見出し画像

石巻・津波伝承館開館 言葉と映像でつなぐ証言 震災の記憶と教訓ここから

 東日本大震災の記憶と津波から命を守る教訓を後世につなぐ「みやぎ東日本大震災津波伝承館」が6日、石巻南浜津波復興祈念公園内にオープンした。震災伝承の中核的施設で、祈念公園と同じく3月の開館予定だったが、コロナ禍の影響で先送りしていた。式典後に一般公開され、市民は当時の記録映像や証言をじっくり見聞きしながら教訓を胸に刻んでいた。

津波伝承 (3)

 同館は国が総工費約10億円で建設し、県が管理運営する。鉄骨造平屋建て(延べ床面積1300平方メートル)、施設側面は四方を見渡せるガラス張りとした。展示設備は約4億円をかけ、当時の津波の映像を流すシアター「くり返さないために」をはじめ、市内外約90人の被災体験をもとにした証言映像を閲覧できる情報端末や展示物、県内の伝承施設紹介がある。解説役は主に石巻観光ボランティア協会のスタッフが担っている。

南浜復興祈念開館 (4)

式典前に村井知事や齋藤市長が献花

 式典ではコロナ禍でテープカットは行わず黙とうと代表者あいさつのみ実施。村井嘉浩知事は「ここを訪れた方々に津波の恐ろしさ、かけがえのない命を守るという学びを得てもらうため、各団体との連携に努める。県内の伝承施設も巡っていただき、一人でも多くの人が記憶と教訓を胸に刻んでほしい」と願った。

南浜復興祈念開館 (3)

市民が展示物を通じて震災の記憶に触れた

 齋藤正美市長は「県内の伝承施設へ誘うゲートウェイとしてより多くの人に訪れてほしい。現在整備中の震災遺構門脇小、まもなくオープンする震災遺構大川小のほか、市内伝承団体と連携して国内や世界に広く情報を発信する」と語った。

津波伝承 (4)

 午後3時から一般公開され、市民がシアターなどを見学。同市沢田から家族3人で訪れた会社員阿部新悦さん(45)は「発災時、石巻市立病院の増築工事をしていた。展示物や映像を見て、当時の様子を鮮明に思い出した。10年ですっかり変わり、門脇小校舎だけが地域を思い出す目印。家族には災害時の迅速な避難を徹底させたい」。同市末広町から母(84)と訪れた高橋政子さん(58)は「当時を思い出し、悲しくなったが、記憶や記録を残していくことの重要性も感じた」と話していた。

 同館は月曜と年末年始を除く、午前9時から午後5時まで開館しており、入館無料。ただし月曜が月命日の11日の場合は開ける。問合せは同館(0225-98-8081)。【横井康彦】


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。