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6:緋色のスカーフ
私の小さなころの思い出話をすると、しばしば母が挙げるエピソードがある。
2歳そこらの当時の私は、年頃の少年らしく『仮面ライダー』が好きだった。放送期間の世代的に少々ズレがあるが、2歳~3歳のあたりは「V3」が好きだったようだ。
『仮面ライダーV3』
毎日放送・東映制作の特撮テレビドラマ作品。
1973年2月17日から1974年2月9日まで、全52話が放送された。
仮面ライダー1号・2号のあとを継ぐライダー3号・V3と、ショッカーやゲルショッカーに続く第3の組織・デストロンの戦いを描く。
前作の勢いを受け継ぎ、頂点を迎えていた変身ヒーローブームの大きな牽引役を果たした作品であり、主人公の強いキャラクター性とも相まって歴代シリーズ中でも知名度が高い。
2023年で50周年を迎えるというV3。
リアルタイム世代でないライダーが好きだというのは、4つ離れた姉の影響もあるだろう。年齢的に姉もリアルタイムで「V3」は観ていないと思うのだが。
シリーズ過去作品を振り返る特番や「歴代ライダー全員集合」のような放送回の録画ビデオがあり、V3の姿はその印象が強い。私は総集編みたいなもので知っているだけで、実際の通常放送のエピソードは観ていないのだ。
記憶にある「録画で観た仮面ライダー」を確認してみると以下のラインナップだった。
仮面ライダーV3(1973年2月17日~1974年2月9日)
仮面ライダーX(1974年2月16日~10月12日)
仮面ライダーアマゾン(1974年10月19日~1975年3月29日)
仮面ライダーストロンガー(1975年4月5日~12月27日)
放送期間を見てみると、まさに矢継ぎ早といった様子。大人気だったのだろう。完結した途端に次の作品がはじまっている。こんなことがあるのか。
で、このあともシリーズは続いているものの、視聴率の低迷などによって放送期間が開いたことなども影響してか、私は1987年放送の「BLACK」まで、まったく仮面ライダーの放送を観ることはなかった。
基本的にリモコンという名の「チャンネル権」は祖母が握っていたので、そういう事情もあるのかないのか、放送されていたことすら知らなかった。
***
話を戻そう。
思い出話で母が語るのは、決まって2~3歳の私が「ごっこ遊び」をしていたときの様子だ。
母のワンピースについていた「オレンジ色のタイ」を、仮面ライダーを真似て首に巻き、自宅の階段の二段目くらいから「とぉー」と言って跳んでいた。はっきりと覚えていないが、跳ぶときは、母に手を繋いでもらっていたらしい。
そんな保護者つきのヒーローがいるものか、と言ってやりたくなるが、まあ無邪気なものだ。想像して楽しんでいたのだろう。大人しいばかりだった私も、それで少しは行動的になったようである。
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実際のエピソード放送を観ていないにも関わらず私が「V3」を好きになったのは、多分その仮面の「赤い色」なのだろう。
赤は、いまでも好きな色のひとつだ。といっても、いまは原色ではなくてワインレッドのような渋い赤、暗めの赤が好きだが。
いまでも私はストールが好きだし、ひらひらした長めの上着が好みだ。
「童心」の字の如く、幼い日の「憧れ」が、ずっとどこかに残っているものなのかもしれない。
そういえば、執筆中の長篇小説の主人公も、連載しているキャラクターも、首に赤いストール的なものを巻いている。なんてこった。
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意識せずにこうなっているのだから、やっぱり好きなのだろう。
***
それはそうと、当時の私が首に巻いていたオレンジ色のスカーフが、母のワンピースのタイだったと知ったのは、実はごく最近のことだったりする。
もともとなんの布だったのかなどとは知らずに、ずっと「オレンジ色のスカーフ」だと認識していた。
いや、正確には私の想像力を育てた「緋色(=ヒーロー)のスカーフ」かもしれない。
さて、そんな緋色のスカーフとも、クマのパペット同様(前回の記事参照)、私は別れられなかった。
ぽいと捨ててしまうには、あまりに思い出深すぎたのだ。
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往生際の悪さを発揮して救出された布は、いまでも家にある。
一体、何年前のワンピースのタイなのだろうか。
追記:
母曰く、およそ47年前の代物だそうな。
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