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~「愛情」ってなんだろ?っていう心理学的考察 ~ その2 ~ 人はなぜ恋愛するのかを心理学的に分析する=vol2
それぞれの性は、心に「異性」を住まわせている。
男性と女性の区別にはふたとおりあります。
一つは生物学的な性(sex)。
もう一つは社会的な性(gender)です。
その中で、「男らしさ、女らしさ」というくくりがあるのですが、
ある意味それは非常に曖昧であると指摘できます。
なぜならば、それらに象徴されるものは、
性を問わず、すべての人が持ち合わせているものだからです。
だからこそ、自分の中にある「異性性」が、
そもそもの恋愛という心情メカニズムに至る
「起動スイッチ」になるというわけです。
たとえば、自分の心中には、
かならず「異性」の類型が存在します。
ユングの説によると、男性の場合、
無意識の「夢」に現れる「4つの女性」が存在します。
これを「アニマ」と呼び習わしています。
①生物的なアニマ、いわゆる根源的な女性=母のイメージです。
②エロスの対象としてのアニマ、色っぽい女性のイメージ。
至上の恋愛の対象
③マドンナとしてのアニマ、清らかさと献身を兼ね備えた聖女。
④知恵のアニマ、慈愛と知恵の深さ。
男女問わず両性同等に至上の存在。
肝心なことは、これらが
自らの持つ男性としての意識の偏りを、防ぐ役割をしている。
ということです。
しかしながら、このアニマはどれかに片寄ってしまうため、
異性に「投影」することで「恋心」に変化させるわけです。
つまり、このどれかを現実の女性と混同して
「投影」する事がいわゆる恋愛感情の始まりなのです。
女性においても、同様に「アニムス」という、
「4つの男性」が存在します。
ただ、ユングはこちらの解析を妻のエンマに頼っています。
この解析は、類型ではなく、
「自己が男性を認識する段階」という形で述べられています。
①力の段階・・マッチョな男性。男性は力強いと意識する。
自分の安全保障の存在
②行為の段階・・強い意志と主導権を持って何かを成し遂げる男性像
③言語の段階・・肉体より、知的な論理や思想性を示し。行動する男性像
④意味の段階・・達観した世界観を提供してくれるような深い智慧を示す男性像
ある意味、女性は「夢みる自分」から
徐々に自分の居場所を見つけていく
心の成長の段階だとも考えられます。
まぁ、あたしはあくまでも推測の域を出ませんが、
恋愛に対する男女の意識の違いを見るに、
これは結構あてはまるのかな。そう考えております。
では、なぜ、人は恋愛するのか・・・
恋愛とは、はっきり言うと、
「自分の中にある異性」を相手に「投影」する行為である。
ということです。男女それぞれ4つの類型を示しましたが、
「タイプの異性」と言葉を置きかえるといかがでしょう。
おのおの心に照らして「あるある」ではないでしょうか。
すなわち、恋愛とは、
自分にない「相手の属性」を希求する行為なのです。
自分の中にあるアニマ、アニムスの類型を「投影」することで、
目の前のきっかけ、(不安=ときめき=きゅん!)
に陥っている自我の安定を求める。
これが恋愛のメカニズムであると言えましょう。
つまり、自分の中に眠っていた「異性」が、
外界の刺激によって揺り動かされ、
その不安を相手に「投影」した結果が
「なんだか好きになっちゃった」
という状態であろうということです。
その発動が①~④のどの装置かは、
人それぞれですが、とにかくどれかのアンカーが引っかかり、
「恋愛スキーム発動」という状態になるわけです。
そうなると、自分の内なるものだった異性が目の前に現れたわけです。
しかし、それは自分が投影したのは無意識の自我ですから、
そうとは気づかず、
相手が自分が思うパーソナリティであると思い込んでしまいます。
そうなるともはや「あばたもえくぼ」状態になって
陶酔した状態になるのです。
つまり、恋愛の本質は、その人の人格そのものを見ているのではなく、
自分の甘美な幻想に浸っている事になりますが、
その人にとっては自我の防衛の一環でもあることから、
生きる力、活力源ともなり得ます。
幻想は必ず壊れる
ところが、このような甘美な状態も長くは続きません。
なぜなら現実の異性は自分の幻想のままに
生きているわけではありませんから、
かならず「こんな人だとは思わなかった」
ということがしばしば起こります。
そんなときに相手を非難したりすると、
事態は悪い方向に進むばかりで、あえなく破綻します。
しかしそこで、自分は相手に何を求めていたのだろう。
と内省することが「投影のひき戻し」という心の作業です。
このように「逢いたくてたまらない」状態から徐々に
「投影のひき戻し」を繰り返し、
互いに理解し合って、関係を深めていくというのが、
双方の人格を高め、理想的なカップルへと
成長していくことになるのです。