第98回 石巻川開き祭り 主要行事は全て見送り 実行委で正式決定
2年連続祭典のみ
石巻市最大の夏のイベントである「石巻川開き祭り」の実行委員会は、28日の臨時総会で、花火大会や陸上パレード、水上行事の孫兵衛船競漕といった主要行事を2年続けて見送ることとした本部会議の方針を正式決定した。ワクチン接種が終わらない中、新型コロナウイルス対策が困難なことが主な理由。98回目となる今年は昨年と同じく関係者による祭典のみを行う。
臨時総会は石巻商工会議所会館であり、市や商議所など実行委の構成団体、関係機関から約50人が出席。冒頭を除き非公開で進められ、祭りの原点である川村孫兵衛翁報恩供養祭などの祭典のみ行うこととした事業計画案を承認した。特に異論はなかったという。
臨時総会であいさつする青木会長
終了後、会見した実行委会長の青木八州商議所会頭は「何とか開催したいと思い実施の可能性を探ったが、陸上、水上、煙火の3部が行事開催できないとの判断に至った」とこれまでの役員会、本部会議での検討経過を報告。「2年連続は残念だが、来年の99回、節目の100回に向け何らかの内容を検討し、思い出に残る川開きにしたい」と話した。
川開きは近年、7月31日と8月1日の2日間で行ってきたが、昨年はコロナの影響で祭典を除く主要行事を中止。今年は東京五輪の開催中を避け、規模を縮小して8月21日の一日限りの開催を目指してきた。しかし、観客の感染対策や行事参加団体の安全確保が困難であり、主要行事を断念せざるを得なくなった。参加団体はコロナ禍で十分に練習できない事情もあった。
唯一行う祭典もコロナの状況を見て7月20日に実施可否を最終判断。8月21日に孫兵衛翁の報恩供養蔡や墓前供養蔡を行い、後日、実行委のホームページで動画配信する。昨年に続き披露の機会が失われる小学校鼓笛隊など陸上パレードの参加団体には、希望を募った上で事前に動画撮影し、21日に合わせて公開する。【熊谷利勝】
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市民落胆 祭りのない夏 現実に
「寂しい…でも仕方ない」
今年の石巻川開き祭りは祭典のみ8月21日に行い、旧北上川での花火大会や孫兵衛船競漕、灯籠流し、陸上パレードなどの集客行事は、昨年に続き全て中止となった。市民はやむなしとしつつも、夏の一大行事がないことを寂しがった。
「2年連続の中止は寂しい限り」と話すのは小学生の子を持つ石巻市蛇田の橋本知穂さん(36)。小学校が参加する鼓笛隊演奏は、陸上行事の最大の呼び物だった。「パレードが無いのはかわいそう」と親心を語り、長男の琥輝さん(蛇田小6年)も「できる事なら祭りで演奏したかった」と残念がった。
陸上行事の舞台だったのは、コロナの影響を受ける中心部の商店街。立町大通り商店街振興組合の篠田一壽理事長(68)は「28日の組合総会は川開きの話で持ち切り。コロナ疲れでうっぷんがたまっており、何か方法を考えてほしかった」と話す。雰囲気だけでも感じてもらおうと、七夕や川開きにちなんだ子どもの絵を7月31日、8月1日に合わせて商店街に飾ることを考えていく。
楽しみにしていたのは、昨年7月に東京都品川区からUターンした日和が丘の綱島祐子さん(58)も同じ。「ゆっくり祭りを味わいたいと思っていたが、今の社会情勢では仕方ない」と納得。「来年は壮大な花火を堪能できることを」と願った。
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