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食べるの始末「大根」
「野菜ね、分解してみるといいよ。それぞれの美味しい食べ方があるから。」
というのは、私の野菜師匠の口癖。
何十回と聞かされて(教えて下さって)染み付いたその教えは、日々料理する上でもはや意識することもないのですが、こと「大根」に関しては別。
大根まるごと一本を目の前にすると、葉っぱはこう、上1/3はこうして、真ん中はああして、下の部分はそうしようかとしっかり予定をたててしまうのです。
で、必ず上から食べていくのが個人的な決まりごと。
なんでだろ?
寒い時期の大根は、甘いですよね。
とくに土から顔を出している大根の肩(青首でいうと青いところ)は、そのまま生で食べても煮てもそれはそれは甘くて美味しい。
その感覚で上から食べ勧めていくと、ある地点から急に辛味がでてきて不意をつかれます。
おろしても、「んー(涙)、辛い辛い辛い!!!」
炒めても、「んー(涙)、ちょっとエグい!!!」
甘々な日々が終わった瞬間です。
しかし甘々が終わったからといって、じゃさようならと捨ててしまったら、その先にある幸せを知ることができないのでは!?(恋愛の話ではございません)
甘々が終わったら、少しそっとしておきましょう。
数日、いや数時間でも離れたら、また違う良さを感じることができるんです。(恋愛の話ではございません)
辛味成分は、揮発性。
大根のしっぽ(と我が家では呼ばれていました)は、半日〜数日干しておけば辛みは和らぎます。
辛味大根は別ですが、青首や三浦大根くらいのピリッとした辛みであれば、ちょっと表面が乾いてきたかなぁくらいでも大丈夫。
切り干し大根のように使いたいときは天日でしっかり干しますが、今回はゴロゴロした大根を食べたかったので、大きくカットして窓際に放置しておきました。
朝干して仕事に行き、家に帰ると表面の水分はすっかり抜けている状態。
大根のしっぽで私がよく作るのは炒めものです。
この日の気分はこってり黒酢炒め!
大根のしっぽと、この日一緒に干していたれんこん、残っていた人参の端っこも入れてごま油で炒めたら、みりんを投入。
みりんのアルコールが飛んでとろみが出てきたら黒酢をいれ、酸味がわーっと上がってくるまでは強火、酸味の風がおさまったら醤油をインして中火にして煮込みます。
甘酸っぱい自分好みの味をここで整えておくと失敗なし。
水分が減ってきたら水で溶いておいた葛(片栗粉でも)をいれて、すぐ火を止めます。
火を消してからとろみが出るまで混ぜると焦げる心配がないので安心なんです。
某大◯屋でも人気のメニュー、根菜の黒酢あんかけのできあがり。
ご飯がすすみます!
一人暮らしだし食べきれないかもと、昔は半分や1/4にカットされた大根を買うこともありました。
でも今はどんな野菜でも基本はまるごと買いです。
解体する楽しみがあるから。
今日は上の甘々な部分をふろふき大根にしようとか、今日はまんなかのみずみずしいところを千切りにしてサラダにしようとか、しっぽは干して炒めようとか、葉っぱは塩もみして菜めしにしようとか、もう一週間大根祭り!!!
ひとり大根祭りや白菜祭りを楽しんでいる間に、もうすぐ節分。
この冬は家に友人をよぶことも控えていたので、言葉通りひとりで祭りを繰り広げておりました。
次の冬はみんなでお祭りしたいなぁ…。