法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律(案)についての意見

本日朝、「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」に関する条文案が示されました(条文はこちら)。以下の内容については、鬼澤の責任で作成しましたが、賛同者もいらっしゃり、末尾に賛同者も記載しています。
かなり取引の安定性に配慮した条文の内容になっていると考えますが、さらなる内容の明確化を求めるとともに、寄付契約の消費者契約への適用については、今後の議論とすべきと考えます。以下詳細です。

意見の詳細

第2条第1号ロ
「当該個人が当該法人等に対し当該法人等以外の第三者に無償で当該個人の財産に関する権利を移転することを委託することを内容とする契約」

クラウドファンディングのプラットフォームを通じた寄付、公益信託の委託契約はこの典型になるとの理解で良いか等、ガイドライン等でその範囲を明確にする必要がある。

第3条第1号
寄付の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、その勧誘を受ける個人が寄付をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること。

ガイドライン等で具体的な例を示すべきである。例えば、活動説明会等で寄付をお願いする、という行為がこれにあたるのか。原則当たらないと思うが、その点はこの条文からは明確でない。


第3条第3号
寄付の勧誘を受ける個人に対し、当該寄付の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を明らかにするとともに、寄付される財産の使途について誤認させるおそれがないようにすること。

太字部分については立法事実がなく、また、現状の所轄庁による非営利法人への指導状況を踏まえると、過剰な規制を誘発するリスクが高い。前段(当該寄付の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を明らかにする)で十分だと考える。


第6条
 内閣総理大臣は、前二条の規定の施行に関し特に必要と認めるときは、その必要の限度において、法人等に対し、寄付の勧誘に関する業務の状況に関し、必要な報告を求めることができる。

太字部分は、曖昧さを排除し、「前二条の規定の違反またはその恐れが特に高いと認められるときは、その確認及び是正に必要な限度において」とすべきであり、それ例外の「特に必要と認めるとき」があるなら列挙して条文上記載すべきである。

第8条第1項
個人は、法人等が寄付の勧誘をするに際し、当該個人に対して第四条各号に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって寄付に係る契約の申し込みもしくはその承諾の意思表示または単独行為をする旨の意思表示(以下「寄付の意思表示」と総称する)をしたときは、当該寄付の意思表示(当該寄付が消費者契約(消費者契約法第二条第三項に規定する消費者契約をいう。第十条第一項第二号において同じ)に該当する場合における当該消費者契約の申し込みまたはその承諾の意思表示を除く。 次項及び次条において同じ)を取り消すことができる。

太字部分の除外規定は、寄付契約が消費者契約法上の「消費者契約」に該当することを前提とする記載と思われる。しかし、寄付には消費者契約法第1条に定めるような「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差」は一般的ではない。通常の公益的な活動をしている団体が寄付をお願いした際、不当な条件を提示すれば、通常寄付者は単に寄付をしないということにすぎない。

「法人等の活動において寄付が果たす役割の重要性に留意」(第12条)するのであれば、寄付に関する規制は本法律に一本化するとともに、消費者契約法の寄付への適用については別途検討すべきである。

以上

【賛同者】
弁護士 黒川健(BLP-Network)

ご賛同いただだける弁護士の方は以下のフォームより入力お願いします。
https://forms.gle/c7cUSZmdWKszXeDj8

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