不登校の高校生の彼の「親の決意」
「今の高校」は、地域の中での進学トップ校では決してないものの、それなりに大学への進学実績がある。
大学進学を目指す彼にとって、「今の高校」は、同じ目標を持つ同級生とともに勉強できる。課題をこなしていくのは大変だが、しっかりと進めていけばそれなりの学力はついてくる。
部活にも真摯に一緒に取り組める仲間がいる。そんな仲間とのつながりは人生において大きな財産になる。
そういう良い環境が「今の高校」にはある。
ほとんどの学生は上手く、または良い意味で適当にその環境に合わせているのだから、彼がゆっくりと合わせていくのが良いと思っていた。
ぽつりぽつりではあるけれど、彼の話を聴き、彼に私の話を聴いてもらった。そして彼には社会に出て自立する気持ちがあることを確認できた。
その気持ちがあるのならば、「今の高校」にこだわる必要は無いと思えるようになった。
インターネットで調べに調べたら、
通信制高校も様々あり、多くの学生が学び、高校生活を楽しんでいることを知った。
何よりもまだ高校1年の5月だ。行きたくても行けない学校に、これから先の3年間、果たして心から楽しいと思い通うことができるのだろうか、辛い気持ちを抱えながら何とか過ごすことができたとして、それが本当に彼の人生の糧になるのかと思った。
そう彼の人生だ。
彼が「今の高校」に適応するように頑張ることを望むならそれを応援する。
彼が「今の高校」とは別の道を進むことを望むならそれを応援する。
彼の進む道は彼が決める。
当たり前のことを改めて思えるようになった。
「課題の分離」*
私はずいぶんと楽になった。
しかし、これが一時、彼を苦しめることになった。
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