あいしてる 20.9.18
昔、子供の頃見た特撮番組の主題歌が、今でもどこか引っかかっている。
♪男の子なら 正しく強く
「女の子だったら『間違い弱く』なのかよぉ」と当時から思っていた。
男ならこうあるべき
女ならこうあるべき
子供ならこうあるべき
大人ならこうあるべき
日本人なら……
……
今でもそんな決めつけは残っていて、卑近なところでは、「自粛警察」あたりがそうだろうか。
なまじ自分たちが常識人・正義側にいると思っている節があるので、彼らの考えを変えさせるのはとても難しい。
ちなみに、ものすごく今さらだが、僕は自分を「ゲイ」と言ったことはこれまで一度も無い。
いやいや、そうではないわけではないが、断言するのに多少のためらいと、いわゆる「ゲイ」のカテゴリーに自分が当てはまるかどうか疑問もあったから。
現在のところ、「殿方が(性的に)好きな男」と定義している。
もしかしたら、将来変わるかもしれないが。
この「揺らぎ」は揺らぎのまま残しておきたい。
どっちつかずな態度を「覚悟が足りない」という人もいるだろうが、そもそも
男であることにも
女であることにも
覚悟など最初から必要はない。それと同じだ。
昔から学校が嫌いだった。
「義務」なのでやむを得ず通ったが、あんな理不尽なところには二度と行きたくない。
制服
校則
学生らしさ
なぜ、「みんなと同じ」にしなければならないのだろうか。
「規則だから仕方がない」
規則であるならば、教師たちも生徒と同じ服装・同じ髪型にすればまだ納得もできなくもないが、その気配もない。
僕が中学生の頃、「頭髪に整髪料をつけてはいけない」という校則があり、ある生徒が、ベタベタにポマードを髪に付けている教師の名を上げて、これはどうなのかと担任に問うたところ、
「大人だから」
との一言。当然失笑が漏れたが、「密室の権力者」に逆らうことはできない。
髪型は、男子の場合、「眉に掛からないこと」と規則にはあったが、実質丸刈りを頂点として、短ければ短いほど良い、といった「暗黙のルール」が存在した。
僕はどうにもその規則が気に食わず、眉上ぎりぎりまで伸ばしていたのだが、教師は定規片手に僕の前髪を櫛で解かし、隙あらば切ろうと狙っていた。
生徒もその規則に不満を持っていたはずなのに、「お前も丸刈りにしろよ、一日笑われてそれで終わりだって」と“アドバイス”をするクラスメイトもいた。
それは、自分の体験談から出た善意なのかもしれないが、言い換えれば「同調圧力」とも言える。
もっと言えば、「俺が丸刈りにしたのになんでおまえは髪伸ばしてんだよ」といういらだち。
一事が万事。
方言を使わなければ「なんでおまえ訛らないんだ」となじられる。
規則に従わず、教師の機嫌を損ねて連帯責任で叱られたら責められる。
疑問や不満を口にすれば、無視されるか個人のわがままで処理される。
世間体・世間の常識が服を着たような教師に黙って従っていれば、居心地は良いのかもしれない。少なくとも波風は立たない。
逆に言うと、僕のようにわざわざ逆らう(もしくはギリギリですり抜ける)タイプには本当に居心地が悪かった。
「男なら」こうあるべき。
その“基準”からはみ出た者は、「オカマ」ないしは「女の腐ったような」(これもかなり失礼な言い方だが)と呼ばれた。当時は。
昭和辺りに幅を利かせていた、そんな考え方が、平成を経て令和となり、腹の中は別として、少なくとも口に出すのは無礼なこと。
そんな考え方がやっと浸透しつつあるかと思ったら――
決してそうでもなかった。
今でこそ「オカマ」という言葉を使った修正前の元発言は、当事者以外にも批判をする人が多くいるが、平成になる前だったら(もちろんなった後もしばらくは)むしろみんな(異性愛者に限る)で笑える「ネタ」扱いにされていたと思う。
現在でも活躍しているあの有名人もこの有名人も平気で、(自分たちが)楽しげにその「オカマ・ホモネタ」を口にしていたのだから。
令和になって、LGBTの有名人も多数出てきたが、まだ一般にまでは浸透しているとは言い難い。
以前アンケートを取った結果でも、
「世の中がどうなれば、ゲイをカミングアウトできる?」アンケート結果
61%の人が隠し続けると回答。
つまり、LGBTQは割と身近にいる。
もしかしたら今回の発言者の周り・親族にもいるのかもしれない。
演技だけではなく、そのことも少しでも理解していただけたら――
と思う一方で、
LGBTQ vs. 異性愛者
になってしまうのも違う気がする。
「LGBTQの言うことに従え!」となると、あの「密室の権力者」と同じ発想になってしまうので、できることなら愛で包み込みたい。
若干の綺麗事感と気恥ずかしさが漂うが。
それでも昔から言うではないか。
「必ず最後に愛は勝つ」
と。
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