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【書籍】『致知』2024年12月号(特集「生き方のヒント」)読後感

 致知2024年12月号(特集「生き方のヒント」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。

 今回のテーマは「生き方のヒント」。仕事においても、そして日常においても、多くのヒントが盛り込まれており、大変学びの多い内容でした。


巻頭:過去を生かすも殺すも今、ここの生き方にかかる 青山俊董さん(愛知専門尼僧堂堂頭)p4

 青山氏が、過去、現在、未来という時の流れと、それに対する我々の生き方や心構えについて、深い洞察を示したものです。青山氏は、我々が過去をどのように扱い、どのように未来へ向かって進むべきか、その過程で重要となる心の在り方について強調しています。

 冒頭では、過去の偉人たちが時の流れに区切りをつけ、年月や季節を名付けることで、移りゆく命や自然の営みを観察し、それに深い意味を見出していたことに触れています。古人の知恵に学び、彼らが残した深い洞察を思い起こすことで、我々も時と命の意味を再考し、今という瞬間を大切に生きることの重要性を説いています。
 例えば、「光陰は百代の過客なり」と詠んだ中国の詩人・李白の一句に影響を受けて、松尾芭蕉が『奥の細道』の冒頭で「月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり」と書いていることは、古代からの普遍的な真理として捉えられます。時間は常に過ぎ去り、二度と戻らないものであるため、我々はその儚さを理解し、過去や未来に執着するのではなく、今という瞬間を大切に生きるべきだという教えがここに込められています。

 また、青山氏は、余語翠厳老師から頂いた「無始無終円同大虚」という一句に基づき、命の永遠性について考察を深めています。円相という図形は、一見始まりと終わりがあるように見えますが、実際には円そのものには始まりも終わりも存在せず、それが永遠の命の象徴となっていると述べています。つまり、命は単に生まれて死ぬという一連の流れだけではなく、その背景には、天地に満ちる仏の命、自然界に流れる命の力強さがあり、我々はその一部として生きているということです。この命の広がりを感じながら生きることで、今この瞬間をどのように過ごすか、その重要性がますます増していくのです。

 さらに、「無始無終の円」は、どの一点を捉えてもそこが終着点であると同時に出発点でもある、と述べています。陶芸家・河井寛次郎の言葉「過去が咲いている今 未来の蕾でいっぱいな今」を引用し、現在という瞬間が、過去の集大成であると同時に、未来に向かって新たなスタートを切るための出発点であることを強調しています。この考え方は、過去をどう生かすかが未来を決めるという意味でもあり、また過去に縛られすぎず、未来への期待と共に今を生きるべきだというメッセージを伝えています。特に、「四十七歳の若さで癌により亡くなった鈴木章子さんの『人生やりなおしはできないが、見直し、出なおすことはできる』という言葉」を引用し、過去の失敗や挫折に囚われず、常に今を新たな出発点として捉えることの重要性を語っています。

 アメリカの元大統領リンカーンが言ったとされる「四十歳になったら自分の顔に責任を持て」という言葉も紹介されています。青山氏は、この言葉を通じて、年齢を重ねることで顔や姿に現れる人格の重要性を強調しています。四十歳であれ二十歳であれ、その人の生き方や思考が姿や言葉に現れ、他者に与える印象や影響力を持つという点を指摘しています。
 これは、過去をどう生きてきたかが、目に見えない形で人格として刻まれていくということを示しています。余語老師が青山氏の若い頃の姿を見て、「同じ背丈であったが、はるかに大きく見えた」というエピソードを通じて、外見の背丈だけでなく、人格の成長や深さが人の印象を変えるという教訓が示されています。

 さらに、「前後裁断して今ここに全力をつくす」という姿勢が大切だと強調しています。過去や未来に囚われすぎることなく、現在を生きることの重要性について述べる中で、「過去が咲いている今 未来の蕾でいっぱいな今」という言葉に込められた意味を解き明かしています。過去は既に過ぎ去り、未来はまだ訪れていない。重要なのは、今この瞬間をどのように生きるかであり、その瞬間瞬間に全力を尽くすことこそが、我々の人生に深い意味をもたらすのだという考え方です。

 また、幽霊の三つの特徴について触れ、過去や未来に執着しすぎることが、今を生きることを妨げるという教えを展開しています。「オドロ髪をうしろへ長くひいている」という幽霊の姿は、過去の出来事に執着し続け、どうにもならないことを引きずっている状態を表しており、それが我々の成長を妨げる原因となることを指摘しています。
 そして、「両手を前に出している」という姿は、まだ訪れていない未来に対して過剰な不安や心配を抱えていることを意味しています。さらに、「足がない」というのは、今ここをしっかりと踏みしめることができていない状態、つまり心が過去や未来に囚われてしまって、現在をしっかり生きることができていない姿を表しています。

 青山氏は、この教えを通じて、過去や未来に囚われることなく、今を全力で生きることの重要性を説き、「失敗にこだわる心が人間を駄目にする」という言葉を強調しています。失敗そのものではなく、失敗に対する執着が人間の成長を妨げるということです。むしろ、失敗を跳躍台として、さらに力強く前進していくことが大切であり、その姿勢が我々の人生を豊かにするのだと説いています。

 「過去の執着を断ち、現在に集中する」姿勢は、変革期にある企業や組織改革に取り組む際に重要な指針となります。特に、変化が激しい時代においては、過去の成功体験や慣習に固執することが、組織の柔軟性を失わせる一因となります。組織のメンバーが過去の失敗や経験に囚われず、新しいチャレンジを積極的に受け入れ、前向きに行動できる環境を整えることが重要でしょう。

 社員の評価や育成の観点では、「失敗にこだわらず、それを跳躍台にして成長する」という教えを施策に取り入れることが求められます。評価プロセスでは、単に過去の実績を評価するだけでなく、失敗から学び、新たな目標に向けて挑戦しているかどうかを重要視することで、社員の成長意欲を引き出すことができます。また、適切なフィードバックや学習の機会を提供することで、社員が自己の過去を見直し、今後のキャリアにおける新たなスタートを切るためのサポートが可能となります。

リード:藤尾秀昭さん 特集「生き方のヒント」p8

 生き方のヒントとしての「真理」が深く掘り下げられています。まず最初に、「真理は月の光のように満ちあふれている」という言葉が取り上げられています。この言葉の作者ははっきりとはしていないものの、道元の言葉であると考えられていたことが説明されています。しかし、別の意見では道元ではないと指摘され、結果として作者不明の言葉として紹介されました。読者に向けて、もしこの言葉の出典をご存じの方がいれば教えてほしいという呼びかけもあり、これが実際にどのような人物の言葉であるかについての問いかけを残しています。

 さらに、この言葉の持つ意味が「生き方のヒント」としても通用するという考えが展開されています。真理が月の光のようにあふれているように、生き方に関するヒントもまた、至るところに存在しているという洞察です。私たちの日常や人生の節目には、たくさんのヒントや教訓が隠されており、それを見つけ出すことができれば、より豊かな人生を送るための指針となるということです。つまり、生き方のヒントは、目に見えなくとも常に周囲に存在し、私たちがそれに気づくかどうかが重要であるとされています。

 安岡正篤著『人間を磨く』が取り上げられ、その中で紹介されている鎌倉彫の名匠・扇ヶ谷三郎の『春慶堂秘伝』という伝統的な教えが紹介されています。特に五つの教訓が強調されており、それぞれが深い人生哲学と芸術への取り組み方を示しています。
 具体的には、「良いものを作るための心がけこそが最も重要である」「真の芸術は、35歳、36歳になって初めて始まるものであり、若くして完璧な芸を見せる者は、いずれその芸の限界に気づくことになる」「名声や利益があっても、精進がなければそれは無意味である」「芸の完成形を見せずに一生を終えることこそが真の芸である」「古人が言うように、命には終わりがあるが、芸には終わりがあってはならない」といった教えが紹介されています。

 これらの教えに対し、安岡正篤は深く感銘を受け、自らの人生哲学としてこれを取り入れました。特に、これらの五つの教えを凝縮し、「志業はその行詰まりを見せずして一生を終る真実の心得となす」という座右銘を作り出しました。そして、「不肖の私も生きている限り、この行き詰まりを見せずに勉強を続けたい」という強い決意を新たにしたとされています。これは、東洋学の大家である安岡正篤もまた、先人の教えから多くの生き方のヒントを学び取り、それを自らの人生に反映させようとしていたことを示しています。先達の言葉や教えは、時代を超えて私たちに生き方の指針を与えてくれるものです。

 さらに、安岡正篤の晩年のエピソードが紹介されています。彼は体調を崩し住友病院に入院していた際、その部屋の掃除を担当した女性が彼の立ち居振る舞いや人格に触れ、深く敬慕したというエピソードです。彼の人格修養は、晩年に至ってもなお行き詰まることなく続いていたということが、このエピソードからも伺えます。これは、安岡正篤の生き方が、生涯を通じて学び続けるという強い信念に基づいていたことの証明であり、彼の人格が周囲の人々にも多大な影響を与えていたことを示しています。

 また、俳優の加山雄三氏のエピソードも紹介されています。加山氏は、祖母からの言葉「お前はいま試されている」「荷物が重いのではなく、担ぐ力が弱い」という教えを深く胸に刻み、その言葉を何度も反芻しながら困難に立ち向かったといいます。特に、彼の父である上原謙が事業に失敗し大きな負債を抱えた時期に、加山氏は焦燥感を抱くことなく冷静に状況を受け入れられたと語っています。祖母の言葉が、彼の精神的な支えとなり、困難を乗り越える力を与えていたのです。こうしたエピソードからも、先人や家族の言葉が人格形成に与える影響の大きさが伺えます。

 さらに、ゲーテや小林一三、平澤興といった偉人たちの言葉も引用され、彼らが困難を克服する中で人生の真価を見出していたことが強調されています。特に、「制限の中において初めて名人はその腕を示す」(ゲーテ)や「金があったらできるという人は、金があってもできない人である」(小林一三)といった言葉は、逆境や制限の中でこそ人間の真価が問われるという考えを強く表しています。人生百年時代を迎えたいま、こうした偉人たちの言葉は、私たちにとってもなお重要な生き方のヒントを与えてくれるものです。

 最後に、鎌倉時代の華厳宗の僧・明恵上人の「あるべき様」という言葉が紹介されています。これは、各自が自らの立場にふさわしい生き方をするべきであり、それを外れると悪しきことが生じるという教えです。現代においても、この「あるべき様」という考え方は重要であり、リーダーはリーダーとして、部下は部下として、父は父として、母は母として、それぞれの役割にふさわしい行動を取ることが求められます。このように、「あるべき様」を生き方の基盤とすることで、社会全体がより平和で安定したものになるという見解が示されています。

 全体を通じて、生き方のヒントは常に私たちの周りにあふれているものであり、それをどう掴み取り、実行に移すかが重要であるというメッセージが強調されています。そして、そのヒントは先人の言葉や教え、家族の助言、さらには困難な状況からも得ることができるとしています。最も大切なのは、それを受け入れて、自らの人生にどのように反映させるかということであり、その実践こそが真の成長と幸福につながるのです。

 企業人事の立場から考えると、まず「生き方のヒント」をいかに組織運営や人材育成に活かすかが挙げられます。安岡正篤が強調した「行詰まりを見せず一生を終える」という考え方は、企業においても持続的な成長を目指す上で重要です。社員が固定的な思考にとらわれることなく、常に自己研鑽と改善に努められる環境を整えることが必要です。また、加山雄三氏の祖母の言葉「試されている」という教えは、困難に直面した社員にとっての励みとなるでしょう。企業人事としては、挑戦を試練と捉え、失敗から学ぶ文化を醸成することが重要です。

 さらに、鎌倉時代の僧・明恵上人の「あるべき様」を現代の企業に置き換えるなら、社員一人ひとりが自らの役割や責任を果たすことが組織の安定に寄与すると考えられます。これを実現するために、明確な役割分担や評価基準を設け、社員が自身の「あるべき様」を理解し、それに基づいた行動を取れるよう支援することが求められます。

百年続く企業はどこが違うのか 服部真二さん(セイコーグループ会長)、藤間秋男さん(TOMAコンサルタンツグループ会長)p12

 セイコーグループの歴史、経営戦略、人材育成に関する話題です。特に、セイコーグループの社長である服部真二氏と、TOMAコンサルタングループの会長である藤間秋男氏の対話を通じて、セイコーグループがどのようにして成長し、繁栄を続けてきたのか、そしてそれを支えてきた経営哲学について語られています。この対話を詳しく掘り下げていくことで、セイコーグループの成功の背後にある要素をさらに理解することができるでしょう。

 まず、セイコーグループの創業とその発展についてですが、1881年に服部金太郎氏が東京で時計の輸入販売および修理業を始めたことが、そのスタートです。この時代、まだ時計が普及していない時代背景の中で、金太郎氏は時代の先を見越して事業を展開しました。特に、日本で不定時法から定時法に切り替わる時期に、いち早くその需要を捉えて、時計の製造と販売に取り組んだことが、セイコーの長寿企業としての基礎を築いた大きな要因となっています。さらに、銀座に時計塔を建設し、人々に正確な時間を提供するというアイディアは、当時の日本社会において画期的なものであり、セイコーの存在感を確立する上で重要な出来事でした。

 次に、セイコーグループがどのように時代の変化に対応してきたかについて触れられています。セイコーは、単なる時計メーカーとしての枠を超え、半導体や電池、さらにシステム開発といった新しい事業領域へと進出してきました。このような事業の多角化が、セイコーを単なる時計メーカーから、社会や顧客の課題を解決する「ソリューションカンパニー」へと変貌させたのです。特に、「セイコーソリューションズ」という事業部門が、時計に次ぐ新たな収益の柱として成長しており、この分野での成功事例の一つが「タイムスタンプ」技術です。この技術は、電子データが特定の時点で存在していたこと、その後改ざんされていないことを証明するもので、特に情報保護の観点から重要な役割を果たしており、現在では社会インフラとして広く利用されています。

 服部氏が強調しているポイントの一つは、企業が成功するためには「時代に応じて柔軟に変化すること」と「諦めないこと」が重要であるということです。セイコーグループは、かつて赤字を抱えた事業にも粘り強く取り組み続け、ついに成功を収めた経験があります。特に、ペーパーレス化の流れが追い風となり、タイムスタンプ事業が一気に金融業界で広がったという成功例は、時代の波に乗ることの重要性を物語っています。このように、時代の変化に対して適切に対応し続けることが、長期的な成功を収めるための鍵であると、服部氏は強調しています。

 さらに、この対談の中では「パーパス経営」の重要性が取り上げられています。パーパス経営とは、単に利益を追求するだけでなく、企業の使命や目的を明確にし、それを社員一人ひとりが共有し、自らの人生の目的と結びつけて働くことで、組織全体が強くなるという考え方です。セイコーグループでは、「パーパスの会」という取り組みを行い、グループ内の若手社員が集まり、互いに自分の人生のパーパス(目的)について議論し合う場を設けています。この取り組みを通じて、社員が自分の仕事の意味や経営全体の動きを深く理解し、会社全体としての一体感が生まれることを目指しています。このような企業文化が、社員のモチベーションを高め、セイコーグループが持続的な成長を遂げるための大きな原動力となっているのです。

 また、人材育成についても、セイコーグループは次世代のリーダーや若手社員の育成に力を注いでいます。服部氏は、これからの時代を担うのは若い世代であり、彼らが新しい時代の変化に対応できるようなスキルや知識を身につけることが重要だと語っています。そのため、若手社員が他の事業部門やグループ会社の社員と垣根を越えて交流し、広い視野を持って成長できるような環境を提供しているのです。特に、パーパス経営を軸にした育成方針は、社員一人ひとりが自分の役割や目的をしっかりと認識し、それが企業全体の発展にどのように貢献しているのかを意識することを促しています。このようなアプローチは、企業が持続的に成長し続けるためには不可欠であり、また、社員のエンゲージメントを高めるためにも非常に有効な手段です。

 一方で、セイコーグループは、単に事業拡大や売上向上を目指すだけでなく、社会的な貢献にも積極的に取り組んでいます。服部氏自身、スポーツや音楽に深い理解を持ち、これらの分野で活躍する人々を支援するための財団を設立しています。この財団は、世界で挑戦する音楽家やアスリートに「服部真二賞」を授与し、その活動を支援しています。こうした社会貢献活動は、セイコーグループの企業理念の一環であり、企業としての存在意義を社会に広く示すものとなっています。

 対談の終盤では、セイコーグループが百年企業としての基盤を築いてきた理由の一つとして、「時代の変化に柔軟に対応すること」と「人材育成への取り組み」が挙げられています。セイコーグループは、時計事業に留まらず、時代の変化に応じて新たな事業分野に挑戦し続けてきました。特に、情報技術の進展やデジタル化の波に乗り、タイムスタンプ技術のような新たな事業を成功させることで、企業としての成長を維持しています。また、若手社員の育成やパーパス経営を通じて、次世代のリーダーを育てる取り組みも行われており、これが企業の持続可能な成長に繋がっているのです。

 この対談は、セイコーグループが長寿企業として成功を収めてきた理由を余すことなく取り上げられています。それは、時代の変化に対して常に柔軟に対応し、新たな事業に挑戦し続ける姿勢、そして社員一人ひとりが企業の使命と自分の人生の目的を結びつけて働くことを促進する「パーパス経営」がその中心にあります。また、次世代のリーダーや若手社員の育成に力を入れることで、セイコーグループはこれからも持続的な成長を続けていくことができると強調されています。この対談は、現代の経営者や企業にとって、時代の変化に対応し続けるための重要な示唆を与えるものであり、また、社員のエンゲージメントを高め、企業全体としての一体感を醸成するための手がかりとなるものでしょう。

 人事視点では、セイコーグループが行う「パーパス経営」と人材育成への取り組みです。特に社員一人ひとりが自分の人生の目的と企業の使命を結びつける「パーパス経営」は、組織全体のエンゲージメント向上に直結します。これにより、社員が自身の仕事に対する意味を再認識し、会社への貢献意識が高まることが期待できます。人事としても、こうした理念を支える施策として、個別のキャリアパス設計やメンタリングプログラムの導入が効果的でしょう。

 また、若手社員が次世代のリーダーとなるための育成プログラムの整備も重要です。社員同士が垣根を越えて交流し、広い視野を持つ機会を提供することで、組織内の知識共有が進み、イノベーションが促進されます。さらに、失敗を恐れず挑戦できる社風の醸成が、長期的な人材の定着と企業の持続的成長に寄与するでしょう。人事視点においても学びが多い対談でした。

我が百寿の人生を歩み来て ~利をはなれ心のすべて無なる時 有を生ずる 世とぞ知りたり ~川島英子さん(塩瀬総本家会長/第三十四代当主)p22

 塩瀬総本家の第34代当主であり、百歳を迎えた川島英子さんとの対談を中心にまとめられています。川島さんは、伝統を守り続ける老舗の経営者としての顔を持ちながらも、長寿を迎えた今でも積極的に活動し続けています。その姿勢や考え方が、長寿と健康、さらには繁栄を保つ秘訣として語られています。

 まず、健康の秘訣について述べています。彼女は日常生活の中での習慣を非常に大切にしており、その一環として毎日着物を着ることを続けています。朝起きてすぐにだらしない格好で過ごすことなく、きちんと着物を着て帯を締め、髪を結うことで、身体と心が引き締まり、自然と元気が出るのだと語っています。着物を着るという行為は、彼女にとって単なる装いではなく、日々の活力を得るための重要な儀式のようなものであり、長年続けているこの習慣が、彼女の健康を支える要因の一つであると考えられます。

 さらに、彼女の趣味であり、人生の大きな楽しみでもあるのが和歌を詠むことです。彼女が和歌を詠み始めたのは12歳の頃からで、戦前の女学校時代に国語の授業で和歌を学び、その面白さに触れたことがきっかけでした。それ以来、彼女は和歌を通して感情を表現し、時には喜び、時には悲しみ、また時には苦しみを和歌の中に込めてきました。これまでに詠んだ和歌は千首近くにもなり、それらはすべてノートに書き留められています。川島さんにとって、和歌は単なる趣味を超えて、自分の心の整理整頓をするための手段でもあり、日々のストレスやモヤモヤとした気持ちを和歌によって整理し、前向きな気持ちを保つための大切な方法となっているのです。

 川島さんの人生における大きな転機の一つは、塩瀬総本家の当主を引き継ぐという決断でした。彼女はもともと商売が好きではなく、サラリーマンの奥さんとして優雅な生活を送りたかったと語っています。しかし、母親が倒れてしまい、彼女に塩瀬総本家の後を継ぐように言い遺したことから、彼女はその役割を受け入れることになります。迷いはなかったものの、決して自ら望んだわけではなかったと彼女は正直に語っています。それでも、夫の助けや職人たちの支えを得ながら、彼女は家業を支え続け、ついには塩瀬総本家を株式会社化し、組織としての体制を整えることに成功しました。
 その後、銀座松屋への出店という大胆な決断を下します。これまでの歴代当主は出店依頼をすべて断ってきましたが、川島さんはこの依頼を受け入れ、塩瀬総本家を小売業へと進出させました。この決断は、従業員たちから猛反対を受けたものの、川島さんは孤軍奮闘で準備を進め、見事に成功を収めました。その結果、他の百貨店からも出店依頼が相次ぎ、売上が飛躍的に伸びたことで、塩瀬総本家は今では小売業が主軸となり、会社の存続に欠かせないビジネスモデルへと変貌を遂げました。

 川島さんが大切にしている理念の一つに「温故知新」があります。これは、古きを温めて新しきを知るという意味で、彼女にとって、伝統を守りながらも時代の流れに合わせて変化していくことが重要だと考えています。彼女の商売に対する姿勢は、この言葉に象徴されており、常に新しいことに挑戦し続ける一方で、伝統や基本を大切にする姿勢を崩さないという点が、老舗を守り続ける秘訣だとしています。

 また、彼女は「握らないこと」、すなわち欲を持たず、物事に執着しないことが運を開く鍵であると語っています。欲張って何かを追いかけようとすると、それは逃げてしまうという考え方であり、手放すことで逆に運が巡ってくると信じています。この考え方は、彼女が詠んだ和歌にも表れており、利を離れ、無欲でいる時にこそ、真の価値が生まれるという人生の教訓を彼女は大切にしています。

 川島さんはご先祖様への感謝を忘れないことの重要性を強調しています。塩瀬総本家が675年もの歴史を紡いできた背景には、時代ごとの当主たちがその暖簾を守り続けてきた努力があり、それに感謝する心が大切だとしています。彼女は常にご先祖様の存在を意識し、その感謝の気持ちを行動で示すことが、人生において大きな力を与えてくれると信じています。このように、彼女の信念や教訓は、若い世代にも受け継がれていくべき重要なものだと彼女は考えており、特に後継者や若手に対しても、自分の人生哲学を伝えていきたいと願っています。

 最後に、人事視点から考察してみます。川島さんのリーダーシップや組織運営の手法が注目されます。特に「温故知新」の理念は、組織の中で伝統を守りつつも、時代に即した変革を推進する必要性を示唆しています。人事においても、このバランスは重要であり、既存の価値観や文化を尊重しながらも、柔軟に変化を取り入れることが求められます。

 また、「握らないこと」、つまり過度な執着を避けることが成功の鍵と考えている点は、人事における柔軟な姿勢や心理的安全性の確保に通じます。従業員が過度に結果に縛られず、安心して挑戦できる環境を整えることが、組織の健全な成長に寄与します。

 さらに、川島さんの家族や職人への感謝の念は、社員やステークホルダーとの良好な関係を築く重要性を示しています。これにより、従業員のエンゲージメントが高まり、持続的な組織の繁栄が可能となっていくことでしょう。

稲盛和夫に学んだ運命を高める生き方 大田嘉仁さん(日本航空元会長補佐専務執行役員)p30

 ここでは、稲盛氏の特命秘書として30年にわたり行動を共にしてきた大田嘉仁氏の経験が述べられています。大田氏は稲盛氏の言葉や哲学を記録し、彼の側近として長年にわたり支え続けた稲盛氏からの学びを一冊の書籍『運命をひらく生き方ノート』(致知出版社、2024年)としてまとめました。稲盛氏の教えのエッセンスを凝縮し、彼が経営や人生において大切にしてきた価値観や信念が具体的に描いたものです。

稲盛和夫氏との30年間の密接な時間
 
大田氏が新卒で京セラに就職したのは1978年のことです。そこから1991年に、稲盛氏が政府の第三次行政改革審議会部会長に就任した際、突如として稲盛氏の特命秘書に任命されました。彼はそれ以来、約30年間にわたり稲盛氏と密接に時間を共有し、その教えを身近で学んできました。通常、企業のトップに近い存在であれば、その影響力を受ける機会は限られるものですが、大田氏はその稀有な立場から、稲盛氏の言葉を直接聞く機会に恵まれ、彼の経営哲学や人間観、そして生き方の教えを詳細にノートに書き留めてきました。このノートは稲盛氏が退任する頃には60冊にも上り、それは稲盛氏の側近であった大田氏にとってかけがえのない財産となったのです。

稲盛氏から学んだ「明るい未来を描く力」と「努力の大切さ」
 
稲盛氏の教えの中で特に重要なものとして、大田氏が最初に紹介したのは、「神様は平等だ」という言葉です。これは、人生においてどんな困難な状況に直面しても、努力を続けていけば必ずその努力が報われるという信念を表しています。稲盛氏は、「人生におけるすべての出来事は必然であり、偶然ではない」とも語っており、その信念に基づいて、どんなに困難な状況にあっても明るい未来を描き続けることの重要性を説きました。人は、時に努力が報われないと感じることがありますが、そのような時こそ稲盛氏は「神様は万能であり、私たちの努力を見てくれている。だからこそ、どんなに苦しくても努力を続けることが大切だ」と語り、周囲の人々を励ましました。この言葉により、大田氏もまた、数々の困難を乗り越え、企業の再建や経営の現場で多くの成果を上げることができたのです。

謙虚さと警戒心の必要性
 
稲盛氏はまた、成功に対しても警戒心を持つことの重要性を説いていました。彼の言葉の中で「人間は成功しかけると、どうしても狂ってしまう」というものがあります。これは、成功が目前に迫ると、知らず知らずのうちに傲慢さや自信過剰が生まれ、その結果として道を誤る可能性が高まるという警告です。稲盛氏は「謙虚さは魔除け」であると繰り返し教えており、成功を収めるほどに、逆に自分自身に対してより厳しい警戒心を持たなければならないと強調していました。この教えは、大田氏が経営の現場で実践する際にも大いに役立ちました。成功すること自体は目指すべき目標である一方で、その成功に溺れてしまうことなく、常に謙虚さを忘れず、自己を省みることの重要性が強く刻まれています。

JAL再建での稲盛氏の教えの実践
 
大田氏が特に稲盛氏の教えを実感したのは、日本航空(JAL)の再建に携わった時でした。JALが倒産した直後、多くのメディアや評論家たちは再建は不可能であると断言していましたが、大田氏は稲盛氏の教えを胸に、社員の意識改革を進めました。稲盛氏は「人間には良い人間も悪い人間もいない。教育次第で誰もが良い人間になれる」という信念を持っており、その考えに基づいて、倒産後の厳しい状況にある社員たちを再教育し、心を改めさせることに取り組みました。この過程で「作用があれば反作用がある」という物理の法則にも似た言葉が心の支えとなり、幹部たちからの強い反発を乗り越えて、改革を進めることができたと大田氏は述べています。

経営における「フィロソフィー」と「全員参加経営」
 
稲盛氏が大切にしていたのは、経営者が社員一人ひとりの幸福を追求することです。彼は「経営者は全従業員の物心両面の幸福を追求するべきだ」と教えており、これが京セラやKDDI、そしてJALの再建においても共有された理念でした。この理念に基づいて経営を行うことで、社員の意識が変わり、全員参加型の経営が実現しました。全社員が経営者意識を持ち、会社の成長を自分事として捉えることで、企業は高収益を実現し、安定した成長を遂げることができると稲盛氏は強調していました。

成功方程式と心の栄養の重要性
 
稲盛氏の成功方程式「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」は、彼の経営哲学の根底にあるものです。この方程式は、正しい「考え方」を持つことが成功への第一歩であるとし、それに加えて「熱意」を持って行動することが必要であると説いています。ただし、この熱意は単なる情熱ではなく、どんな困難にも立ち向かう強い意志と持続力を指します。稲盛氏は、「できるからやるのではない。どうしてもやりたいからやるのだ」という言葉で、真の熱意とは、他者のために全力を尽くす意欲と、その意志の持続であると教えています。

 さらに、稲盛氏は「心に栄養を与えること」の重要性についても触れています。心の健康を維持するためには、良書を読む、美しい音楽や自然に触れるなどして、心に栄養を与えることが必要です。これにより、困難な状況でも心の疲れを癒し、明るい未来を描き続ける力を養うことができるのです。

まとめと人事としての示唆
 まず注目すべきは「人間の心を育てる」という視点です。稲盛氏が説いたように、社員一人ひとりの「心を良くする」ことが、組織全体の成功に直結するという考えは、現代の人事戦略においても非常に重要です。従業員がただスキルを高めるだけではなく、会社のビジョンに共感し、仲間と協力して成長する「心」を育てることが、企業文化の基盤となります。

 さらに、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という理念は、社員満足度の向上を通じて業績向上を目指す現代の企業にも通じます。特に、全員参加型の経営を推進することで、社員が自らの役割を主体的に捉え、経営者意識を持つことが重要です。これにより、社員一人ひとりが企業の成長に貢献できる環境が整い、長期的な企業の持続的発展が期待できるでしょう。人事、人材育成に多くのヒントがあると感じます。

伊勢神宮が教えてくれたもの 吉川竜実さん(伊勢神宮参事)p34

 伊勢神宮に36年間奉職してきた吉川氏による本記事は、日本の精神文化の中心である伊勢神宮の深遠な精神性と、そこから得られる現代人への示唆に富んだ教えについて、詳細に解説しています。私も数年前、伊勢神宮に行きましたが、改めて知ったことがたくさんありました。

神道と自然への感謝
 
神道は日本固有の宗教であり、その中心的な考え方は自然の中に神々が宿るというアニミズムの精神に根ざしています。山々や森、川、草木など、自然界に存在するすべてのものに神聖な霊魂が宿っているとされ、私たち人間はその自然と共存し、敬意を払うことが求められています。特に伊勢神宮のような場所は、こうした神道の精神が強く息づいており、参拝者はその場に身を置くだけで、自然との一体感を感じ取ることができます。

 伊勢神宮では、清浄な空気や静寂の中で、風にそっと触れたり、目の前に広がる雄大な大木を見上げたりすることで、日常の喧騒から離れ、心を洗うような体験が得られます。こうした神聖な空間で自然の力を感じることが、現代社会で失われつつある「豊かさ」を取り戻すきっかけとなるのです。自然と共に生き、自然に感謝し、そこから得られる豊かさを感じ取ることが、神道的な生き方の本質であり、この感性を現代人は再び取り戻すべきだという教えがあります。

試練と再生の力
 
神道の教えの中で、非常に重要な概念として「禊(みそぎ)」があります。これは、心身を清め、ゼロの状態に戻すという儀式であり、神道の重要な要素とされています。禊を通じて私たちは日々の生活の中で抱える穢れや執着から解放され、再び新たな始まりを迎えることができるのです。禊を受けた後、直感や閃きが下りてくるというのは、心身が清浄な状態に戻ることで、物事をより純粋な形で捉え直すことができるためです。
 また、神道には古代の神話に見られるように、多くの神々が試練や失敗を経験し、それを乗り越えることで再生するという物語が数多く存在します。例えば、大国主命の子である建御名方神が、武神である建御雷神との戦いに敗れて出雲を追われるものの、最終的には諏訪大社の御祭神として祀られるようになるという話があります。

 このように、挫折や試練があったとしても、それを前向きに捉え、ゼロに戻って再出発することが重要であり、そこから新たな道が開けてくると神道は教えています。人生において、失敗や困難は避けられないものですが、それを禊として清め、新たな視点で物事に向き合うことで、より良い未来が切り開かれる可能性が広がるのです。

日本の文化と「足るを知る」精神
 
神道の教えの中には、物質的な豊かさを追求するよりも、今あるものに感謝し、満足するという「足るを知る」精神が含まれています。現代社会では、物質的な豊かさが当たり前のように享受されており、私たちは「もっと欲しい」「もっと豊かになりたい」という欲望に駆られがちです。しかし、神道の教えに従えば、本当に大切なのは、今手にしている豊かさに感謝し、それを十分に味わうことです。例えば、日本は経済的な不況が続いていると言われていますが、世界的に見ても物質的にはまだまだ豊かな国です。食べ物や住まい、衣服など、生活に必要なものは十分に整っており、文化的な豊かさも保たれています。

 こうした状況に感謝し、必要以上に物を追い求めるのではなく、今あるものを大切にすることが、日本人が持つべき本来の精神であり、幸せに生きるための鍵だと神道は教えています。この「足るを知る」精神は、現代日本人が失いつつある重要な価値観であり、もう一度その教えに立ち返ることで、私たちの幸福度は大きく向上するでしょう。過剰な消費や物質的な欲求を抑え、自然と共にある暮らしを取り戻すことが、真の豊かさを実感するための第一歩となるのです。

伊勢神宮の役割と精神的なふるさと
 
伊勢神宮は、日本人にとって特別な場所であり、しばしば「心のふるさと」として語られます。伊勢神宮は、古代から続く自然との共生や調和を象徴しており、そこを訪れる人々に心の安らぎや再生の機会を提供しています。伊勢神宮では、20年ごとに社殿が新たに建て替えられる「式年遷宮」が行われており、これは単なる建物の更新ではなく、古代から続く祈りの場をそのまま後世に伝えるための重要な儀式です。式年遷宮によって、神宮は常に新しい姿でありながら、同時に古代の姿を保ち続けており、時間を超越した存在として機能しています。

 これにより、参拝者は過去と未来をつなぐ「今」という瞬間に集中し、その場で祈りを捧げることで、古代の人々と対話し、神々と繋がることができるのです。この「今」という時間の捉え方は、神道独自の時間観であり、ギリシャ神話に登場するカイロスの時間概念に通じるものがあります。カイロスの時間は、過去も未来もすべて「今」に畳み込まれているというもので、神道の精神にも共通しています。過去も未来も「今」という瞬間に集約されていると考えることで、私たちは今を大切に生きることの重要性を再確認できるのです。そして、伊勢神宮が教えてくれるもう一つの重要な教えは、日々の生活の中で「足るを知る」こと、すなわち今の豊かさに感謝し、満足する心を持つことです。これこそが、現代日本人が失いつつある精神であり、再び取り戻すべき大切な価値観なのです。

神道に学ぶ組織の調和と再生力の重要性
 
神道の精神や伊勢神宮の教えから、企業人事の視点で考えるべき点は、組織の「調和」と「再生力」に関する重要性です。神道が自然やすべてのものに神聖な存在を認めるように、組織においてもすべての社員が不可欠な存在であり、それぞれが持つ個性や才能が組織全体の調和を生み出すという考え方が重要です。特に、異なる価値観や背景を持つ社員を包み込み、全員が共存できる環境を作ることが、組織の健全な成長につながります。

 また、「禊」に象徴されるゼロの状態に戻るという考え方は、組織の変革や危機に直面した際のリセットの重要性を示しています。社員が試練や失敗を経験した際に、組織として彼らを再生させるためのサポートを行い、新たな視点や成長の機会を提供することが、人材育成の観点からも重要です。過去にとらわれず、常に前向きに挑戦し続ける風土を作ることが、持続的な組織の発展に寄与するでしょう。組織の観点からも学びが多い内容でした。

ギブ・ギブ・ギブ&テイクの姿勢が人生を切り開く 山岡彰彦さん (アクセルレイト21社長)p48

 山岡氏が自身のコカ・コーラ社での営業経験を通じて得た深い学びや人生哲学について語っています。特に営業職としての成功に必要な要素や、人生を切り開くための姿勢に焦点を当てています。

山岡氏の営業経験とその学び
 
山岡氏は、コカ・コーラ社で長年営業職として活躍し、その過程でさまざまな困難に直面しました。当初、過酷なルート営業の業務に取り組む中で、結果にフォーカスしすぎていたと振り返ります。しかし、先輩や上司からの助言や自らの努力を通じて、短期的な成果だけを求めるのではなく、プロセスを重視し、地道に取り組む姿勢の重要性を学びました。「敬店愛品」という考え方を大切にし、単に製品を販売するだけではなく、お客様や製品を心から敬い、大切にする心構えを営業活動の根幹に据えました。この姿勢が結果的にお客様からの信頼を獲得し、大きな成果を生む原動力となったと語られています。

挫折と成長の過程
 
入社当初、厳しい環境の中で多くの同期が会社を去る中、山岡氏自身も辞職を考えるほど追い詰められていました。しかし、彼を支えたのは素晴らしい上司や先輩たちからの助言でした。特に、目標やビジョンを持つ重要性についての指摘は、彼にとってターニングポイントとなりました。また、「継続して学び続ける者が最後に勝つ」という上司の言葉に触発され、読書や自己啓発に取り組むことで、新たな視点と知識を身につけていきました。このような地道な努力と、周囲の支えがあったからこそ、営業職としての基盤を築き上げることができたのです。

「学び続けること」の重要性
 
山岡氏は、「学び続けること」がいかに重要であるかを実感しています。彼は、単なる業務スキルの向上だけでなく、人間としての成長を目指して読書や研修、ネットワークの構築に励みました。その中で特に影響を受けたのは、ジェームズ・アレンの「原因と結果の法則」やスティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」などのビジネス書です。これらの書籍を通じて、結果だけにとらわれるのではなく、そこに至るまでのプロセスや原因に目を向けることの重要性を学びました。この考え方は、営業職としての活動だけでなく、人生全般においても応用可能な普遍的な教訓であると感じています。

人生とビジネスのビジョン
 
山岡氏はまた、人生においても明確なビジョンを持つことの重要性を説いています。ビジョンを持ち、それに向かって行動することで、自己成長や目標の達成が可能になると語ります。自身も、定年を迎える10年前から入念な準備を行い、企業や大学とのネットワークを構築してきました。その結果、現在は人材育成に関わる活動を行い、多くの人々に影響を与える立場となっています。「念ずれば通ず」「ギブ・ギブ・ギブ&テイク」という信条を大切にし、与えることで結果的に多くを得るという考えを実践しています。

新規開拓における戦略と視点
 
営業活動において山岡氏が特に強調するのは、新規市場の開拓における視点の転換です。従来の方法や発想にとらわれることなく、相手の立場に立って考え、新たな価値を提供することの重要性を説いています。例えば、顧客が真に求めているものを見極め、そのニーズに応えることで新しい市場を切り開く成功事例を多く持っています。これにより、既存の枠を超えた顧客層を取り込むことに成功し、営業活動における大きな成果を上げてきました。

普遍的な教訓と実践方法
 
山岡氏が営業活動を通じて得た教訓は、営業職だけでなく、あらゆる職業や人生の局面においても適用可能なものです。特に重要なのは、物事を順序立てて考え、目標達成のための戦略を練るという姿勢です。6つのステップに分け、目的達成のために着実に進むことの重要性を強調しています。このような計画的で論理的なアプローチが、短絡的な行動を避け、長期的な成功につながると語っています。

結論としての姿勢
山岡氏は、営業職においても人生においても「敬店愛品」の精神を持ち続けることが、真の成功を収める鍵であると結論づけています。お客様を敬い、製品やサービスに誇りを持つ姿勢が、長期的な信頼関係と成果を築く土台となるのです。また、「ギブ・ギブ・ギブ&テイク」という利他の精神を実践することで、自身の可能性を広げ、より良い人生を切り開く原動力になると信じています。

 山岡氏の具体的な経験と洞察を通じて、仕事や人生における成功の秘訣を学べる内容でした。それは、現場での地道な努力や学びを大切にし、周囲の支えを得ながら自己を成長させることの重要性を示しています。この教訓は、営業職のみならず、あらゆる分野の人々にとっても示唆に富んだものであり、長期的な成功への指針となるものです。

企業人事の立場から
 
企業人事の立場から山岡氏の教訓を考えると、人材育成と組織の持続的成長において重要な示唆が得られます。まず、「敬店愛品」の精神やプロセス重視の考え方は、企業文化としての顧客志向や倫理的行動の重要性を示しています。このような価値観を社員に浸透させることで、顧客との信頼関係を築き、長期的なビジネスの成功に繋がります。

 さらに、「学び続ける人が勝つ」という信念は、社員の主体的な学びを促進する人材開発戦略に直結します。企業は研修やOJTだけでなく、個々のキャリアビジョンを支援し、内発的動機を高める環境を整える必要があります。これにより、社員の成長が組織の競争力向上に貢献します。

 また、山岡氏が挙げた「物事を順序立てて進める」姿勢は、人事評価や目標設定においても活用できます。明確な目標を設定し、それに基づく計画的な行動を促す仕組みを整えることで、社員の成果を公正に評価し、組織の生産性を高めることが可能です。

 これらの教訓を生かし、社員の成長と組織の成果を両立する人事施策を実現するためのヒントになります。

0歳からの子育て ~子育てにも法則がある~ 内田伸子さん(お茶の水女子大学名誉教授)佐藤亮子さん(教育評論家)p54

 この対談では、内田さんと佐藤さんが、現代の子育てに関するさまざまな知見とアドバイスが満載されています。

 内田さんは、お茶の水女子大学の名誉教授として長年にわたり発達心理学や言語心理学の研究を行い、NHKの教育番組や通信教育教材の監修などに携わってきたことから、発達段階に即した教育の重要性を訴え続けています。

 一方、佐藤さんは、自身の子育てを通じて、子供の潜在能力を引き出し、全ての子供を東京大学の理科三類に進学させた経験があり、その子育て術が注目されています。彼女の取り組みは、親としてどのように子供をサポートし、未来を切り開くための基礎を作るかについて、多くの学びを提供しています。

 2人の対談の中で、特に印象的なのは「自走する力」、すなわち、子供が他人に依存せず自分で考え、判断し、自らの道を選び取っていく力を、どのようにして幼少期から育んでいくかということです。これは、知識を単に詰め込むだけの教育ではなく、子供自身が考え、決断し、行動できるようになるための「環境作り」を大切にするアプローチです。内田さんと佐藤さんは、子供たちが将来、自らの力で人生を切り開いていくためには、親がどのような関わり方をしていくべきかについても、具体的な方法や体験を交えながら意見を交わしています。

 内田さんは、最近注目を集める「早期教育」について慎重な立場を取っています。近年では、子供の将来を心配するあまり、赤ちゃんの頃から英語の教材を与えたり、早期教育に積極的に取り組む親も増えていますが、内田さんは、まずは母語である日本語の基礎をしっかりと築くことが重要であると考えています。日本語やモンゴル語、韓国語といったウラル・アルタイ語系の言語を母語とする人々にとって、英語を理解することは自然には容易ではないため、幼少期には母語教育を優先させるべきだと主張します。母語がしっかりと身についていることで、後に他の言語を学ぶ際にもその基盤が役立つとし、早期から無理に英語を学ばせることがかえって障害になる場合もあることを警告しています。

 さらに、子供が「自走する力」を育むためには、親の関わり方が重要です。内田さんは、特に「考える力」や「判断力」が幼少期から徐々に育っていくものだとし、親がその力をサポートし、無理に押し付けるのではなく、自然と引き出せるような環境を整えるべきだと述べています。この「自走する力」とは、いわゆる他者に依存することなく、自らの判断で行動を選び取る力であり、将来の学習やキャリア形成においても大きな財産となります。佐藤さんもまた、子供が自立して人生を切り開いていけるように、親が18年という限られた時間でできる限りのサポートをすることが大切だと考え、実際にその考えを実践に移してきた経験を語っています。

 特に注目されるのは「読み聞かせ」や「童謡の歌い聞かせ」の効果についてです。内田さんは、幼少期の子供にとって、親が声をかけたり絵本を読み聞かせることが言語能力や想像力の発達に重要であると考えています。また、佐藤さんは、自分の子供たちに対して、3歳までに1万冊の絵本を読み聞かせ、1万曲の童謡を聞かせるという壮大な目標を掲げ、それを実行に移したといいます。彼女は、日々の取り組みをカレンダーに記録することで、目標を達成する喜びを感じながら、子供と共に成長することができたと語ります。このような積み重ねが、単に言語能力を伸ばすだけでなく、子供たちに日本語のリズムや響きを身につけさせ、自然な形で知的好奇心を育む基礎となると考えています。

 現代の子育てにおいて、内田さんと佐藤さんが共に懸念しているのは、デジタル機器の使用とその影響についてです。スマートフォンやタブレットが子供たちに与える影響について、内田さんは具体的な研究結果を挙げながら視力や集中力への悪影響を指摘しています。たとえば、近距離で小さな画面を見続けることで視力が低下し、さらにはコミュニケーション能力や人間関係の発達に悪影響が及ぶ可能性があるといいます。また、デジタル機器は親の目が届かない場所での使用が容易で、子供たちが自己管理できないまま使用し続けてしまうことが問題視されています。内田さんは、こうしたデジタル機器の使用が日常的になることに警鐘を鳴らし、子供が自然と遊び、学び、成長する時間を確保するためにも、親が適切に制限を設けるべきだと述べています。

 また、「外遊び」の重要性についても語られています。内田さんは、子供たちが自然の中で遊び、身体を動かし、さまざまな経験を積むことで、社会性や判断力、さらには創造力といった人間としての基礎的な力を養うことができるとしています。こうした力は、後の学習やスキルの習得においても重要であり、AIやデジタル化が進む現代においても、その価値は変わらないと主張しています。佐藤さんも、自然の中で子供が自由に遊ぶことがいかに大切かを実感しており、デジタル機器に頼らずに親が積極的に外遊びの機会を作ることが、子供の成長を支える重要な一歩であると述べています。

 このように、内田さんと佐藤さんの対談は、早期教育の効果やデジタル時代の子育てについて、単に知識や技術を詰め込むだけではない「自走する力」を育むための考え方と環境作りの大切さを教えてくれます。

 企業の中でも、2にの対談の内容の中で、子育てや教育における「自走する力」の重要性は、従業員の自律性と主体性の育成においても非常に参考になります。自ら考え、判断し、行動できる力を育む環境は、企業においても業務遂行力や意思決定力の向上に繋がります。特に若手社員や新入社員には、上司からの指示待ちではなく、自己解決力や責任感を持って行動できる人材が求められます。これには、組織として学びや成長をサポートする制度や環境作りが必要です。
 例えば、キャリア形成における自主的な目標設定や、自己評価とフィードバックを通じて自律的に学ぶ機会の提供は、「自走する力」を育む上で有効です。また、上司が単に指示を出すだけでなく、部下の成長を引き出すような質問やサポートを行うことで、社員が主体性を持って業務に臨む姿勢を形成できます。企業人事の役割として、こうした「自走」を支援する風土づくりが重要といえるでしょう。多くのヒントが込められています。

吉田松陰の言葉が教える人生の要諦 上田俊成さん(松陰神社名誉宮司)、田中正徳(ショウイングループ会長)さん p64

 ここでは、吉田松陰の教育思想とその現代における応用について、松陰神社の名誉宮司である上田俊成氏と、松陰塾を全国で展開している田中正徳氏との対談です。吉田松陰の教育理念がどのように受け継がれ、現代の若者や子どもたちにどのように適用されているのかを深く掘り下げています。吉田松陰が持つ教育の精神が、ただ単に知識を教えること以上に、志を持って学び、自己の成長を促すものであったことが強調されています。

吉田松陰の教育理念の核心
 松陰は幕末の志士を育て、明治維新に大きな影響を与えた教育者です。彼の教育は、生徒の個性を尊重し、彼らが持つ潜在能力を最大限に引き出すものでした。そのため、松陰の教えは一律の指導ではなく、各生徒が自ら考え、自ら学ぶ力を育むことを重視しました。松陰の名を冠した松陰塾でも、これを現代の教育の場で実践しており、特に「わかるまで先に進まない」という教育方針を掲げています。この教育方針は、単なる知識の習得に留まらず、学習を通じて生徒が主体的に学ぶ姿勢を養うことを目指しています。吉田松陰の「志を立て、学問に励む」という教育理念は、現代においても変わらず重要なものであり、それを実践する場として松陰塾が機能しています。

松陰塾の創設と発展の過程
 
田中氏は、大学卒業後、福岡の住宅メーカーに就職しましたが、サラリーマン生活が自分に合わないと感じ、わずか3か月で退職しました。その後、学生時代に経験した家庭教師のアルバイトを生かし、学習塾の事業に携わるようになりました。最初の塾は小規模なもので、生徒数もわずか3人というスタートでしたが、彼は飛び込み営業や電話営業を行い、必死に生徒を集めていきました。その結果、徐々に教室が増え、松陰塾は少しずつ成長していきました。しかし、塾の運営には多くの課題がありました。講師の質にばらつきが生じたり、生徒が講師に依存してしまい、自己学習の習慣が身に付かないといった問題が浮上しました。そこで田中氏は、これらの課題を解決するために、当時としては珍しかったコンピュータを活用した学習法に目をつけました。

コンピュータを活用した学習システムの導入
 田中氏は、従来の個別指導塾の運営を続ける一方で、コンピュータ学習システムを導入し、塾生が自分のペースで学習できる環境を整えました。このシステムは、生徒が問題を解くごとにその成果を自動的に記録し、次に進むべきステップを判断します。これにより、生徒は自らの理解度に応じて学習を進めることができ、効率的に学習内容を習得できるようになりました。また、このシステムは「わかるまで進まない」「わかるところから始める」「わかるまで繰り返す」という松陰塾の三大法則を実践するために最適なツールとして機能しています。松陰塾は、この学習法を全国に広げ、現在では全国で約300校を展開し、9,000名以上の生徒が学んでいます。

松陰神社との深い関係
 松陰塾の教育は吉田松陰の教えに基づいており、田中氏は毎年、塾の全社員と生徒を連れて松陰神社を正式参拝しています。また、松陰神社の境内には「学びの道」という小道が設けられ、そこには吉田松陰の名言が刻まれた句碑が並んでいます。この道を通ることで、生徒たちは松陰の教えを実際に体感し、学びの重要性を再確認できる環境が整っています。田中氏はまた、松陰神社の名誉宮司である上田氏と協力し、松陰塾の生徒たちが松陰の教えをより深く理解できるよう、さまざまな教育プログラムを実施しています。上田氏は「松陰の教えを継承し、発信することは、松陰神社と松陰塾の重要な使命である」と述べており、田中氏との協力体制が強化されています。

現代における松陰の教えの適用
 コンピュータを使った学習システムを取り入れることで、生徒たちは効率的に学ぶことができる一方で、松陰の教育理念に基づいた「わかるまで繰り返す」学習法が実践されています。この学習法は、生徒が一つ一つの課題を確実に理解し、次のステップに進む前に十分な自信を持てるようにするためのものであり、これにより生徒は着実に成績を向上させ、自信を持って学習に取り組むことができるようになります。また、田中氏は「教えない塾」という逆説的な表現を使っており、講師やオーナーは生徒に対して直接教えるのではなく、彼らの自主的な学びをサポートする役割を果たすことが重要であるとしています。

松陰の教えに基づいた徳育教育
 松陰塾では、単に学力を向上させるだけでなく、生徒の人間性を育むことにも力を入れています。吉田松陰の名言を基にした「松陰塾門下生読本」を生徒に配布し、日常の学習の中で思いやりや礼節、親孝行の大切さを教えています。また、毎年開催される作文大会では、生徒たちが松陰の教えに基づいた自らの考えを表現する機会を提供しており、これにより生徒たちの人格形成にも寄与しています。このように、松陰塾は学力だけでなく、人間性の成長も重視した教育を実践しており、松陰の教育理念を現代にしっかりと受け継いでいます。

企業人事の立場から考えること
 
個々の社員の自主性や能力を最大限に引き出す教育や育成方針が、現代の組織運営においても非常に有用であると言えます。松陰が重視した「個性を尊重し、自己の志を立てる」という姿勢は、企業内でのキャリア開発や自己成長に繋がります。社員一人ひとりが自ら考え、行動することは、業務の効率向上やイノベーションの促進にも寄与します。

 また、松陰の「わかるまで進まない」「わかるところから始める」といった教育方法は、OJTや研修プログラムにも応用可能です。特に、新人社員や若手社員に対しては、基礎的なスキルをしっかりと身につけさせることが重要であり、その過程で自信を持たせることが後の成長を大きく左右します。さらに、松陰が強調した徳育も組織文化の醸成において欠かせない要素であり、社員が互いに尊重し合い、協力する環境づくりが企業の持続的な成長に寄与すると考えられます。

自己免疫力を高める生き方 ~この冬を乗り切る心身のデトックス術~ 石黒成治さん(消化器外科医・ヘルスコーチ)p136

 石黒氏は長年外科医として多忙な日々を送る中で、医療の在り方に疑問を抱きました。特に、大勢の患者に対して毎回薬を処方することが主な業務となっている状況に違和感を覚え、本来の医師の役割は患者の身体を治し、薬に依存しない健康な生活を送れるように導くことではないか、と考えるようになりました。その後、自らの生活習慣を見直し、健康を取り戻すプロセスを通じて、患者へのアプローチを根本から変える決断をしました。

健康の基本:免疫力の重要性
 
石黒氏が提唱する健康の基本は、免疫力を高めることにあります。免疫力は私たちの体を病気から守るための重要な防衛機能ですが、それを低下させる要因は主に三つあります。一つ目は食品添加物などの「毒素」、二つ目は栄養不足、そして三つ目はストレスです。これらは、日常生活の中で知らず知らずのうちに積み重なるものですが、それらを排除し、バランスを取り戻すことが免疫力を向上させるために必要です。

 特に、腸内環境の改善が重要とされており、免疫細胞の約80%が腸に存在していることからも、腸の健康を整えることが健康全体に大きな影響を与えることが示唆されています。腸内環境が悪化すると、体内の免疫資源が毒素の排除に割かれ、本来の防御機能が十分に発揮されなくなるからです。

食生活の見直し:自然食品と栄養素の摂取
 
免疫力向上のためには、食品添加物を多く含む加工食品をできるだけ避け、自然食品を中心とした食生活を送ることが推奨されます。例えば、味噌や麹、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。また、生野菜や果物の表面には植物性乳酸菌が含まれており、これらを積極的に摂取することで腸内のバランスが改善されます。

 さらに、ビタミンDの不足を補うために、日光浴やサーモン、キノコ類を摂取することが重要です。ただし、栄養素は単体で摂取するのではなく、食品全体を通じてバランスよく摂ることが求められます。特定の成分だけを大量に摂ることは健康に逆効果になる可能性があるため、注意が必要です。

デトックスの習慣化:毒素排出の重要性
 
健康を維持するためには、体内に蓄積した毒素を排出する習慣を持つことが不可欠です。その方法として、汗や便、尿、呼吸による排出が挙げられます。特に、運動によって汗をかくことは、重金属やプラスチック微粒子などの有害物質を体外に出すために非常に効果的です。

 ただし、過度な運動をする必要はなく、朝の軽いウォーキングや日光浴を取り入れるだけで十分な効果があります。これにより体内時計がリセットされ、血糖値の安定にもつながります。また、朝一杯の水にリンゴ酢やレモンを加えて飲むことで、腸の働きを助ける効果が期待できます。

メンタルヘルスと免疫力の関係
 
石黒氏は、心の健康が免疫力に直接影響を与えると強調しています。不安や恐怖は免疫力を低下させる要因となるため、ポジティブなマインドセットを持つことが大切です。「自分がやるべきことを実践している」という充実感が、免疫力を高める基盤となります。逆に、過度な恐怖やストレスは体に悪影響を及ぼし、結果として病気にかかりやすくなるリスクを高める可能性があります。

まとめ:自分自身の健康を守るための行動
 
石黒氏が提案する健康法は、自然な生活習慣を通じて体を整えるというシンプルなものでありながら、非常に効果的です。加工食品を避け、自然食品を取り入れること、適度な運動とデトックスを習慣化すること、そしてポジティブな心の状態を保つことが、免疫力を最大限に引き出す鍵となります。

 以上のような取り組みを実践することで、不安から解放され、充実感をもって生活を送ることが可能になります。健康とは単に病気を防ぐことではなく、日々の生活をより豊かにし、幸せを感じるための基盤であることを改めて考えさせられる内容でした。



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