人事のデータ化と言うけど、何をデータ化すべきなのか考えてみる
人材業界や人事、採用に携わっていると「ビッグデータ×人事」「テクノロジー×人事」といったテーマがホットな話題になっています。
実際にビズリーチさんのHRMOSやネオキャリアさんのjingerなどのサービスが出てきておりデータを利用した人事の最適化、は注目のトピックのひとつです。
HR領域に長く関わってきた人間としては、アナログすぎるこの領域にデータで判断する、というアプローチが入ってくるのは大歓迎!
ですが、ふと考えてみると「データドリブンの人事」とか「データで人事を戦略的に」と言われてもなかなかピンとこないのも事実です。
ピンとこない理由を考えたんですけど、
「何のデータを取るべきか誰もわかってないから」なんじゃないかと思ってます。
なんでどういうことまでデータとして取得すべきなのか、を自分なりに考えてみようと思います。
今言われている「人事のデータ化」とは
現在、多くの企業が「データドリブンのアプローチで人事を戦略的に」となっているのですが、ここで言う「データ」と言われるものは、
面接時と入社後の活躍具合をデータ化。有効な採用手法や人材会社の選別、面接官トレーニングなど、採用施策に活かしましょう
という趣旨のものが中心だと思います。
もちろん正論ですし、やるべきことであるとは思います。ただ、上のようなデータのみだと片手落ち感もありそうだな、と。
社員が活躍するためには「その人個人のスキルや能力、素養」と「環境(アサイン、上司、チーム、事業領域)」のどちらも必要です。
ただ、現在は前者をデータ化によって明らかにすべき、という話がほとんど。後者の議論があまりされてない、後者をどうデータ化していくか、に対してみんなが目をつむっている状態なのかなと思います。
環境要因の何をデータ化すべきか
Googleは人材管理もデータ分析を徹底的にすることで知られてますが、そんなGoogleが最近行った「プロジェクト・アリストテレス」というプロジェクトが話題になりました。
詳細はググってもらえばたくさん出ると思うので割愛しますが、Google先生いわくチームのパフォーマンスの善し悪しと因果関係があるのは「チームメンバーが心理的安全性を感じているかどうか」の1点のみだという。
簡単に言うと
「自分が思っていることを思うように発言してもいいんだ!」とメンバーが思えてるかどうか、が大事とのこと。
欧米の場合、日本と違い職種間をまたいでの異動はあまりないため、やってる仕事との相性、の因果関係は少ないのかもしれませんね。
ただ、チームパフォーマンスに対してこれだけ明確に因果関係を示す人事データはいままでなかったのではないかと思うので、これをもとに考えてみます。
Googleのプロジェクトの結果を利用し、日本の会社の実態に合わせて環境要因をどういう要素で見るといいのかを考えてみると、
・上司や同僚に対して考えていることや思っていることを発言していいと感じているか
・周囲のメンバーもそう感じていると思うか
・上司や同僚に共感できるか
・上司や同僚へ心遣いや配慮はできているか、またされていると感じるか
・仕事用ではなく本来の自分を出せているか、またその場面があるか
・アサインされた意図を理解、納得しているか
・社内におけるチームの役割や目的を理解しているか
・自分の仕事がどのくらいのインパクトを会社に与えると思っているか
・個人のキャリアについて真剣に考えてくれていると感じるか
あたりのことを定量化し、データとして保存していくことになるんだろうなぁと思います。
さらに今後は、
人と組織のあり方も多様化してくるでしょうから、より「環境」を定量化し、データとして把握していく難易度があがることは容易に想像つきます。
この問題の難しいところは、
上記のような項目をどのようにあぶり出し、推移をウォッチし「その人自身のスキルや能力、素養」と掛け合わせて判断するか、ということがまだまだ不明確であり、そこを深く追求する手段やデータ量自体が圧倒的に足らないところです。
だからこそ、
「採用」というわかりやすいところだけではなく、その後の「環境」をどうアセスメントしていくのかをHR領域に関わる人でもっと議論していければいいなと思いますし、それを解決しようとするサービスもどんどん出てくるのでは、と思います。
チャレンジしがいのある領域がまだまだ残っているなぁ笑
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