連作小説「栞」 ‐ 4冊目・明日 -
夜眠る前に、あぁやっと今日一日が終わったと安堵し、朝起きて一番に、あぁまた今日一日が始まったと溜息をつく。47歳、来月には48歳。ようやくまた一つ歳をとれる。今年受けた健康診断はオールA、両親・祖父母とも大きな既往歴なしの長寿家系。あまりにも、先が長い。日本人の平均寿命が長くなればなるほど、申し訳ないけれど私の絶望も増してゆく。断じて「死にたい」訳ではない。けれど「生きねば」と思えるほどの熱い何かはとうに失くしてしまった。何時間でも眠り続けられた10代20代の頃なら睡眠で時