「製造業でも、今後はDXによってアジャイル型で仕事を進めるべき!」←どういう意味?
はじめに
私は製造業でDX推進に取り組んでいるのですが、DXに関して議論している時に、
「製造業でも、今後はDXによってアジャイル型で開発を進めていくべき!」
といった旨を主張される方がいます。それも、非プログラマの方に多い気がします。
「アジャイル型」とは何を指しているのでしょうか? 対義語(?)として「ウォータフォール型」という概念があり、きっとその方の頭の中では
ウォータフォール=遅くてダメ、アジャイル開発=早くて良い手法
という状態になっているのではないかと推測します。本来、そういうことではなく、単に方法論の違いでしかないのですが、何故かアジャイル開発がウォーターフォールを置き換える良いことのように理解されることがあります。そして、それをDXと結び付けて語られることが多い気がします。はっきり言ってしまうと、
プログラマ出身の人からすると、全く意味がわからない文章
なのですが、今回はこの辺について書いていきたいと思います。
「アジャイルな」は「アジリティの高い」という意味
そもそも、アジャイル(agile)という英単語は「すばしっこい」という意味です。
ちょっと脱線ですが、たとえばサッカーで、切り返しの上手い選手を「アジリティの高い選手」などと表現することがありますが、私は
このような選手を「アジャイルな選手」と表現した例を聞いたことがない
です。同じような意味になると思うのですが、アジャイル開発の印象があると、何か意味が変わるような印象があります。
「アジャイル開発をウォーターフォールを置き換えるべき?」
アジャイル開発の話に戻すと、たとえばWikipediaにしても、世の中の様々な真っ当な文書でも、「何故アジャイルソフトウェア開発を宣言するに至ったか?」が丁寧に書かれておりますが、
本質的には
この言葉に尽きます。
「アジャイル」という呼び名だけを知っている人=ソフトウェア開発の経験があまりない連中は、これを「早く作ること」程度の理解しかしていないことがあります。どこで間違えて理解されたのかわかりませんが、本来「ウォーターフォール=古くて悪い、アジャイル=新しくて良い」ということではありません。
それなのに、何故かアジャイル開発がウォーターフォールを置き換えることが良いことのように理解されている方がおります。これはまったくおかしな話です。本来は方法論の違いでしかありません。
「ハードウェアが絡む製造業」の前提を忘れて議論してはならない
先のWikipediaでも、アジャイル型が向いている開発と、そうでない開発が明確に記載されています。
要するに、製造業においてアジャイル型開発の適用が難しいことは、ソフトウェア工学的にはすでに予めわかっていることなのですが、単に「早い」というレベルでしか理解されていない方によってはそうではなく、そしてそういう方が議論に入ってしまうことで、状況を複雑にされてしまうのです。
これは重要なポイントですが、製造業では、「特にハードウェアが絡む」という性質上、アジャイルが実現している例は極めて少ないと想像します。(外向きの資料には「アジャイル」と書いていたとしても…)
追記:「アジャイル」に関してさらなる深堀
以降の記事では、アジャイルに関して、実例を入れてさらに深堀していきます。
2022.12.19追記 彼らは何が言いたいのか?
アジャイルと言いたがる人が、本当は何を言いたいのか?について深堀しました。
(この項つづく)
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