木下大サーカスの裏表が素晴らしかった話
昨年末に、息子達にねだられてねだられて立川で開催していた木下大サーカスを観に行きました。
夏休み前に、小学校から割引券をそれぞれもらってきた息子達。
帰宅するなり、口を揃えて「立川にサーカスくるんだって!行きたい!」と。
「へー、今度行こうね!」と口約束をして、二枚の割引券を冷蔵庫のマグネットにぺたっと挟んだ。
一週間後。
ねぇ、サーカスいつ行ける?
うーん今週と、来週も無理だなぁ。来月かな。
三週間後。
ねぇ、サーカスいつ行ける?
えー、暑いから涼しくなってからにしない?
10月。
ねぇ、サーカスいつ行ける?
ごめん、無理無理無理、仕事ハイパー忙しい。今度今度、来月!!
11月。
ねぇ、本当にサーカス行けるんだよね?
約束したよね??💢
ごめん、絶対、かならず連れてく、、、。
12月。
ねぇ、サーカス、来週で終わっちゃうよ。
僕たちサッカー休んででもいいから行きたい。
わかった、今週末こそ行こう!!!
ふりかえれば私は「サーカス観たい」って思うことが一度もない人生だった。
NOサーカスでここまで生きてきた。
夫に聞いてみたら、夫もNOサーカス派。
なのに、息子二人のこの熱量はどこから来るんだろうか、、、。不思議だなぁ。
終演日ギリギリで、チケット予約。
冷蔵庫の割引券は、すでに1枚は行方不明、残る一枚はよれよれのがびがびどこから飛んだか解らぬ醤油の染みまでつけて、出番を待っていてくれていました。
いざ!サーカスへ!!
10時からの開演なのに、9時過ぎの現地はすでに大行列。
事前に買った割引券にプラスして指定券を購入すれば確実に入場できるんだけども、単なる前売り入場券は座席が確保されないんだ、、あぁそうゆうことか、、、。
これ、10時の回は観れないっぽい、、、昼からは、息子のサッカーの試合があって、私も仕事があって、、、でも、NOサーカス派の私にとって、指定券の値段はちょっとなかなか、、、。
お金を払って並べる特権階級様のすいてる列を横目に、我ら平民は、大行列の最後尾へ向かう。とぼとぼとーぼとーぼー、、、ドナドナドーナドーナー、、、。
誘導している団員らしきお兄さんに、
「この位置じゃ、10時の回観れませんよねぇ、、、?」と聞いたら、
「うーんたぶん大丈夫です!!もしはいれなかったら、次の回の優先整理券お渡ししますし!」と。
「今日この回を逃すともう観れないんです、、、メソメソ、、、ドナドナ、、、」と呟いたら、お兄さんは「ちょっと待っててくださいね!」としゅたたたーとどこかへ駆けていき、息もきらさず戻ってくると
「たぶん「絶対」大丈夫なんで、このままお並びくださいね」と言ってくださいました。
名札には確か「飛竜」って書いてあって、目鼻立ちのハッキリしたイケメンお兄さん、ありがとう。サーカスは、誘導の人まで、素晴らしい身のこなし。
そして「10時の回のお客様、整列の間に、代表者のお名前と人数記入、検温にご協力くださーい」と係の方にうながされ、私たちは無事、ドナドナの平民から、10時の回のお客様となり、晴れやかに開場を待てたのでした笑
赤や黄色の、かわいらしい組立式のサーカステントの入口がどんどん近づいてくる。
明後日には、このテントはバラされて、またどこかの地へ、移動するのかぁ。
ライオンとかゾウとかも、一緒に移動すんだもんなぁ。
立川の夜の住宅街に、急にパオーンとかガオーとか、響き渡ってんのかなぁ。
ロマンだなぁ。
並んでいる間に、木下大サーカスをぐぐって、木下豆知識を得た私は、この時点でちょっとかなり、サーカス好きになっていた。
明治35年から続く老舗中の老舗サーカス。
ロシアのボリショイ、アメリカのリングリング、そして日本は岡山発祥のこの木下大サーカスが、世界三大サーカスらしい。
、、、シルク・ドゥ・ソレイユは、三大サーカスじゃないんだね、、、。
あれか、ディズニーランドとよみうりランドみたいなもんか。
シルク・ドゥ・ソレイユも、コロナ禍の現在大変苦しい状況らしい。
が、あの華々しい、大手スポンサーやメディアの後押しを受けているシルク・ドゥ・ソレイユのイメージと、手作り感満載の目の前の木下大サーカス。
比べるもんじゃない。
この手作り感が良い。
いよいよ入場して、座席を探す。
10時の回の客とはいえ、我らは平民なので端の端、ステージ真横の見切れ席になってしまった、、、。
が!!!!!!
この席が!!!!
私に、1ヶ月経っても、まだこんなにびっくりマークを打たせちゃうほどの感動を与えてくれたのでした。
いよいよショーが始まった!
「木下大サーカス」でググると、数多の感想ブログが出てきます笑笑
ショーの「表」の素晴らしさはぜひそちらで。
ショーの感想書かないんかいっ笑
じゃー、何を書くんだよって笑
いや、書きたいこと、めっちゃあって。
木下大サーカス、本当に目まぐるしく演目が次から次へと繰り出されるんです。
見ているこちらは、ハラハラドキドキ息つく暇もない。
本当に物理的に息つく暇もない感じで、セットチェンジされていくんですね。
しかもサーカスなので、キャットウォークみたいなのがあって、高い空間を使うじゃないですか。ライオンだのゾウだの出てくるから、観客の前の柵も、立てたり外したり。
クラウンの演技が、演目のセットチェンジの合間の時間さえも楽しませてくれるようになっているのですが、スポットはクラウンのみに当たっていて。
真っ暗なんですよ。
裏方さん達は、手元灯もヘッドライトも使わない。
真っ暗ななかで、高さ何メートルもあるはしごをするするする~っと登ったり、ライオンから観客を守る重そうな柵を音もたてずに組み立てていく。
ゾウが座る何百キロもありそうな円形の台座を、さして大柄でもない男のひとが、ひょいと傾け、円形を利用してハンドルのように扱いながら、真っ暗闇のなか、所定の位置に音もなくスンって置いたとき、、、。
鳥肌が立ちました、、、、!!!!
体幹、はんぱねぇっっっっ!
こやつ、ただもんじゃねぇっっっ!
そう。裏方っていうか、演者さん達が、自分の演目以外では、裏方に回るシステムなんだと思うんです。たぶん。
それくらい、裏方さん達の動きが美しすぎる!
もう、そう思ったら、ショーに表も裏もないっつうか!
もう見所だらけで、どこ見たらわかんないっつうか!!
ステージ横から、機械装置とキャットウォークの昇り口へ繋がる通路に、スタッフさん専用の腰高のゲートがあって。
皆さん、片手でそこを開けて通行するんですけど。何歩目かで手を添えてターンして閉じる、とか、その歩数さえ決まっているのかと思うほど淀みなく、視線はルックアップでステージに向いたまま。
「表」のステージを成功させるための鍛練。
ステージの「裏」を支えるための訓練。
どれだけの経験や努力や団結を持ってしたら、こんな風な動きになるのか。
なんかもう、胸がいっぱいになってきて。
そしたら、愛嬌たっぷりにゾウがステージに出てきて。スポットライト浴びながら、ゾウさんがくるくる歩いて。
また前を向いて、所定の位置についたのかなと思ったら。
ライトの当たらないお尻の位置に、一輪台車を持ったお兄さんがすっと歩みよって。
その瞬間を見計らったように、ゾウさんが大量のうんこを台車の上に落としていきました。
町内会とかの草刈りで刈った草くらい運ぶんだって、普通のオッサンオバサンじゃ、あの台車、右へ左へふらふらするじゃないですか。
ちょっとした現場のセメントくらいの量のうんこが、自分の身長より高いところからダバダバダバーと落下してくるのを、ピタッとキャッチして、すい~っと舞台裏へ消えていった、、、。
だから、体幹、はんぱねぇっつの!!!!!
なぜか、私の涙もダバダバダバーでした。
あと、猛獣使いの演目のとき。
ライオン達が、本当に猫ちゃんみたいに飼い慣らされて、猛獣使いのオッサンに懐いていて、演目が終わって、ライオン専用の檻の通路を帰って行くんですけど。
ライオンがみんな本当に、後ろで檻を押さえる裏方さん達に「ちーっす。おつかれーっす。」って感じで軽く会釈しながら帰って行くんですよ!!!!
本当なんだって!!!!
たぶん、あのまま、あのライオン達、立川の呑み屋の暖簾くぐっちゃうんじゃないかしら、、、。
ライオンや動物達の幸せとか、色々思うところはあったけれど(サーカスの外で、動物愛護団体が反対活動のビラ配りをしていました)、あの猛獣使いのオッサンのインタビューを読んだら、全身全霊で自分の人生を猛獣に捧げていて、休みなんてほとんどなくて、いつもいつも「次の瞬間が人生最期だ」と思って、真剣勝負で檻に入るらしい。でも可愛くて仕方ないらしい。過酷すぎるから、弟子にしてくれっていう人も見つからないし、弟子にしたいって思う人にも会えないらしい。
そしてライオンと比べるもんでもないけど、ライオンみたいに、大変にむずかしく素晴らしい生き物を育てている私としては、そしてそれはせいぜい10年くらいで私の手を離れてしまうから、おじさんがその熱意をずっとずっと何十年も注ぎ続けていることを、ただただ尊敬し、また涙しちゃいました。
そうこうしている間にも、鉄球の中を3台のバイクがぐるんぐるん走り回り、空中ブランコはひらひら揺れて、人がぴゅんぴゅん飛んで、あっという間に、フィナーレへ。
そして、衣装のまま、セットをばらし、観客の誘導を始める団員さん達。
ありがとう。鍛練の人達。美しい人達。
あー、あー、あー、本当に素晴らしかった!!!
いま、木下大サーカスは、たぶん横浜にいるよ!!
指定席で、正面や真横から、表も純粋に楽しみたい。
横浜、行ってしまおうか。
そして、表を観た方はぜひぜひぜひ。
平民席、もとい、見切り席に敢えて着席されることをオススメします。
まじで、ほんと、まじで!!!
あんまり期待せずに列にならび、感動でぼーっとしながら帰路についたから、写真が全然ない笑
うんこをキャッチした一輪台車画像を探したら、奇しくもゾウ印の写真が出てきたのでした。
ちゃんちゃん。