さくらももこさんと母に救われた日
日本に帰国した私は、少しばかり、いや、かなり鬱っけだった。
毎日早朝からオフィスに行き、夕方遅くまで仕事をして、日々がワクワクに溢れていたネパールでの生活。ちょっぴり働きすぎではあったと我ながら思うが、何よりも充実していた。
それが一転、日本に帰ってくると全てがリモートワークになり、まずオンとオフが着きにくくなる。一人たくましく生きていかなければいけなかった生活と打って変わって、家族も近くなり、甘えが出てくる。
いや、そこは自制しろよ、とツッコミが起きそうだが、そう簡単にいかないのが人の弱さで、私の生活はあっという間に昼夜逆転となりだした。
悩む、寝られない、起きられない。
毎日が消化不良で、1日が充実していなくて、このまま終わるのは勿体無い気がするから夜遅くまで作業をして、深夜、否、空が白んできた頃に眠る、そんな繰り返し。
それに加えて、自分じゃどうにもならない事も次第に増えてきた。例えば親が年齢を重ねること。どれだけ自分がおばさんになっても、永遠に両親の前で私は子どもである。でも残酷なことに時は進み、親はいずれいなくなる。日本に帰り家族と一緒に過ごす機会が多くなると、そんなことをリアルに感じる瞬間も増えるようになった。
あれ、私って空っぽだ。急にそんな感覚に陥る。
なんのために生きているのだろう?何を全うするために産まれたんだろう?
親がいなくなったら?そんなことをずっとずっと考えていた。
テキトーもまた人生
そうして悩んでいる理由の一つは、私の周りには自分のやりたかったことを見つけ、本当に輝いている人が多いからなのだと思う。どうしても比較をしてしまうのだ。みんながそれぞれの才能を輝かせて命を燃やしているからこそ、焦ってしまう。
やなせさんの歌が頭をかすめる。私は何をして生きるのが正解なんだろう。まだ見つかっていないのに、どうしたらいいんだろう。
そんなある日、母と食事をしていた時のこと。
疲れ切っていた私は、ふと母に自分の使命が見つからないとぼやいてみた。
「やなせさんの歌詞あるやん?お母さんはどう思う?使命とか考えたことある?」
すると、衝撃的な答えが返ってきた。
「アンパンマンのマーチ?何それ?」
…嘘だろ、おい。あの国民的な歌を知らないだと…?
私はすぐさま歌ってみせて、検索した歌詞も差し出す。
すると母はスマホ画面を眺めた後、視線を戻しさらに驚きの一言を放った。
「へ〜。お母さんやったらほら、なんやっけ、ちびまる子ちゃんの曲の方がええわ〜。」
そう、かの有名な「おどるポンポコリン」のことである。
いや、何を言っているんだこの人は。違うのだ、私が求めていたのはそんな答えじゃない…!使命について語りたかっただけなのに!笑
そして久々におどるポンポコリンの映像を母とYoutubeで一緒に見て、終始笑った。
※ちなみにあまりにもアホっぽく描いてしまった母の面子の為に断っておくと、普段はとても聡明だ。ただちょっぴりお茶目である。笑
なんだか猛烈に気が抜けた。私はいったい何を悩んでいたのだと。
もう毎日生きているだけで偉いじゃないかと。今はそんなマインドなのだ。
この日記を書きながら、「おどるポンポコリン」について調べていて素敵な記事にも出会った。
うん、やっぱあんたすごいよ、さくらももこさん(ももこ風の口調で)。
まだ自分の使命は見つかっていない。
でも、今はそれでいいのだ。
人生は後半へつづく。
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