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短歌集/水無月 「降る日のこと」


「 うしろ 」
あまおとが ちかづいてくる 容赦なく
隠しきれない 嘘がつけない



「 あの花 」
かえりみち 右を曲がると あかむらさき
左に逸れる こころが揺れる


「 熱帯夜 」
しってたの ほんとはちがう 雨のよる
あの日はぼうっと うなされてたの



「 かき消す 」
ねえきいて わざとちいさく 声にする
振り向くと吉 傘の行方は



「 ひらいて、とじて 」
きみがいて あのまぶしさも つめたさも
知らずに済んだ 気づけなかった



「 帰り道 」
右の肩 濡らすあいつを ながめてた
乾いたままの おれが嫌いだ



「 ビニール傘 」
2万円 馬鹿じゃないのと 言い合った
きみのとなりは あの傘だった



「 ちいさなこと 」
あのひとは 喉まで上がる そっと飲む
わたしに傘を 持たせなかったわ



「 鍵 」
ゆく先を 閉ざされた部屋 6畳の
ここから出ない なにもいらない



「 台風コロッケ 」
コロッケが 食べたくなるんだ こんな日は
梅雨空に聴く じゃがいもを買う



「 低気圧 」
青白く ゆがむ眉間に 躊躇った
弱さにつけ込む ような気がして



「 足止め 」
虹がなに どうだっていい そんなもの
帰れなくなる 理由がほしい



「 恵みの 」
走れない 部長が告げる 頬を噛む
体育館には あのひとがいる



「 苦い 」
責め立てる ようで嫌いと 窓のそと
打ち付ける雨 睨むあの彼女(ひと)



「 ジューンブライド 」
しあわせが 降り固まるのと 教わった
そんな気がする 右足を出す



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あまりにも雨がきらいで、梅雨がきたことに今年もうんざりして、そうだ短歌を詠んでみよう(そうだ京都へ行こうノリ)と思いました。

人生初の短歌なので何が何やらかも知れませんが、梅雨入りに寄せて。





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左頬にほくろ
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