「働かないおじさん」問題から、「労働力」の姿を考える
はじめに
最近以下のような内容の記事が目立つようになった気がします。
こちらは、マツコ・デラックスさんという著名な方は発言されたということで特に目立っておりますが、他にも以下のような記事がでおりました。
こちらのnoteでは、過去からいくつも労働生産性・労働人口に関する記事を投稿しております。
本日は「そもそも労働力とは何か?」また「昔と意味で意味が変わっているのか?」という点について考えてみました。
そもそも「労働力」とは?
この議論をするには、まず
「労働力」という言葉が何を指すかの定義づけが必要
です。ここを手抜いて個別の議論をすると、何もかも空中戦になります。まずはWikipediaをあたってみます。
このように
労働力とは、人間の能力である
として定義づけされています。「肉体的なもののみならず、知的なものも含む」とはありますが、ともかく人間が及ぼす力であることが確認できます。
労働力を高める方法(これまで)
上述の通り、労働力=人間の能力なのですが、具体的に製造業における労働力といえばどういうものでしょうか? たとえば、モノを持ちあげて運んだり、五感を使って検査したり、知力を使って生産計画を立てることでしょう。
これらが製造業における「労働」であり、それを発揮できる力が労働力
です。
さて、製造業が競争に勝っていくには「労働力を高める」必要がありますが、それには何が必要でしょうか?先程示した通り、労働力とは人間の能力であるわけですが、製造業がある能力を獲得する方法としては
その能力を持っている人を採用する(大規模化)
採用済みの人にその能力を教育する(多能工化)
があります。どちらでもその能力は獲得されるわけですが、前者の場合
その能力が必要ない瞬間は、その人は労働力とはならない
ということもできます。言い方は悪いですが、
この瞬間だけは「働かないおじさん」となっている
とみなすことができてしまいます。そのため、多くの企業では多能工化を目指すわけですが、能力の問題・教育の問題などもあり、難しいのが現状です。
労働力を高める方法(これから)
製造業における労働力の向上を考えるうえで、デジタル活用というキーワードは無視できません。先ほど挙げたような様々な労働は、多くの人で運んでいたようなものは、アシストスーツのようなもので一人で作業したり、あるいは多くの人間をその場で集めて行っていたような労働はロボットや遠隔操作により、その場に集う人間の数を絞ることが可能です。
要するに、これからの時代における「労働力」とは、「ロボットと人間のコラボ」あるいは「人間拡張」のような概念も含め、
デジタルを使いこなし、多数の能力を少人数で実現する力
を指すことになります。
おわりに
実は、今回の記事で書きたかったのは
労働力が「不可分」でなくなれば、働かないおじさんが減るはず
というところだったのですが、調査文献が十分見つからず、いったんここまでで投稿することとしました。
この辺は、「働かないおじさん」「DX・働き方改革」「労働市場の流動化」といった文脈で整理したいと考えており、引き続き考えていきたいと思っております。
(つづく)