仕事観:ポータブルスキルvs特有スキル
今回は、ポータブルスキルと(組織)特有スキルの違いについてのお話です。
意識したいスキルの違い
【ポータブルスキル】所属している会社や組織が変わっても持ち運べるスキルや技能です。わかり易い例は、英語力。もちろん業界特有の単語とかは別の業界に移れば使わなくなりますが、基本的な英語力の多くは業界や所属する組織が変わってもその有用性は変わりません
【組織特有スキル】所属する会社・組織でのみ通用する人脈やスキル・技能です。この件は社内のOOさんに聞けばいいなとか、社内開発されたOOシステムの取り扱いに習熟しているなどです。
この2つの違いを意識して取り組むことはとても大切だと思います。
なぜ、コピー取りや下積みが大切だったの?
Before令和の時代、いわゆる昭和の時代は下積み大事でした。そして、いわゆる昭和は、「就社」というコンセプトが支配的でした。この状況では、ポータブルも組織特有も意識する必要は全く有りません。なぜなら、「就社」しているとそこで必要なスキルを磨くことだったり、「ゼネラリスト」的な都合よく言われたことを何でもできるスキルが大切だったからです
この時、その会社で通用する「スキル」は誰が詳しいかというと、やはり社内で経験を積んだ「先輩」になります。あなたが先輩だったら、どうしたら”かわいい”後輩のために時間をとって、わざわざスキルを伝授しようと思うでしょうか?そう、先輩お忙しいと思うので、ぼくにできることは僕がやります!と先輩の30分削れば(例えばコピー取り)、まともな先輩なら「スキル」を教えてくれるでしょう。こう考えると、「下積み」も1つの戦術として有効だったはずです
いきなり組織がなくなるので、特有スキルの価値は毀損?
そして、時代は令和を迎えました。
先輩:「昔はさぁ、コピー取りとかさやったもんだよ。今はさ、なんでそんなことしないといけないんですか?それがなんの役に立つんだといわれちゃうんだよねぇ」
後輩:「そうなんですね。大変ですね(心の声は、、、いや〜先輩にペイバックとか教えてもらわなくても、ぐぐったらすぐ出てきますし、会社だけしか使えないスキルなんて今時何の訳に立つかよく分かんないですし…)」
会社勤めの方は、会社独自開発のシステムをいくつか思い浮かべてみて、最近はやりのSaaSと比べてどうでしょうか?使いやすいですか?使いにくくないでしょうか?なぜでしょうか?
オープンイノベーションでスマホアプリのUIとかってめちゃくちゃ良くなりましたよね?業界の仕組みをよくしっているからこそ作り込めることよりも、みんなからフィードバックをなるべく広くもらって作り込んだもののほうがよかったってことだと思います。
個人のスキルも組織の寿命が短くなってきているので、組織特有のスキルの習得をするメリットがどんどん毀損していると思います。もしも、ロケーションフリーの働き方が更に広まり、プロジェクトごとにメンバーを組成して働くようになると、チームも解散と組成を繰り返すことになります。こうなってくると、組織特有のスキルってどんなスキルがあるのでしょうか?プロジェクトが組成された時に、下働きの仕事というものは存在するのでしょうか?
履歴書に書きやすい「英語」やっとけばいい?
先程、ポータブルスキルとして、「英語力」を例に上げました。他に財務・経理なんかも汎用性が高いと思われます。
では、財務・経理のスキルを身につける時、管理会計と財務会計どちらか選ぶならばどちらを優先すべきでしょうか?
この場合は、これからは「管理会計」でしょう。なぜなら、財務会計はあくまでもルール(ある程度数字をいじることは可能ですが)決められたルール通りにやるものなので、確実にAIに置き換わっていきます。誰がやっても同じ結果になるべき、正確さとルールの遵守を求められる仕事だからです。管理会計ができるようになるためにはもちろん基本的な財務諸表やキャッシュフロー(お金の流れ)は理解しないといけないですし、財務会計の知識も必要ですが、管理会計はビジネスをドライブするために「主観的」にKPI(判断指標)を設定するので財務会計に比べAIに置き換えられにくいです。一方で自由にせっていできるからこそ、コミュニケーション力(仲間との相談調整)やプレゼン力(経営陣になぜその指標を使うべきか)が求められます
英語力とコミュニケーション力どちらが履歴書に書きやすいと思いますか?
何を意識してポータブルスキルを身につけるべきか?
英語力って広義のコミュニケーション力ですよね。
履歴書に
Aさん:高いコミュニケーション力
Bさん:英検1級
どちらを採用しますか?少なくとも、英語力が高い人が欲しい場合に、Aさんは取らないですよね。
スキルを習得する時に意識すべきは、21世紀の4Cと呼ばれるものです。英語でも財務でも、この4Cをどう磨けているか?という意識があると将来の伸びが変わってくると思います。(21世紀に学ぶべき4Cについてはこちら)
ただ、今日はコミュニケーションを勉強しましょう!といっても難しくないですか?なぜなら、これは英語修得、第二外国語の習得や日々の業務を通じて磨かれるものだからです。そして簡単に測定しにくいので履歴書に書きにくいんですね。でも、この4Cを意識しながら英語を勉強するかしないかで将来の伸びは確実に変わります
就活のためという目的になってしまうと、TOEICの点数を伸ばすという学びの方向に行きますよね?それで判定されるからです。でも、コミュ力を伸ばして、グローバルなチームで活躍するために必要なコミュニケーション能力を磨くという視点をもっていると、TOEIC730点をとったら次は860点ではなく、タイやインドのメンバーとは英語でかなりはなせるようになってきたから、もっと相手の文化に配慮した表現ができるようにダイバーシティを学ぼうとなるはずです。
コミュニケーション力(その他の4Cのスキルも)というのは直接的には伸ばせませんが、英語などの具体的なスキルの習得を通じて身につけることができます。
このように、21世紀の4Cを意識して学ぶことができれば、ある特定のスキルを修得する時に、例えば「批判的思考力」を磨いていくことが出来ます。例えば、算数を勉強している時に、割り算の筆算をならったとして、ありえない答えを書いてしまうのは、Howだけをやっているからで、批判的思考力を意識していれば(させてあげることができていれば)、「検算」をすることで批判的思考力を高めていると言えます。
SNSで履歴書も目に止まりやすくなった
少し前に触れた履歴書の話に戻ってみましょう
今の時代、LinkedInなどのSNSのおかげで、履歴書が公開できるようになりました。例えば、私の公開履歴書はこちら。
こうなってくると、
履歴書に、
Aさん:海外進出(ベトナム)の市場調査からウェブサービスの立ち上げ(日本での既存展開サービスを活用)までを現地メンバーと遠隔コミュニケーションを基本として取りながら、日常的に英語を使用して、3ヶ月で立ち上げ
Bさん:英検1級
どちらがいいでしょうか?Aさんは、もしかするとある企業が海外進出を検討する時に検索にひっかかってくるかもしれません
ポータブルスキルとはなにか?どのように、何を修得すべきか?それをどうストックしコミュニケーションしていくか?参考になれば幸いです
その他シリーズ記事(私の仕事観)はこちらへどうぞ