避難「指示」に一本化 20日・改正災対法施行 勧告廃止で分かりやすく
災害対策基本法の改正で、大雨などの際に市町村から出される避難情報の一部が20日から変更される。災害のおそれがある時に避難を促す「避難勧告」は廃止され、強く避難を求める「避難指示」に一本化。勧告と指示の違いの分かりにくさを解消し、逃げ遅れを防ぐのが目的。今後は避難勧告を出すタイミングで避難指示が発令される。
大雨や土砂災害の防災気象情報は、5段階の警戒レベルと共に出されており、レベルの低い1、2は気象庁の出す注意情報。レベル3以上の避難情報は市町村が発令する。
これまで市町村は氾濫危険情報、土砂災害警戒情報の発表を目安に警戒レベル4の避難勧告か、避難指示(緊急)を発令。基本的に勧告、指示と段階を踏むため、おととし秋の台風19号では指示を待って勧告で避難しない人も多かった。この違いが理解されていない課題もあり、改正ではレベル4で避難指示のみ発令される。
このほか、最も高い警戒レベル5の災害発生情報は「緊急安全確保」、レベル3の避難準備・高齢者等避難開始を「高齢者等避難」に名称変更。レベル5は氾濫発生情報や大雨特別警報などすでに災害が発生してすぐに命を守る行動が求められる段階、レベル3は避難に時間がかかる人が行動する段階であり、より分かりやすい名称にした。
全戸配布で周知
石巻市の過去5年を見ると、ほぼ毎年、避難情報が発令されている。避難勧告は2年に1回の割合。今後これが避難指示に置き換わり、実際に行動が求められる場面が増える。
新型コロナ対策で市は、災害時に開設する避難所を増やすことにしているが、市民全員を受け入れるのは困難。避難所に行くことだけが避難でなく、国は親戚・知人宅への避難や安全が確認できる場合には自宅にとどまることも避難の一つとして示している。
市は6月の市報の配布に合わせ、改正を知らせるチラシを全戸に配る。危機対策課は「日ごろから自分のいる場所がどういう危険があるのか、どの時点でどこなら安全に避難できるのかを把握してほしい」と呼び掛ける。
【熊谷利勝】
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