復興期満了で通常規模に 新年度予算編成 〝貯金〟3年後は5分の1
石巻市は13日までに令和3年度の予算編成方針を定めた。潤沢な財源があった震災の復興期間は本年度で満了し、今後は歳入が減る予想。一方で復旧復興した施設の維持管理費で歳出は増え、収支不足を市の貯金に当たる財政調整基金で穴埋めした場合、昨年度末で147億円台だった残高は5年度末に30億円台まで減るという。こうした収支の見通しから、市は通常予算に戻すことを意識した事務経費の削減や事務事業の見直しを図り、財政規模に見合った新年度予算としていく。【熊谷利勝】
創意工夫で歳出削減へ
市がまとめた3-5年度の収支見通し(中間)によると、歳入の中心である市税は企業の設備投資や住宅新築による固定資産税の増加などで震災前の水準を上回っているが、今後は復興事業の収束や新型コロナウイルスによる地域経済への影響で減少する見込み。国からの普通交付税も合併の特例措置(合併算定替)の終了で減少が続く見通しという。
歳出は復興事業で拡大した人件費や少子高齢化で需要が増す社会保障関係の扶助費、複合文化施設をはじめとした新たな施設の維持管理費などの物件費が増加する予想。学校施設など老朽化施設への対応も必要になる。
市の試算による普通会計(一般会計と一部特別会計)の歳出額は本年度の決算見込み額2768億円に対し、3年度777億円、4年度747億円、5年度703億円。復興期間満了で大幅に減るとはいえ震災前は600億円前後であり、扶助費や物件費の増で100億円ほど底上げされる見通し。
収支不足を補う財政調整基金の残高は、新型コロナウイルス感染症対策経費の増加もあり、昨年度末の147億9千万円から本年度末は74億4千万円になる予想。その後の3年間でも43億8千万円減り、30億6千万円になる見込み。それでも市の財政規模に対する適正残高は確保され、震災直前(約20億円)よりはあるが、今後のコロナや災害によっては厳しくなる。
市長改選で骨格予算
これらを踏まえ、新年度の予算編成は決算額を基準に「歳入に見合った歳出予算」を基本としつつ、可能な限りの歳出削減に取り組む方針。ただし、4月に任期満了に伴う市長選挙があるため、当初予算は新規の政策的経費を計上しない骨格予算とし、改選後に補正予算で肉付け対応することになる。菅原秀幸副市長は課長級約80人を集めた説明会で「創意工夫で無駄を排除した予算要求を」と求めた。
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