目標ではなくスタイルを確立する
はじめに
これまでのアドベントカレンダーでは次のような構成で一期目を振り返った。
チームビルディング・採用
ソフトウェアアプリケーションの技術選定
アジャイル開発
顧客開発
起業家コミュニティ紹介
チームメンバー記事
残り4記事は、弊社の未来についてと一年間で起業家、経営者としての自分のスタンスについて伝えていく。(恥ずかしいけど)
目標ではなくスタイルを確立する
起業家、経営者として…ではなく30歳になって、すこーしだけ上手な生き方、長く働き続けられる要点に気づいた。人生において目標ではなくスタイルを確立することが肝心だ。
目標ドリブンの限界
目標を持つことは良いことだ。目標があるから逆算して計画を立てられる。目標があることでエネルギーがみなぎることもある。他方、目標は終わりがある。達成すると、次の目標が見つからないときに迷子になるのだ。精神的に迷子になる。これが意外とやっかいなのである。これを目標ドリブンの限界と名付ける。
目標は未達成でも病むし、達成しても燃え尽きる
人間は動物だ。人間以外の動物は生きることに理性的な目標を設定しない。生存本能に従って生きている。人間も本質的には同じなんじゃないかとおもう。目標なんてなくても生きていける。目標がなくても幸せになれる。働く上で目標を設定しないといけないというのはキャリア教育の功罪だ。誰かのために役に立ちたいという気持ちが重要だ。目標は実は利己的な側面が大きい。
目標を立てる。未達成だと、目標を設定してしまったがゆえに、自分を駄目な人間だと誤解してしまう。適切な目標を設定できなかっただけであって、駄目な人間じゃないのに。会社組織に属すると、目標が未達成だと社会人として不合格の烙印を押された気持ちになる。誰かのために役に立ちたいという気持ちが重要なのに。
目標を立てる。達成しても、その目標が他人から与えられたり、社会から与えられた目標()であった場合、燃え尽きる。内発的な動機づけが皆無だからだ。
20代で4桁目指して一人前といわれた22歳、燃え尽きた28歳
どの大学に合格することを目標にする。どういう職種になれることを目標にする。どこの企業に就職することを目標にする。社会のレールから外れたくもないから、内発的な目標だと誤解しながら純粋に目標に向かってコミットする。
学歴も職歴にも自信がない自分が社会に出て自信を持つためには年収しか無い。そんな視野の狭さ、視座の低さしかなかったから、「20代で4桁稼ぐことをまず目指せ、話はそれからだ。」と会社員時代の上司に言われたことを信じていた。実際、日本社会の男性の無言プレッシャーはあるとおもう。好きな人や大切な人を支えるために稼がなければというプレッシャーがある。(女性にはない。という話ではない)
自分にはそれしか無いと思っていたからコミットしたけど、得られたものなんて小さかった。自分の自信を持つために頑張ることって、他人を救えたわけでもなければ、社会の役に立ったわけでもない。こんな当たり前のことに気づいたのは20代後半になってからだった。
スタイルの確立
大切なことは、目標を立ててそれに向かって走ることではない。どういうスタイルで生きていくか?どういう気持ちで社会に関わっていくか?を決めることだ。
レッドオーシャンで事業を興す人たち
例えば、テレビ業界。例えば、飲食やファッション業界。前者はインターネットに取って代わるといわれ十数年。飲食業界は外に出て食べれないジャンルはないといっても過言ではないくらい競合と先行者で溢れている。
2021年1月。コロナはまだおさまっていない。それでも創業相談が多かった業種が飲食だったそうだ。もうすでにラーメン屋なんて、失礼な言い方で言えば腐るほどあるのに、なぜいまどき店舗を構えて自分自身の貯金を崩してラーメン屋をやろうと思うのだろう。彼らにはスタイルがあるからだとおもった。
スタイルとはなにか
スタイルというのはトレンドではない。スタイルというのは次のジェネレーションを作る姿勢である。
ラーメン屋さんをやりたい彼は次のラーメン屋を作りたい。そこにレッドオーシャンも何もない。そこに売上目標はあっても、それ以上に俺が新しいジャンルを作ってやろうという気概がある。
ファッション業界も同じだ。ユニクロでいいと言われる中で、挑戦している新進気鋭のファッションデザイナーがいる。「この服でいい」をぶっ壊す「この服がいい」と思ってもらえるような服を、私のこの手で作ってやろうという気概がある。
スタイルの確立とは、マーケットをつくる一貫性のある気概
彼らの共通点は、一見オワコンに見えるけど、新しい市場を自らの手でつくる考え方を持っていることだ。SaaSという業態が流行っているから、なんとなく月額課金型モデルでビジネスをやります、北米で流行っているから日本にも数年後流行ります。そんなミーハーな気持ちでやっているスタートアップよりも、本質的なスタートアップ精神がそこにあるとおもった。
おわりに
そういうわけで、来季に向けてスタイルを確立した。目標はある。目標がないと計画は立てられないから。目標は今年度以上の売上高の達成である。これは最低目標。つぎに及第点目標は資金調達を実施できるARRの達成である。しかし、理想目標は設定しない。目標ドリブンは長いマラソンを走ることが困難だからだ。
スタイルは確立した。たとえ売上高インパクトが弱くても、たとえスケールする見込みがまだ見えなくても、日本社会に必要で、それが弊社しかできない提供価値があるなら、絶対にやる。継続して提供し続ける。
そういう考え方で、来季に向けて弊社がどういうスタイルで事業に向き合っていくか?をアドベントカレンダーの後半戦でまとめようとおもう。
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