Feature begins- バリスタの役割
イタリアのベルフォルテにSimonelli Groupというエスプレッソマシンメーカーがある。世界中のトップバリスタ達から愛用されているVictoria Arduino、Nuova Simonelliといったブランドを抱する世界屈指のブランドだ。
僕は2014年からテクニカルコンサルタントとして、製品・研究開発のアドバイザリー、大手クライアント向けの教育やビジネスピッチ、マーケティング領域でお手伝いを続けている訳だが、今回私たちが満を辞してリリースしたのが、PRIMAというシングルグループのエスプレッソマシンだ。
シングルグループエスプレッソマシンといえば、どうしても弱々しいイメージがあると思うが、PRIMAはステンレスボイラーを搭載しているので、馬力がそもそも違う。
スチーム圧に至っては2.2気圧の超高圧の設定も可能だし、オンデマンドボイラーを搭載しているので、温度の安定性も非常に高い。連続抽出に耐えうる今まで存在しなかったハイスペックなシングルグループエスプレッソマシンである。
アプリで一括して詳細設定ができたり、レシピの共有ができる、いわゆるIoTプロダクトなので、無駄なスクリーンが一切ないのも気に入っている。もちろん、アプリめんどいという場合はマニュアルで設定は可能。
いつもであれば、イタリアの陽気な仲間達とアジア中を巡ってPRするところだったが、コロナ禍では従来のフィジカルなPR手法は通用しないので、プロモーションビデオを制作することになった。
Simonelli Group側の意向と日本の代理店トーエイ工業様の意向を組みつつ、制作チームをアサインして、どういった見せ方が良いかプロットを考え、多くの人にリーチするための構成と細かい編集を繰り返した結果がこちら。
果たしてこれはバリスタの仕事なのか?と問われれば、「違う」と答える人が多いと思う。ただ僕はそうは思わない。これもれっきとしたバリスタの仕事だと思っている。
僕にとって「バリスタ」とは「コーヒーを作るプロフェッショナル」ではなく、「コーヒーを編集するプロフェッショナル」だと思っている。つまり、自分らしさを貫いて、新たな価値観の提案、付加価値の創出ができる人こそ今後求められる人材だと思うし、僕が一緒に働きたいと思う人たちだ。
常々広田くんや外部メンバーに「あなたはバリスタだ」と言い続けていて、それは既に彼らが自分の専門性を用いてコーヒーを編集し、コーヒーの新たな付加価値の創出に携わっているからだ。
もちろんバリスタである以上美味しいコーヒーを作ることができるというのはマンダトリーだと思うが、SNSやインターネットの発達により、プロとアマの知識・技術に差異はないのは明白だ。
だからこそ考え続けねばならない。時代とともに「バリスタ」という言葉の定義は変わり続けると思うし、その変化に常に敏感でいたいと思っている。
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