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今世紀最大の発見!? ピラミッドの空間

エジプトの首都カイロ近郊のギザにある、世界最大のクフ王のピラミッド内に、通路のような新たな空間が発見されました。エジプト考古学の権威ザヒ・ハワス博士によれば、「今世紀最大の発見だ」とのことです。しかし、今世紀はまだ始まったばかりです。今後も”もっと凄い発見”があるかもしれません。この研究成果は、約4500年前に建てられたとされるクフ王のピラミッドの内部構造の解明の手掛かりになると期待されているようです。

個人的には、「あれほど大きいピラミッドなので、新しい空間があっても不思議ではない」と思うのですが・・・。新しく見つかった空間(写真参照)は、幅約2m、奥行き約9mで、ピラミッドの北側の、内部に通じる入口の上部に位置しているそうです。

エジプトのギザにあるクフ王のピラミッド内で新たに発見された空間
(エジプト観光・考古省提供)

「未知の空間発見」はそれ自体が価値がありますが、私が素晴らしいと思うのは、この空間の発見が「物理探査的な手法」で発見されたということです。この謎の空間は、2015年から始まった、エジプト・フランス・日本の合同プロジェクトで、日本チームはミューオンラジオグラフィという技術を使ってピラミッド内部を”透視”しました。ミューオンラジオグラフィは、レントゲン写真のように放射線を使った内部構造の可視化技術です。レントゲンではX線という人工の放射線を使いますが、ミューオンラジオグラフィでは”ミュー粒子(ミューオン)”という自然の放射線を使います。

ミューオンは電子のようにマイナスの電荷を持った粒子ですが、透過力が高いので、大抵の物質は透過してしまいます。しかし、密度の高い場所とそうでない場所では、透過の確率が異なります。簡単に言えば、空気で満たされた空間は透過しやすいのです。このようにして目星をつけた空間の場所に、ファイバースコープを挿入し、内部を撮影することで”未知の空間”が実証されました。

このプロジェクトは、たびたびNHK特集の番組に取り上げられていたので、いつか大きな発見があることは予想していました。なので、”今世紀最大の発見”にも驚きはしませんでした。しかし私の記憶では、”未知の空間”の大きさは、”大型飛行機くらいの大きさの可能性がある”と数年前に発表されていたような気がします。それに比べると、ちょっと規模が小さいような・・・。

日本でも、遺跡の発見に物理探査を利用することはありますが、重要な遺跡ほど発掘が困難です。そのため、探査結果と発掘結果の検証が行われていない場合が大半です。今回の歴史的発見は、『探査&スコープによる検証』が実施された貴重な例になりました。今後、様々な物理探査が考古学分野でも活躍することを期待しています。

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