天安河原に行って初めて「神々しさ」とは何かを知った話(一人旅4日目 後編 in宮崎)
高千穂峡からびっくりするくらいの下り坂を、足をプルプル言わせながら真顔で歩くこと十数分、無事に元の場所に戻れた僕は、高千穂神社を参拝してから、タクシーで次の目的地に向かうことに。
運転手さんからこの地の伝承について解説をもらいつつ、荒立神社に寄ったり、「日本の棚田100選」に選ばれたという棚田を見たりなどした。
荒立神社はこちらで触れた猿田彦と、天鈿女命(アメノウズメノミコト)が結婚して住んだ地とされているらしい。
ひと通り説明してもらった後の「まぁ全部後付けなんですけどね!」という運転手さんの言葉が忘れられない。
なお「アメノウズメ=芸能の神様」を祀っていることで、『推しの子』でもメンバーが参拝に訪れるシーンがある。
さて一通り案内をもらってタクシーでの観光を楽しんだのち、高千穂の最終目的地にやってきた。天岩戸神社西本宮だ。
有名すぎて説明するまでもない気もするが、天岩戸(あまのいわと)と言えば、息子であるスサノオの、手のつけようもないヤンチャぶりにいよいよブチ切れたアマテラスオオミカミが引きこもった場所である。
神話時代の神様ですら教育に困ってるわけだから、そら人間にとっても教育は大変なわけだ…。
天岩戸のある拝殿の裏に入るためには、神職の方同伴の必要がある。
といっても別に敷居が高いわけではなく、誰でも現地で申し込めば入ることができる。
撮影禁止なので写真は残っていないが、切り立った崖の一部に大きなへこみがあり、そこを横断するようにしめ縄が張られていた。
….こんな崖っぷちに何故わざわざお隠れに? てかこんなに大きな穴なら岩戸も相当デカかったろうに、どうやって塞いだんだろう…。そんな疑問はヤボなのだ、多分。
続いて、「アマテラスさん引きこもっちゃったけどどうすっぺか」と神々が相談したという場所、天安河原(あまのやすかわら)へ。
さて、かなり引っ張っていて申し訳ないが、件の友達の夢の話である。
高千穂峡をブラブラしながら「ここがその場所…?」と疑問をもったままであった自分にとって、ハッとする光景が広がっていた。
あ、多分ここだ。
静寂…には程遠いが(川の音がすごいので)、どこかゆっくりと時間が流れているような不思議な感覚があった。木漏れ日の中を、川に沿うように歩いていると、ところどころに石が積まれている。
石積みは本来、賽の河原の風習のはずだけど…後から調べたところ、祈願を行なう人々によって、いつの間にか積まれるようになったそうな。
仰慕ヶ窟(ぎょうぼがいわや)にたどり着くと、蒸し暑かった気温がスッと涼しくなり、川の音が遠くなるのを感じた。
一面に石が積まれている光景を見たのは初めてだったので、涼しさや静寂とともに、どこかこの世じゃないところに来たような感覚があった。
恐縮ながら、決して信心深いわけでもなく、これまで神仏的な何かしらを感じる瞬間もなかった僕ですらそんなことを考えたので、昔の人からすればここはまさに「神」を連想する光景だったのかもしれない。気のせい? それを言ったらおしまいですよ
ここへ足を運ぶきっかけをくれた友達に改めて感謝である。
この後、天岩戸東本宮まで足を運んでからは、3日間滞在した宮崎県を離れ、大分県の別府市へ。
…東本宮からどうやって別府に行ったのか、この間の記憶が全くない…。