関わり方を25年も続けてきたのです。
そして、上記の中で【問い方】にポイントがあります。
直感、直観力を活かしたファシリテーションの重要性
直感、直観力がものすごく大切なのです。
相手のフィードバックは文字としての言葉そのものだけでなく、その口調、話す速度、抑揚やリズム、表情から動作にまで多岐に渡ります。Co-Activeコーチングではこれらを読み取ることをLevel2の傾聴としますが、更にその場自体の雰囲気やエネルギーも含めて傾聴します(Level3の傾聴)。
Level2, 3の傾聴によって得られた情報、シグナルを直感に従い、直観力を活かして相手にフィードバックします。「表情が◯◯のように変化しましたね、何が起こっていますか?」、「あなたは怒っているように感じますが、いかがですか?」などのように。
直感に基づく直観力はとてもパワフルです。分析や評価・判断などの脳を経由しないフィードバックにより、相手は彼ら自身も意識していなかったことに”気づく”ことは前述した通りです。
障がい者の方々は、僕ら健常者よりも直感、直観力に優れているのではないかと、それこそ直感で思ったのです。
ブラインド・ファシリテーションにトライしたい
導かれるように出会った視覚障がい者の方々
2023年よりとあるこ゚縁で視覚障がい者を対象者としたサービスの実証実験を行う機会がありました。
彼らと触れ合う中で、ある感覚が芽生えました。「彼らは僕らよりも観えているし、感じている」というものです。感じたことを飾らずに直接的に答えてくれたり、騒々しい場で複数人で対話をしている時に、主題と話者に対して集中して聴いている姿など、健常者と普段対話をしている中ではあまり感じられない部分が印象的でした。本質的な意味で「場の空気を読んでいた」ように思いました。
この実証実験のアイデアを書いたのは僕でした。トヨタ・モビリティ基金のプロジェクトに対して特にノルマがあったわけでもなく、是が非でも獲得する必要はありませんでした。支援をしていた株式会社JDSCに既存の持ちネタがあったわけでもなく、ゼロからアイデアを考える必要がありました。リード担当者から渡されたテーマでしたが、普段なら無視していたと思います。しかし、その時はなぜか無心でアイデアを応募シートに書き連ねていったのです。導かれていたように思います。
皆さんの力を貸してください(ファシリテーションをする”場”の募集)
ブラインド・ファシリテーションはまだアイデア段階です。どのようにこれから社会に向けて価値化していけば良いのか僕もまだ良くわかっておらず、試行錯誤しています。まずは小さなステップからということで、前述した実証実験でお世話になった方から、とにかく気になった人に話をしにいくことから始めています。
その中で、実施実験の評価者として参加されていたブラインドサッカーの元日本代表の寺西 一(てらにし はじめ)さん、通称ハジさんにアイデアを伝えたところ、とても共感でき、面白いとの意見をいただきました。
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一方で、彼もCo-Activeも含めた対話のスキルを学んだわけではないので、僕がやろうとしている時には対立も扱うようなファシリテーションについては経験がありません。「考えるよりなんとやら、まずはやってみよう!」ということになり、今に至ります。
どのような方に届けたいのか?
ぜひ、僕らにファシリテーションする”場”を提供していただきたいのです。
2人以上の関係性の対話の場を想定
企業、機関、自治体、コミュニティから夫婦、カップルまで
上記におけるファシリテーション
単発でも良いですが複数回も歓迎
事前に背景、前提等の共有の打ち合わせと本番という座組
交通費等の実費を最低フィーとして +お賽銭(効果分を事後に)
どのような対話の場でも結構ですが、僕らもテスト段階なのでいきなりシリアスな場となると難しいかもしれません。下記のようなテーマだとやりやすいのではないかと思っています。
PDCAの確認(報告、共有、アクションづくり)
特定の集団の悩みを表出化する(ヤングケアラー問題、など)
アイデアについてフィードバックを得る(社会起業家、など)
多様な意見の出るテーマ(インバウンドとオーバーツーリズム)を扱う
利害が対立するテーマ(移住者と地元の人の融合)を扱う
課題を解決する(祭りを持続可能にしたい、など)
戦略コンサルタントとしての実績を25年以上持つ僕と、前述した全盲のハジさんの2人で場のファシリテーションを行います。今まで議事進行を行っていた方も意見を発する側に回っていただいて構いません。
まずは相談していただけませんでしょうか。興味がありそうな方にシェアしていただけるだけでも嬉しいです。よろしくお願いします。