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ドラマレビュー/有村架純の撮休



30分、お家で自由な時間が空いたら?

わたしは「有村架純の撮休」を観る。


2020年でいちばん幸福な30分かも知れない。
それくらい心に深く残る作品と出逢った。

年末も近づき、ステイホームがまだまだ続く今。どうしてもこの作品をお勧めしたい。



この作品はWOWOWで制作された

「人気有名女優・俳優が撮影している作品の途中で、明日いきなり休日(撮休)になったら?」

という、ifの世界を描いた1話完結型のオムニバスドラマである。撮休で過ごす内容やその中で描かれる交友関係など勿論そのすべてが作り手側の妄想だが、主演はそのまま本人役。つまり、フィクション作品で有村架純さんが有村架純役をノンフィクションとして演じている。

ドラマファンならきっと心躍るであろうこの粋な設定のオリジナルドラマの第一弾に抜擢されたのが、有村架純さんだ。


まずは、「有村架純」の話をせねばならない。


言わずと知れた人気女優、有村架純。

弱冠27歳にして数々の有名作品に出ずっ張りの彼女を語るうえで、あなたの有村架純はどこから?という彼女を認知したきっかけを遡ることになると思うのだけれど、

そんなわたしの“ファースト有村架純”は「SPEC」だった。


「入りまぁす!」という元気な一言に振り向くとそこに現れたのは、例えわたしが野々村係長でなくとも「みやびちゃぁん!」とデレつきたくなるようなとんでもなく可愛いフェイス。こぉっち、だなんて呼ばれた日にはオジサン何でも買うたるさかいな、と財布の紐緩みまくり。

テレビドラマ出演2作目にして、SPECという超人気作の中で得たこの役が「有村架純」という名を世間に知らしめた印象は大きかったように思う。


しかし、わたしは未だに有村架純といえば?と尋ねられると戸惑ってしまうのだ。

なにせ朝ドラを観たことがない手前、人気だったことだけは知っているものの「ひよっこ」と言い切ることができない。


たとえば、

長澤まさみといえば?
「コンフィデンスマンJP」

綾瀬はるかといえば?
「義母と娘のブルース」

新垣結衣といえば?
「逃げるは恥だが役に立つ」

石原さとみといえば?
「アンナチュラル」

戸田恵梨香といえば?
「SPEC」


など、彼女よりすこし上の世代(30代)の有名女優たちは地上波主演ドラマの作品名がスッと出てくるのに、有村架純といえば、の問いのコレ!というドンピシャなドラマにわたしは未だに出逢えていない気がするのだ。

しかしこれは、決して彼女を非難したり卑下している訳ではまったくない。

有村架純は《脇役を抜群に引き立てる主役》なのではないかと思うからだ。


圧倒的な品の良さ、老若男女を虜にできるナチュラルさ、あれだけの美貌ながらどこか安心感さえ与えるふんわりとした雰囲気。

「ヒロイン力」と単に表現しても様々なタイプが存在する中で、彼女は何処にいようとも目が惹きつけられてしまうタイプではなく、いつだってごくごく自然と中心にいることに馴染んでいるタイプなのではないかとわたしは思っている。

(個人的主観だけで分類すると、長澤まさみさん・石原さとみさん・戸田恵梨香さんは、前者でとにかく発光してるタイプ。ガッキーと綾瀬はるかさんは有村架純ちゃんと同じくひっそり佇む後者のタイプなイメージなんだけど、皆さまは如何でしょう。)


その証拠に、近年に放送された彼女の主演ドラマを思い返してみると「あの俳優さんも良かったなぁ」ということを同時に思い出してしまう。

「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の無垢な高良健吾、「中学聖日記」で華々しいデビューを飾った岡田健史、そして現在放送中の「姉ちゃんの恋人」では繊細な林遣都。

有村架純の隣にいる彼らが素晴らしいのはご本人の演技力も去ることながら、主演で立つ有村架純がその魅力を引き立てている影響もあるのでは、なんてことを考えてしまうのだ。


だからわたしは、この撮休シリーズのトップバッターとして「有村架純」がフォーカスされ、スポットライトが当たった有村架純を存分に堪能できることがなんだかとてもうれしく思えた。

そしてその想いは、実際にこの作品を観て、確信に変わった。


有村架純は、紛うことなき“圧倒的ヒロイン”だったのだ。



この溢れんばかりの感動をどう伝えようか考えあぐねいていた矢先、宇野維正さんが執筆されたこちらの記事を拝見した。

・・・・是非、まずはこちらを読んでほしい。


ここにはまさにわたしが「有村架純の撮休」で語りたいことのすべてが詰まりまくっていて、もうこれ以上書けることなんて……という感じなのだけれど(ほんとうに)、

折角なのでここから先はわたしがとくに好きだった3つの回について、オタクの語彙力をフル活用させて感想を語りたい。多少のネタバレは含みながらも楽しめる範囲に、なっているはず!




# 1ただいまの後に


「30分時間があれば……」なんて冒頭に語っておいて初っ端から土下座案件なのだけれど、この初回だけ45分なの。すんません。

でも、とにもかくにもまずはこの1話を観ないと話は始まらない。着目すべきはなんと言っても、監督・是枝裕和、というビッグネーム。

「そして父になる」「万引き家族」など超大作を世に送り出してこられたあの是枝さん……?
えっ是枝さんってドラマ撮るんですか……?

と、素直に驚いてしまった。


有村架純さんが故郷・兵庫に里帰りする、という内容で母親役が風吹ジュンさん。
キャスティングが我得!!!!と、既にこの時点で天を仰ぎそうなのだけれど、まだ早い。

開始数分でこの2人が完全に「母娘」に見えて仕方ない。いや、もはや母娘でしかない。

根っからの関西人のわたしが聴いてもノンストレスなほど完璧なイントネーションで繰り広げられる、あたたかくゆるーい関西弁の会話。


芸能界デビューと同時に上京して随分早くに親元を離れてしまいちょっと素直になれない娘と、そんなこともきっと全部お見通しだという懐の広さを感じる母が、ずうっと画面の中にいる。

映画でもなく、連作ドラマでもなく、たった45分だけの単発ドラマで痛いくらいに母と娘の絆と関係性を感じられる脚本と構成と演技力の凄みが、この1話の見どころ。

観終わったあとに、まるで長編ドキュメンタリーを観たような気分になったのは、やはりこれぞ是枝作品といえる創りの極みなのだろう。
幸福なため息、そして感服。素晴らしかった。



# 3人間ドック


そしてこのドラマの中でもう一作の是枝監督が、こちらの3話。

わたしが2020年でいちばんといえるほどに、ズキューーンドキューーン!!!と、突如撃ち抜かれまくった「笠松将」という役者さんに出逢えた、運命の(当社比)、とてつもなくやばい30分だ。


撮休になった有村架純が芸能人御用達のVIPな病院で健康診断を受けに行くが、実はこの病院を選んだのにはある理由があって……というストーリー。

その病院で働いている腹部エコー検査の検査技師こそが、笠松将くんなのだけれど、


これがまじでとんっっっっっでもない(大声)


まずもって、腹部エコー検査、というシチュエーションの妙。

有村架純ちゃんのお腹を検査用のゼリーがなぞるそのゆったりとした様子は、下手すればなんというか、致す、より濃密な行為に見えて。

決して下品ないやらしさはないのだけど、あまりにも艶やかで観ているこちらまで息を呑んでしまうようなふたりだけの密室の空気。
そこでぽそぽそと交わされ始める、突然の関西弁と絶妙にお互い目の合わない会話。
身体を壁側に反転させたときにだけ、そうっと彼女に向けられて動く彼のしずかな目線。


いやいや、やばいって。やばいってこれ。(大声)


「あのあと」「あの時」「左利き」「知ってるやん、知らんわ」

決して詳細は語られずにふたりだけしか知らないまま進む会話が、ともすれば視聴者さえも置いてけぼりにしてるのに何故かそれすら心地よくて。


「もぉ、こんな喋ってて見落としてへんかな俺」

という最強のセリフを持って、わたしは笠松将の沼へ浸水。ずぶ濡れですわ。

昇天、完堕ち。
マジでとにかく観てほしくて、この話に関してはもう「笠松将」しか言えない身体になった始末。

なので、本当にしつこいようだが、観てほしい。


最後にこれだけ言いたいのだけど、笠松将くんのTwitterがもうあんまりにもやばくて、

それを推師匠・エイコさんにぶつけていたところ


ご本人からいいねがきました


・・・・・死。
嬉しさを超えた、恥のほうの死。

なので、このnoteは裏設定として「煙草姿がエロかった」だけじゃないわたしの真の気持ちを、万が一、いや億が一、エゴサしてここに辿り着いてくださった笠松将くんに読んでほしいという一心で書き殴っている下心満開でお送りしてる訳で。

あと、プラス世間に笠松将くんがはちゃめちゃにやばいってことも伝えたい訳で。絶対もっともっと有名で人気になると思う、本気で。


笠松将くん、好きです!!!!!!!

近藤役のあの目線、身体の向き、距離感、台詞、どれをとっても最っっっっ高でした。インスタの自己紹介に「コメディアン」って書いちゃうお茶目さも、ファンのコメントにいいねしてくれる律儀さも、好きなタイプはコンプレックスがある子っていうところまで。笠松将の沼は、深い。

2020年いちばん出逢えて良かったです!!日テレ系1月ドラマ「君と世界が終わる日に」も今から楽しみにしてます!!(宣伝)


でも、煙草姿もやっぱり好きです!!結局!!



# 6好きだから不安


はあ、皆さんまだ読んでくださってます?
これでラストなのでね。すみません。

先程紹介した2作の是枝監督も凄かったけれどこれまたビッグネームが続いて、なんとあの伝説の沼男・マモちゃん(成田凌)を生み出した「愛がなんだ」でお馴染みの今泉力哉監督作品!

そんなこの6話も、出るわ出るわのTHE今泉節。

有村架純ちゃんの彼氏役に渡辺大知さん・その彼氏の元カノ役に徳永えりさん、という流石の名キャスティングに加えて、有村架純が超めんどくさい彼女っていうのがこの話のあらすじと最大の見どころ。


冒頭から展開されるのが同棲中のふたりの日常風景なのだけど、

「私が好きすぎて困らせてる、ごめんね。」

っていう、え?つんくさんの歌詞ですか??みたいなめちゃくちゃむず痒い台詞オンパレードの怒涛の会話劇で。イ゛ーーー!!ってなりながら見てられないけど見ちゃう、というあの「きっと誰もが抱える恋愛黒歴史の箱」が開いたような感覚をもれなく味わえる世界観が拡がりまくり。


でも、そんな中でふいに訪れる

「だって有村架純だよ?」
「そういうの関係ないんで。」

という元カノと架純ちゃんのやりとりに、わたしは何故かぼろっと泣いてしまって。


個人的に、今泉監督の作品にはそういうところがあると思う。意図的に泣かせにきてる訳ではなく、観ているうちに視聴者側が自分の人生とリンクするタイミングがふいにやってきて気づけばそこで涙が溢れてしまうような。

イ゛ーー!ってなりながらも、途中で勝手に過去の諸々をまるっと浄化されて最後はちょっと心地よくなれちゃうから、今泉監督の作品が醸し出す魅力はほんとうに不思議だ。


**


という具合に、ここまで挙げた回以外にも、

・伊藤沙莉さん、若葉竜也さん、柳楽優弥さんなど個性派俳優が次々に登場する豪華キャスト

・それぞれの回を担当した脚本家、監督が色濃く描くファンタジーやヒューマンドラマや恋愛など毎話違ったテイストの「撮休」を楽しめる

・シンプルに有村架純ちゃんって何をしてても何を着ててもまじでめちゃくちゃ可愛い


などなど、見どころ盛りだくさん!!!

そんな、2020年マイベスト作品なのです。


ちなみに現在、この撮休シリーズ第2弾として「竹内涼真の撮休」もWOWOWで絶賛放送中!

これもまぁとにかく最高で………
竹内涼真の天然あざと人たらし(褒めてる)っぷりが遺憾なく発揮されててめちゃくちゃ良いんだ………

既に名作の予感がぷんぷんしております。



つらつら語りましたが、なにせ少しでもご興味お持ちいただけましたら是非に。

残念ながらアマプラなどのネットでは観られないのだけど、自宅で過ごす時間のお供にDVDをレンタルして年末年始にでも観ていただきたい!!


・・・・とか書いてた矢先になんと!!



\\  12/1〜アマプラ配信決定  //


ミラクル〜〜〜〜!!!
ありがとう神様〜〜〜〜!!!!!


いやぁ、これでますます心置きなくお薦めできる!!本当に良いので!!

ドラマオタク、太鼓判です!!!




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