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【ネパール滞在記】オズモシスを仕掛けてく


昔から、コーヒーにフレッシュを入れる瞬間が好きだ。


濃度の高いミルクは、コーヒーとすぐに混ざり合うことなく、カップの底にあたり表面に跳ね返ってくる。
まるで暗闇に花火が咲くかのように、小さな白い点が黒い海のいたるところで打ち上がり、次第にぼやけていくその様を、幼い頃から飽きることなく、自然に混ざりきるまでずっと眺めていた。

あとはラーメンを食べた後など、スープの表面に浮かぶ油を箸でひたすらに繋げていくことも大好き。バカみたいだと自分でも思うけど、それは大人になった今だって夢中でやってしまうことの一つ。

次第と溶け合っていくこと、そして出会うことのなかったはずの点がつながっていくこと。
そんな瞬間にいつだって心が躍るのだ。

オズモシスという言葉を知ったのはColorbathに入ってから。
溶質の濃度が高い方から低い方へと自然にじわじわ浸透する現象を表す化学用語なのだが、私が今やっている仕事はまさにその言葉そのものだと思う。

それは今回のColorbathのフィールドワークで確信に変わった。

年齢も、出身地も、環境もそれぞれ全く違う中で、「ネパールに行く」ということを通じて集まった小さな運命共同体は、この旅で心を許し合い、時に感情を曝け出し合いながら、さまざまなことに向き合った。

ネパールで都市部や農村部の人々の暮らしにどっぷりと触れた7日間。
そして日本に帰国してまた日常に戻る。
日頃の認知や意識が変わる。
それをまた共有する。

明らかに今回参加してくださった10人のフィールドワークメンバーは1週間という短い滞在期間で顔つきが変わった。そんな変化の瞬間に立ち会うことができたことを誇りに思う。

世界が広がるということは、何て愛おしいんだろう。

私はこれからもこの変化をたくさん見届けていきたいし、その成長を機にさらに広い場所へ飛び立って行くみんなが、時に傷ついた羽を休めたいと思った時にいつだってまた帰ってこられる場所でありたいと切に思った。

もちろん私もまたみんなと同じ目線で笑い合えるように同じところにいたとしても、歩みは止めないでいたいけど。

そんなことを感じた4年に1度の閏年。
みんなのフィールドワークの感想に、目の前の画面がぼやける。

これからも、ワクワク、ゆるゆる、じわじわと。


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