シンメトリーの研究
「シンメトリー」とは「対称」のことです
最も象徴的なのは「左右対称」のように、一つの中心軸や点を基準にして、同じものが相対することを言います。
なぜこのテーマを選んだのかというと、歴史的な建造物や、思想、宗教にしてもこういったシンメトリーが希求されている点にあります。
あたしなりに、人々が古来はもとより、なにゆえシンメトリーを希求したのか、あたしなりに考察してみたいと考えました。
それになんとなく気づいたのが、台湾でいくつかの寺院を訪ねたときでした。これらの寺院は見事に左右対称なのです。
で、美しいというか、周りの雑多性の中にあって、凜とした秩序がそこに感じられるわけです。この感覚は何だろうかと思い巡らしたとき、「対称」ではないのかという仮説が生じたわけなんです。
この街はきわめて雑多で規則性がないように感じたのですが、その中において唯一、寺院とか、伝統的な公共建築は、その意匠が基本的にシンメトリーでした。
で、このことはここに限らず、あらゆるところにこういった対称構図があることに気づいたのです。
シンメトリーは究極の「安定構図」
たとえば、飛行機を例にとると、まさにシンメトリーそのものです。この機械は、基本のシンメトリーから、左右のバランスを調整して、意図的に「非対称」をコントロールすることによって、自在に航行する仕組みになっています。
これは航空機に限らず、乗り物すべてがこの原理で動いています。すなわち、ものが動くということは、このシンメトリーの状態を、何らかの力で崩す事である。ということが考察されます。
ですから、コントロールされた非対称と、そうではないものでは大きな違いを生むという原理が働くわけです。
また、その対称は、コントロールが効く範囲と、それを超えて制御不能になる限界を持っているということが十分考えられるのです。
さらにいうなら、非対称なるものは、自然と対称になるように修正する動きが働くのだということです。崩す動きと修正する動きが、まさにシンクロして働くわけです。
なんだか興味深い考察ができそうです。