『資源』について考える
このところ、石油の値段が高止まりしています。これは、コ〇ナが収まりかけて、石油の需要が高まっているのに、産油国が増産しないためです。しかし、オミクロン株の影響で経済が冷え込めば。石油需要は落ち込んで、価格は下がっていくことが予想されます。このように、石油などの資源価格は、需要と供給のバランスで決まっていきます。
石油は火力発電などに使われるエネルギー資源の側面と、プラスチックや化学繊維などの原材料としての側面を持ちます。いずれにしても石油は、今のところ私達の生活に欠かせない地下資源であることは間違いありません。
ここでの資源は地下資源に限定しまが、そもそも『資源』とは何でしょうか?。資源を考える場合には、人間の生活に役に立つ価値が高いものだというのは大前提です。この前提の下で、資源になるためには以下のような3つの条件を備える必要があります。
1.自然に大量に存在する。
2.ある場所に濃集している。
3.経済的に(低コストで)取り出せる。
例えば、海水中にはウランが含まれています。地球の表面は7割が海ですから、総量ではかなりの量になり、条件1を満たします。しかし、濃度が薄いのと、経済的に取り出すのが難しいので、海水中のウランは資源とは考えません。地球の中心部には、コアと呼ばれる主に鉄で構成された部分があります。コア内の鉄は、条件1と2を大きく満たしますが、現在のところ取り出す技術が無いので、条件3を満たすことができません。
地下から取り出す在来型の石油は、すべての条件を満たすので資源と考えられますが、一部の非在来型の石油は、資源になったりならなかったりします。カナダには、オイルサンドと呼ばれるタール状の油を含む砂が広範囲に分布しています。このオイルサンドからは、合成石油が取れますが、合成石油を生産するコストが高いので、原油価格次第で資源になったりならなかったりしました。
オイルショック前の原油が安い時期には、オイルサンドからの合成石油は資源ではありませんが、今のように原油価格が高騰していると十分に資源になり得ます。30年近く前に、オイルサンドの採掘がおこなわれていたカナダのフォートマクマレーというところで、流体流動電位法の実験をしたことがありました。その当時の町は人口も少なく、田舎町といった印象でしたが、この10年後くらいにテレビで見た時には、大きな町になっていました。
日本は多くの資源を海外に依存していますが、セメント原料である石灰石は国産で賄うことができます。また、日本周辺の海には、メタンの水和物であるメタンハイドレートと呼ばれる未利用資源が眠っています。メタンハイドレートからは天然ガス(メタン)が採れて、その量は国内消費量の百年分だと推計されています。しかしながら、このメタンハイドレートは、まだ条件3を満たしていないので、本当の意味では資源と言えません。なので、苦肉の策として未利用資源という言い方をしています。
石油などの天然資源は、使い続ければ枯渇します。誤解している人が多いのですが、原子力発電の燃料であるウランも天然資源です。なので、ウランも使い続ければいずれ枯渇してしまいます。古代文明の都市が滅びた原因には、様々なものがありますが、燃料となる薪の減少が原因となったものが少なくありません。このように、資源の枯渇が、文明の衰退を招く場合があります。
地球温暖化の原因とか考えられている二酸化炭素の問題もあって、炭化水素資源は旗色が悪いのですが、天然資源の枯渇の側面からも、再生可能なエネルギーや材料は重要です。まだまだコストの問題はありますが、海藻やミドリムシから石油に似た成分が採取可能だと聞きました。今後のテクノロジーの進歩から目が離せません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?