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「小世界大戦」の【記録】 Season1-7
「・・で、まず取り組むことなんですが。
まずは、朝礼の停止、そして毎朝全職員が校門に立ちましょう。」
「・・・え?・・・」
全職員といったら、大変な数だ。、本気でやろうとしてるんだろうか・・。
「むろん、全員が校門に立つわけにはいきません、
ローテーションで通学路の要所も含めて、職員全員が立ちます。」
ああ、そういうことか。と吾郎は納得した。
要するにパトロールだな・・・。と思ったとき、
永山先生は、補足してこう告げた。
「することは、おはようございますの挨拶のみです。
それ以外は必要ない。」
吾郎は思わず質問した。
「服装チェックとか、そういう規律指導は必要ありませんか?」
永山は、ふっと笑って言った。
「必要ありません、どんな場合でも、挨拶のみです。これを徹底します。」
その時、栗山先生がそれに補足するように言った。
「不思議に思うかも知れませんが、
彼らの文化に打ち勝たねばならないんです。
そのためには学校の集団を正常化する必要がある。
彼らが何に対してツッパッているのか、
よく考えればわかることですよね。」
そして、たたみかけるように、永山先生が補足をした。
「正面から無自覚にぶつかっても、
逆に彼らが騒ぎ立てる理由を作るだけだ。ということです。
・・・ですが、何もするな・・ということではありません。」
なんだか核心に入ってきたな・・。と吾郎は感じていた。
永山先生はさらに続けた。
「服装チェックに関しては、余計なトラブルのモトですから、
特に重視しません。
そういうものは集団が落ち着けば、自然淘汰されるからです。
ですから、くれぐれも、服装に関しては触れないよう
共通行動してください。・・・ただし・・!」
永山先生の眼光が鋭く光った。吾郎は思わず背筋を伸ばした。
隣に座っていた満仲も同じように表情をこわばらせていた。
「犯罪に値する行為、そして、そもそも他人の学習権を奪う行為には、
徹底して厳しい態度で対応してください。」
吾郎は、なるほど、合理的な基準だな・・。と納得した。
「それと・・・」
永山先生はさらに眼光を鋭くさせて、強く言った。
「決して、単独であたらないでください。
必ず対応は二人以上であたってください。
まず、事案を見つけたら、必ず応援を頼み、
チームでそれにあたってください。」
吾郎はなんとなく卑怯なやり方かな~。
とも思ったが、その疑問には、反対隣にいた財前先生が補足してくれた。
「問題生徒は、単独じゃ何もしないんです。っていうか、できない。
問題行動は仲間がそろったときに起こすからですよ。」
「ああ~、なるほど。」
「一人だけだと、実はものすごく無力な連中なんですよ。
・・だから、群れる。」
「群れには、集団で対抗するってことですか?」
「はい、そうだけど、本当はもっと別なところにある・・。」
財前先生は少しうつむいて、ぼそっとつぶやいた。
「一人一人は、ホントはいいこばっかりなんですよ・・。」
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