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小説の中の地球科学#1 『磁極反転の日』

 小説の中には、地球科学を題材としたものが結構あります。今回は、”地磁気”を題材とした小説を紹介します。磁気コンパスを使えば、N極(赤い方)が指す方向が磁北になります。ということは、地球自体の北にはS極が存在していることになります。これは異極同士が引き合う磁石の性質が原因です。ちょっとややこしいのですが、地球の北極側には地磁気のS極があり、その反対に南極には地磁気のN極が存在します。

 伊与原 新さんが書いた小説『磁極反転の日』は、地磁気の反転を題材にしています。地磁気の反転は、京都帝国大学教授の松山基範が、兵庫県の玄武洞の岩石が、逆向きに磁化されていることから発見しました。少し前にチバニアンという時代区分が制定されましたが、これは地磁気の反転の証拠が残った地層が千葉にあったためです。

 小説のあらすじは、次の通りです。「地球のN極とS極が反転し始め、大規模な地磁気嵐が発生し、東京上空にはオーロラが出現します。人類は、異様な寒冷化と降り注ぐ宇宙線に不安が広がります。・・・」。この小説はいわゆる”パニックSF”と言われるジャンルで、フィクションですが、小説中に出てくる地磁気の説明などは、分かりやすくて勉強になります。

 地磁気のことを専門書を読んで理解しようとすると、なかなか頭に入りませんが、小説だとスンナリ入ってきます。地球のことを理解するためには、小説も一つの手段ではないかと思います。


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