THE SUITS/オフ ザ ピッチ の戦闘服
■極上のスーツウェアが後半戦から参戦
■スーツはオフザピッチの戦闘服
■私が考えるスーツの着こなし
■チーム/社員ファースト
■極上のスーツウェアが後半戦から参戦
久々に興奮した。富山市内にあるフルオーダーメイドスーツのthe Most (https://the-most.jp/)久保代表から、「カターレ富山の選手達をどのクラブよりもカッコ良くします!」というありがたいお申し出を受けたからだ。専門的なことは省くが、ロンドンで修行を積み、その道30年のプロフェッショナルがアレンジするのは、英国製生地もサイジングも縫製もボタン仕様等の細部に至るまで、全てがカスタムメイドの本格スーツだ。いくら久保さんが富山出身であったとしても、ただ事ではないお申し出に、ただただ驚くとともに感謝するばかりである。
そもそも久保さんとの出会いが衝撃的だった。初めてお店に私が訪れた2時間後には、スーツやシャツ、タイ、チーフのご提供の大筋が決まり、その日中に久保さんと私は生地を選ぶまでに話は進んでいた。私はこれまで4つのクラブでオフィシャルスーツのアレンジをやってきたが、こんなにも早く、そして過分なご提供を受けたことは初めてだ。
■スーツはオフザピッチの戦闘服
久保さんには、私なりに持っている「プロスポーツクラブに属するアスリートが纏うべき衣服へのこだわり」ということを単刀直入にお話しさせていただいた。断っておくが、この時点ではクラブのオフィシャルスーツをご提供いただくとは1ミリも思っていなかった。
先ずは子供から大人の誰もがカッコ良いと感じでいただけなくてはならない。チームはあらゆる人達から憧れられてなんぼだと。次は対戦チームはもとより、株主、スポンサー、ファン、サポーターといったクラブに関わる全ての方々に対して、敬意を表すフォーマルさ、清潔さ、もっと言えば品格を漂わせたいものだ。この2つはサッカーは子供を大人にし、大人を紳士にするスポーツと信じている私が代表を務めるクラブのチームに求めたい最も重要なことである。
チームは試合でクラブユニフォームを纏って戦う。同時に私の考えでは、クラブを代表する全てのシーン、例えばアウェーでの新幹線移動時や、スポンサーパーティー、新体制発表といった公式行事、TVやフォトの伴う公式メディア取材等では、当たり前事としてカチッとスーツを着用すべきと考えている。それがクラブとして重んずべき最低限の礼儀だと、この業界に来た時から大事にしてきた姿勢である。言わば、スーツとはオフザピッチの戦闘服と頑なに思っている。
そうしたスーツに抱いている想いを久保さんにぶつけたところ、彼の眼光がみるみるうちに鋭くなっていった。結果、採算度外視、J3だろうが何だろうが、富山を代表するなら最高のものを出そうじゃないかということになった。
■私が考えるスーツの着こなし
以前私が当時J2に属していた湘南ベルマーレに移籍した際、オフィシャルタイやシャツのサプライにと、メーカーズシャツ鎌倉の貞末良雄会長にお願いをしたことがあった。メーカーズシャツ鎌倉と言えば、最高のクオリティをお求めやすい価格でシャツの提供をするハイブランド法人、そして貞末さんと言えば、今をときめくあのヴァンジャケットで活躍されていた伝説のアパレルリーダーの一人。簡単にはお会い出来ないだろうと思っていたら、驚いたことに見も知らぬ私を近所のカフェに誘い気軽に会ってくれた。
コーヒーを飲みながら会長が「君のおしゃれ哲学ってあるのかい?」と聞かれた。私は少し考えてかつて英国に住んでいた頃に仲良くさせていただいていた紳士の言葉を思い出し「はい、我慢と不便です」と答えた。スーツは身体のシルエットに近いフィット感を出す。そのために身体は普段から一定の体型を維持していなければならない。またシャツのポケットに携帯や財布など入れるのはスーツのシルエットが崩れるのでご法度。相手や着用するシーンによっては、暑くてもシャツの第一ボタンを締めてタイをする…ちょっと各方面から時代錯誤も甚だしいとご批判を浴びるかもしれないが、私はそうした我慢と不便は、相手への礼儀と解しているので、異論のある方々はどうか読み流していただければ幸いである。
それを聞いた会長はニコニコしながら、ベルマーレへのシャツとタイのご提供を決めてくれた。以来、私のスーツ感とは、先ず相手に礼を失しないキチンとしたもので、どのクラブでも貫き通してきたし、これから着用するカターレの戦士達にもそこを突き詰めてもらうつもりである。でなければ、プレミアリーグ以上のスーツをご提供いただく久保代表に申し訳が立たないのだから。
■チーム/社員ファースト
プロスポーツ界に来てスーツ同様にこだわってきたことがある。それは、どんな時もチームと社員を最優先に考えることだ。私達の仲間であるサポーターと接するのは選手であり社員、スポンサーやお客様と接するのも選手であり社員だからだ。選手や社員は錦を着ていなければいけない。錦を着てもらうことで、社を代表してもらう自覚と責任を感じてもらう。その自覚と責任があれば、ファン、サポーター、スポンサー、そして地域の方々と真っ正面から接してくれるだろう。そうした中から出てくる意見は、必ず会社の本質的な発展に繋がる示唆に富んだものとなるはずだ。
今回のスーツ提供は、全てのスタッフには行き届いてはいない。但し、スーツ単価を削ってまで全員に提供するよりも、出来る最大限のモノを身に纏い、纏えない者がいることを、私自身の更なる努力のエネルギー源にして、出来るだけ早い時期での「全ての社員ファースト」が実現出来るよう腐心していくつもりである。
久保代表、よろしくお願い致します❗️
【8月24日追記】本稿リリース後1ヶ月経った本日、こだわり抜いたスーツが出来上がってきた。シルエットは純英国調で胸の押し出しも威厳があり、首筋から肩、背中にかけてのラインも綺麗。縫製後も生地のコシの強さとハリ感はそのまま。インのサイドアジャスター付ワンタックパンツは細過ぎず太過ぎずで用途を選ばずフォーマルでも十分通用する。このスーツをチームが10月から着用するのが今からとても楽しみだ。届いたスーツを着込んだ久保代表とのツーショットは、このnoteを書いた1ヶ月前と何一つ変わらない。相変わらず熱い久保さん、後半戦に大いなる弾みがつきました。ありがとうございます❗️
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