雀ネーム(芸名)/本名論争に隠されてしまった論点
年が明けてから話題になったのがこの愛内さんの投稿。
問題提起していろいろな意見を取り込み、団体の運営に活かしていくという目的で為されたというならば十分に成功と言えるほど話題になったようだ。
個人的にはこのような議論がインターネット上にせよリアルであるにせよ喧々諤々と盛り上がるのなら大変望ましいことだと思う。意見と意見がぶつかり合ってより高次の意見が生まれ、それが団体の拡大や業界の改善に繋がる可能性があるわけで。
まあ意義の話は置いておいて、話題の中心としては「安全性」が中心になっていたようだ。とりわけ女流プロにとっては、本名を曝すことによりプライバシーが漏れてしまう危険性が高まってしまい、死活問題となるかもしれない。そんなわけで、タイムライン上では雀ネーム(芸名)肯定論がすこぶる盛り上がっていたようだ。当事者(女流の方)からの声もあり、「安全性」の観点から言うと確かに誰もが納得できる話だと言えそうだ。そもそも旧2ちゃんねるやTwitter/Xがここまで隆盛したのは現代人、とりわけ日本人には匿名性というやり方があっているように思える。匿名性が好まれる傾向はあり、そのあたりが本名公開説に異議を唱える人が多かったのではないか。
だが、それとは別の論点として本当に本名、年齢等プライバシーに関わることを「秘匿する」ことを推し進めていいのか、という問題があるように思う。
たとえば、プライバシーの観点から「顔」や「性別」までも秘匿することが許されれば、既存のやり方は大きく変更を迫られることになる。
現在、女流に関しては限定タイトルやリーグ戦があるのだが、「性別」非公開などが許されれば、いったいどのような扱いとなるのか。非公開を根拠としてそのような公式戦に出ることに許可されなれば「差別」として抗議することすらあるかもしれない。
上記の例は極端でかなり現実離れした話に聞こえるが、インターネットを見回してみると詳しくは言わないがこういったことはよく見る話なのは皆さんよくご存じであろう。
話を戻すと、要は「秘匿する」ことによって「公平性」を棄損することがあり得るということだ。制度の穴を突き、自分の有利を正当なやり方以外でハックする、といったやり方は団体内での反発は必至だ。「ルールに反してないから」と言っても少なくとも心情的には納得できないものだ。プロとしての在り方を考えるなら「公平性」は無視できないと個人的には思っている。(今話題となっている投票制の大会についても同様の思いがある)
だからといって、今の時代の在り方、コンプライアンスやプライバシーの観点から時代を逆行するような制度変更を求めるのも無理な話ではある。
結局、現実との折り合いをつけ、基本オールカマーにするか、大会の在り方を変えていくという方針になっていくかという気はする。勿論その間の調整が行われるのが現実的だとは思っている。
「新人王」というタイトルが私が所属する団体にあるのだが、昔は年齢制限が(うろ覚えだが39歳以下だった気がする)があった。しかし、時代に合わせてかその縛りは撤廃され、「新人王」は入会期のみの条件となった。
それと同じようにいずれ「性別」を区別しないように大会の在り方も変わることもあるのかもしれない。勿論「興行」という観点からそうならないこと可能性も高い。麻雀は身体をフルに使うスポーツとは違って男女差は理論上はないはずなので、目指す方向によってはいろいろ変更されていくこともあり得るだろう。
これからどのように変わっていくかは団体の方針によってそれぞれだろうが、納得できる「公平性」が保たれることを一選手としては期待したい。
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