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#70 健康系のアプリやゲームの使い勝手、使い心地〜ポケモンGO編〜Part.1

#51の記事でご紹介したように、これまでに試してきたいろいろな健康系のアプリやゲームの使用感についてレビューしています(一部、まだ使ったことのないものや使いはじめたばかりのものもありますが、参考になるため、あえて加えています)。

いまのところ、下記のアプリやゲームをレビューしていますが、他にこんなアプリやゲームがあるよ!という情報があれば教えていただけると嬉しいです。

<運動系>
FiNC
SPOBY
Nike Run Club
Nike Training Club
Runtrip
LiveRun
日経歩数番
運動系まとめ

LiveRun(番外編)
<食事系>
SIRU+
カラダかわるナビ(企業・健保向け)
カロミル
食事系まとめ
<ゲーム系>
ドラクエウォーク
ポケモンGO Part.1 ← 今日はコレ!
ポケモンGO Part.2

今日はゲーム系のポケモンGO。

言わずと知れた位置ゲーのレジェンド。

Wikipediaによれば、ポケモンGOは2016年7月6日のオーストラリア、ニュージーランド、アメリカでの先行サービス開始を皮切りに、サービス開始約1年後の2017年6月18日には世界累計ダウンロード数が7億5千万回、約3年後の2019年8月1日には10億ダウンロードを突破したとのことで、とんでもない化け物アプリです汗

さて、ポケモンGOは、ゲームで行動変容を促し、気がついたら健康になっていた、という領域を創り出した歴史に残るゲームであると私は考えています。

実は、私自身はポケモンGO自体をほとんどプレーしていないのですが、このような仕組みが理想的だと思っていたこともあり、ぜひ記事にしておきたく筆を取りました(そのせいで記事が二つにまたがり、しかもどちらも長文です。。。)。

アプリの特徴

・GPS機能を活用し、現実世界そのものを舞台としてプレイするゲーム。現実世界で歩いてポケモンを捕まえたり、バトルさせたりできる。

・捕まえたポケモン・見つけたポケモンは「ポケモン図鑑」で確認できる。

・フレンド機能によりユーザー同士が友達になれ、「相棒ポケモン」や歩いた距離、捕まえたポケモンの総数など、お互いのゲームプレイ状況を確認できる。また、フレンドには「仲良し度」という指標があり、「仲良し度」が高いフレンドと一緒にプレイすると様々なボーナスが発生する。

ポケモンGOがつくられた背景と思想

このポケモンGO、Googleの社内ベンチャーであるナイアンティック社からの働きかけで、株式会社ポケモン、任天堂を巻き込んで作られたアプリだそうです。

これは知らなかったです。
(というか、「任天堂はマリオを使った位置ゲーとかやらないのかな?」と思っていたのは秘密です)


さて、ポケモンGOの開発の中心であったナイアンティック社のアジア統括本部長・エグゼクティブプロデューサー川島優志氏と、最近テレビにもよく出ている慶応大の宮田裕章教授の対談記事が面白く、ポケモンGOが作られた背景や思想などが語られていてとても興味深かったので、記事をシェアします。

詳しくは記事を読んでいただければと思いますが、下記に興味深い点を抜粋します(共感できる部分や、私と同じ考えの部分は太字にしました)。

〜引用ここから〜
<前編より>

宮田教授(以下、宮田):(略)「一人ひとりがその人らしく、よく生きること(ウェルビーイング)」、それ自体が重要になってきました。これまでは「経済活動や社会の生産性に貢献するための健康」と捉えられてきましたが、「病気や格差があっても、それがその人の人生の妨げにならないということ」や、「魅力的に生きることが、結果として健康につながる」ということが先にあって、その手段として、健康をサポートする様々なサービスなどがある。つまり、健康そしてウェルビーイングの重要性が、一層、高まってきています。(略)
川島氏(以下、川島):ナイアンティックのミッションは、最先端の技術を使って現実の世界における人々の体験をより豊かにすることです。(略)
 楽しみながら発見・運動・コミュニケーションを深めてもらいたいので、僕たちは世界をゲームと結びつけました。プレーヤーが外に出て知らない場所を訪れ、世界を新しい観点から眺めて、友だちや家族と地球全体に広がるゲームをプレーする。それが「ポケモンGO」で実現したかったことです。
 健康なよりよい暮らし、つまりウェルビーイングとは何なのか。ゲームを通してその答えを探しているのですが、その中で、データと医療の面から今後の社会を見ようとしている宮田さんの知見と擦り合わせをしたいと考えて、これまでにもいろんな議論をさせていただいています。
 ナイアンティックでは、提供するゲームが医療分野と連動する必要性を強く感じています。技術だけを見て、「これができるようになったから形にしよう、その方が楽しいじゃないか」と発展させてしまうと、道を間違えてしまう恐れがあります
 だからこそ医学をはじめ、他分野の視点を取り入れて、幸せな未来の定義をきちんとしていかなければいけない。「そもそも幸せとは何か」。これは人によってバラバラのはずです。僕らが目を向けている事業は少なくとも10年やそれ以上の長期的なスパンで成長させていくつもりです。だからこそ、最初にボタンを掛け違うと、ずっとズレたままになってしまいかねない、という懸念もありました。

(中略)

川島:(略)回り道はムダではないんじゃなかろうか。それがナイアンティックの出発点にあります。直線距離なら15分で行けるところを、1時間半かけて歩いてもらう。そういうことをやってみたのが「ポケモンGO」であり、その前にリリースしたARゲーム「イングレス」(筆者注:ナイアンティックの位置ゲーで、「ポケモンGO」の基礎となっている)だったりしました。回り道が、結局はウェルビーイングにつながりますよ、と背中を押すことをしたいのです。
 そうすることで、人がもっと外を歩くようになって、地元のコミュニティーとつながったり、史跡を訪ねたりするきっかけになる。
 自分の生活圏の中にも、スマホの画面からちょっと顔を上げてみれば、新しい世界が見えてくる。そういうことをできないだろうかというのが、根っこにあるんですよね。

<後編より>

宮田:ゲームを通してごく自然に健康を得ていくというナイアンティックの取り組みは、1つの価値の転換です。
 健康促進はこれまでも声高に唱えられてきました。多くの健康キャンペーンは、「さあみんな、健康になりましょう!」と呼びかけますが、そうした直接的な声に反応するのは全体の1割といったところでしょうか。大半の人は、「別に健康になるために生きているわけじゃないし」と、さほど積極的になってはくれません。
 例えば80歳になったときに山登りを楽しみたいのか、あるいは若い人と楽しく話ができたらいいのか、やりがいのある仕事をしていたいのか。求める健康の姿や度合いは人それぞれです。
 多くの人は、人生の価値を支える手段として「健康」を考えているはずです。その点、「ポケモンGO」は楽しさの先に健康が自然にある。このコンセプトは、これまでの健康やウェルビーイングからすると異端なのかもしれません。けれど、これからの時代には本流になるような価値を持っている気がします。
 「ポケモンGO」の効果については、科学的検証も進んでいます。初期の研究結果では、ゲームを始めた人が、それまでよりも2~3倍多く歩くようになった、しかしながら途中でやめてしまったりと効果は持続しなかった、という結果です。ただそれはあくまでも初期の「ポケモンGO」であり、ゲームはどんどん進化していますね。
川島:そうですね。多くの人が「ポケモンGO」を始めて外をよく歩くようになったのは、間違いないようです。ただし、それがどれほど持続するかという課題もあります。ただこのところ、さまざまな改良が施されて、ローンチ直後の「ポケモンGO」とはまったく違うゲームに生まれ変わっています。
 例えば「フレンド機能」。これはゲーム内で友だちをつくり、その友だちに自分の訪れた場所が書かれた絵はがきのようなギフトを贈れるもの。これがすごく楽しいんです。「コンビニの前ばかりじゃダメだな」と思って、いつもと違うところに出かける動機になったりもします。
 「こんな場所からのギフトを贈ったら喜ばれるんじゃないかな」と考えたり、家族でプレーしている人は、おじいちゃんおばあちゃんとフレンド機能でやりとりして、ギフトが来ないと「何かあったんじゃないか」と互いの状況を確認するきっかけの役割も担っていたり。(略)
 フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションが、幸せやウェルビーイングにつながるのは確かなことでしょうし、学術的な検証も出ています。であれば、それを生み出すための実践が「ポケモンGO」なのだと考えています。

(中略)

宮田:外へ向かうほど、ウェルビーイングや「つながり」が得られる、ということですね。社会的なつながりは健康にポジティブな影響がある、ということは多くの学術研究が示してきています。位置情報ゲームやフレンド機能は、人々と世界の新たなつながりに結びつくかもしれませんね。(略)
川島:技術の進化をどういう方向へ使っていくのかは、きちんと考えないといけません。技術そのものが悪なのではなくて、要は使い方次第です。人の身体性を考慮の「外」に置いてしまうことがあるので、そこには注意が必要です。

(略)
〜引用ここまで〜


私は某化学メーカーでサプリメント原料の研究開発をしていますが、人の意識や行動を変えること、そしてそれを継続させることが大きな課題と感じます。

いくら「健康になりましょう!」「これは健康に良いですよ!」と周りが言ったところで、内的モチベーションと言うか、能動的・主体的な意識変容、行動変容となっていない限り、結局はじめないし、続かない。

研究者寄りの人間や真面目な会社ほど「足りない栄養素を見える化して、それを補うサプリを提供しよう」とか「正しい情報を伝えれば、あるいは良いものだと分かってもらえれば買ってもらえる」と考えがちですが、正直なところ病気の人や健康意識が高い人を除いて、多くの人は楽しさや人との関わりがないとなかなか始められないし、続かないのが実際のところだと思います。

そういう意味で、楽しさやコミュニケーション機能、人に見せたくなるような仕組みなどを先に持ってきて、楽しんでやっていたら健康になっていた、という仕組みは大きな参考になると考えています(いま、ランなどを実況生中継してくれる「ライブラン」というアプリを使っていてそのことを実感しています)。

楽しさやコミュニケーションの結果として健康度や幸福度が上がれば、それがモチベーションになってさらに食事や運動に気を使うようになったり、健康に関する情報を調べるようになったりして“勝手に“その行動が強化される、良いスパイラルに入ることが期待できます。


次回はポケモンGOの「行動変容の容易さ」と「継続しやすさ」について考察したのち、ポケモンGOによる健康改善効果に関する研究を紹介したいと思います。

お楽しみに!

<了>

#健康 #アプリ #ゲーム #ポケモンGO

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