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南浜マリーナ 30日開港 震災教訓で船舶陸上保管 広がる市街地の安心安全

 石巻市が旧北上川河口で整備を進めてきた南浜マリーナは、30日に関係者による開港式を行い、全面供用を始める。主にプレジャーボートなどの小型船舶を保管する市内初の専用施設で、県内でも唯一の公共マリーナ。津波・高潮の防災や無秩序な係留対策だけでなく、指定管理者による各種イベントを催すことで交流人口の拡大にも役立てていく。

 マリーナは旧北上川の右岸側、石巻南浜津波復興祈念公園に隣接。取得した被災後の民有地や旧市立病院跡地などの市有地を使い、第1期として敷地面積約1万8千平方メートルを整備した。川岸に25トンまでの船の上げ下ろしが可能な固定式クレーンを設置し、陸側に130隻まで平面収容が可能な保管場所を確保した。川と保管場所は堤防で隔てられ、船は津波襲来時に閉められるゲートから出し入れする。浮桟橋では最大30隻の一時的な水面保管も可能になっている。

南浜マリーナ (6)

固定式クレーンの設置が完了し全面供用が可能になった南浜マリーナ

 事業費は約15億円で、財源は合併特例債が主。事務室、多目的室、トイレ、シャワー、更衣室からなる管理棟(約85平方メートル)、修理工場に当たる作業棟(約130平方メートル)を備える。駐車場は83台分を舗装して整えた。作業棟の白壁には青字で大きく「南浜マリーナ」と表記してある。

 開場は午前8時半から午後5時まで、休業は水曜(祝日の場合は翌日)と年末年始。利用料金は細かく設定されており、プレジャーボート、ヨットの年間利用料は、長さ5メートルで約26万円、15メートルで72万円ほど。漁船はその半額になる。船舶の販売修理を手掛ける(株)野村モータース=不動町=が指定管理者に選定され、マリーナが観光資源となるようボートの免許教室や体験試乗会などのイベントを行うことにしている。

南浜マリーナ(陸側) (5)

管理棟(左)と作業棟

 東日本大震災で旧北上川をさかのぼった津波で河川内の係留船が市街地に流され、被害を大きくした。この教訓から市は「防災マリーナ」として津波・高潮に対応した陸上保管場所を計画。平成27年度から事業着手し、今年5月から水面係留の受け入れを始めた。しかし、クレーンの設置に時間を要したことから全面供用がずれ込み、市によると現在の利用は7、8件ほど。開港式後の利用の増加を期待している。【熊谷利勝】


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