会食文化について
農水省や総務省の官僚による会食問題がクローズアップされていますね。事の顛末は報道の通りなので省略しますが、40歳の現役サラリーマンの視点から日本の会食文化について考察してみました。
会食は文化人の総合格闘技
日本人の秀でた習性として、相手を慮る、皆まで云わない、いわゆる「ひとつ良しなに」ですべてを理解する世界有数の文化人であることが挙げられます。ゆえに、その高度な文化レベルを披露し合う場が会食であり、地位が高くなればなるほど微細にわたる気配り、目配り、心配りが求められます。日本人にとってのビジネス会食とは、日本人の最も得意とする「おもてなし」の心意気をぶつけ合う総合格闘技の場といえます。
会食までの道のり
ビジネス会食に辿り着くまでに、現場は様々な根回し、人間関係の構築など、泥くさい営業活動が求められます。ビジネスにおけるマッチングは勿論、決裁権を持つ上席者の趣味嗜好まで調査し、適切なタイミングで会食の場を設けなければなりません。現場にとって会食に漕ぎ着けることは、ビジネス成立が決定的となり、巡りめぐって現場の自分たちのノルマ達成を手助けしてくれる奥の手でもあるわけです。
本気で怒っている人は少ない
今回接待を受けたとされる官僚は、国家公務員法に抵触するため断罪されても仕方ありません。ただ、ビジネスに携わる大多数の人は本気で怒っていないのが現実です。なぜなら、大なり小なり、接待をしたりされたり、会食文化の中でビジネスを成立させてきた経験を持っているからです。
若者にとっての会食
呑みにケーションからの若者離れが叫ばれて久しい昨今、コロナ禍によってその風潮はさらに高まり、よりドライにビジネスに徹する姿勢がトレンドになりつつあります。確かに生産性の乏しい呑み会、会社の悪口大会と化すランチなどは、敬遠されて当然かもしれません。しかし残念ながら、国家に代表されるように、あらゆる重要事項は「会食」によって決定されている現実があります。会食を必要以上に敬遠していると、いつまでも決定する場に立ち会えず、常に使われる側にいることになります。
纏めると、日本人にとっての会食とは、文化レベルを競い合う総合格闘技の場であり、ビジネス関係において必要不可欠な切り札であるということ。若者にしてみると「そんなことだから日本はダメなんだ」と叫びたくなるかもしれません。でも、良くも悪くも日本人の特性上、最も効率的かつ円滑にビジネスが成立する手段なのです。それは会社員にせよ、経営者にせよ、フリーランスにせよ、会食の場は避けて通れない。それはある意味、文化人としての素養が試されていると云っても過言ではありません。
まずは練習がてら、口うるさい先輩と呑みに行ってみて、少しずつ耐性を作っていくのもアリかもしれませんね...
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