少女漂泊~Monologue by HARUKA ζ
内海センパイからメールが来た。
なんでも、就職活動とかで、
京都の実家にしばらく逗留するそうだ。
で、せっかくだから、遊びに行かないか?
という内容。
おいおい・・就職活動はどうなったんだ?
ま~ったくのんきなセンパイだ。
こーいう人と結婚する人は
よほどしっかりしてないといけないだろうなぁ
あたしだったら、マジ願い下げだな。
このタイプは
「結婚してはいけない男」のトピックにいれとこう
で、返信
・・・はぁ???
あたしの都合なんか聞きやしない。
まったくすべてがマイペースの男だ。
まぁ、こういう無神経さは
いつものことだから、疲れるけど慣れた。
下宿のお礼も言ってなかったし。
会うのはいいけど、必ずあたしをハグするの
なんとかならないかな・・。
まぁ、イヤではないけどね。
下心を感じないからかも知れない。
あたしは身支度をして、京阪の駅に向かった
始発の電車は、あたしが乗り込むとすぐに発車した。
相変わらず、観光客の姿が目立つ
そこが、あたしが生まれ育った東京との大きな違いだった
でも、ふと考えたよ
そこに「住む人」と「訪れる人」の違いは何なのだろう。
根本的に「区別」するものは何もないと思う。
一見した対象でいえば、
そこにいる人。においてなんの違いもない。
また、区別する理由もないのだ。
電車の窓からは、ずっと鴨川が流れていた
この川だって、同じ水がずっとあるわけじゃないけど
ちゃんと水としてそこにあるって事か・・。
京都に来てから
なんとなくそういうことを考えるようになってきた
というか、
一人暮らしを始めたせいかもしれないな。
三条木屋町のコンビニ前に来た。
うっちーセンパイの姿は見えない・・・。
絶対どっかに隠れてるな
と、思った時。
ぱっと視界が黒くなった。
・・・・もう!
「だ~れだ!」
センパイの声だった。ハグされるのを警戒していたが
そうきたか・・・。
・・くっそ~やられた。
センパイは、あたしの顔をのぞき込んで、
へらへら笑ってる。
これが結構むかつくんだけど
なんか、イヤじゃないんだ。
でも、ひげはちゃんと剃れよな、就活中だろ
あたしが面接官だったら、即不採用だぞ
「はるかちゃん、さ、呑みに行くで・・。」
「え、あたし、未成年なんですけど。」
「呑むちゅうても、わしが酒を飲むんで、
はるかちゃんはジュースや。」
「え~、呑めないのに、お酒のみに行く店に行くって、
なんか変ですけど。」
するとセンパイは、ちょっと中空を見上げて
「ははは、絶対矛盾的自己同一。ちゅうことかな。」
「なんだかよくわかんない。」
「せや、今から伯母ちゃんのお店に行くか。
今の時間やったら、おもろいジジイの坊さんが飲みにくるで。
興味ないか?」
「ある!」
あたしは即座に応えた
考えれば、あたしも変だと思う。
・・・絶対的自己矛盾・・だな。
でも、一つだけいえることがある。
「変だ」の評価基準は
どこにあるのだろうかってことだ。
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