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困難は分割せよ!

『困難は分割せよ』は、ルネ・デカルトの名言です。これは近代哲学の祖と言われるデカルトが、著書『方法序説』の中で述べた言葉です。意味はそんなに複雑ではなく、”どんな難しいことも、すこしずつ分割していけば達成できる”といった感じです。原文では「検討する難問の1つ1つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること」(谷川多佳子訳 岩波文庫)となっています。これが書かれたのは1637年ですから、日本はまだ徳川幕府が始まった頃です。

卒業論文・修士論文・学位論文の研究にも、この名言は当てはまります。このような研究では、新しい手法や理論などを考案するわけですが、便利な手法や難しい理論をいきなり発見できるわけではありません。まずは問題を単純化して、実験やシミュレーションなどの具体例を使いながら、少しづつ問題を解きほぐしていくのです。これには時間がかかりますが、これが研究の醍醐味です。

ビル・ゲイツも『困難は分割せよ』と似たようなことを言っています。「バケツよりも大きな石だからバケツには入らないと思っていても、大きな石は分割すればバケツに入れることができます」。ちょっとニュアンスが違いますが、スティーブン・コヴィー博士は、スケジューリング(時間配分)について、石を使って次のように説明しています。

1週間という期間の中でやらなければならないことはたくさんあります。バケツの中に細かな予定、つまり小さな石や砂を先に入れてしまうと、すぐに半分ぐらい埋まってしまいます。そうすると重要で大切なこと、つまり大きな石が入るスペースがなくなってしまいます。これでは重要なことが、また先送りされてしまいます。ではどのようにしたら、たくさんの大きな石をバケツに入れることが出来るでしょうか。それは、大きな石を先に入れ、小さな石や砂を後から入れればいいのです。時間管理も同じことが言えます。

たいして重要でない用事(砂)を先にやろうとすると、肝心の重要な予定(大きな石)に時間を割くことができません。重要なことを実行しようと思うなら、まずは大きな石から先に入れなければなりません。しかし、理屈では分かっていてもなかなかできません。私もスケジュール管理が下手で、行き当たりばったりで仕事をすることが多いので、学会講演のための原稿はいつも締め切りギリギリで提出することになります。今までで一番ギリギリだったのは、締め切り5分前でした。

皆さんは私を反面教師として”困難を分割して”、正しいスケジューリングを心掛けて下さい。


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