日比野ナカ

ありふれた日常を過ごすどこにでもいる人ですが、そんな日常にも物語があって、そんな自身の…

日比野ナカ

ありふれた日常を過ごすどこにでもいる人ですが、そんな日常にも物語があって、そんな自身の想像、体験、感情を基にした物語を伝えてみようと思います。

マガジン

  • 不登校の高校生の彼

    不登校の高校生の彼の、不登校の高校生の彼との物語

最近の記事

どういう人生を歩むのがいいんだろう

彼が不登校まっただ中の頃、 「どういう人生を歩むのがいいんだろうと色々考えるわ」と夫が言った。 親それぞれが大学を卒業し、また、大学で学んだことが今の仕事に繋がっていることから、子ども達は大学進学をすることを前提として、勉強の大事さを伝え、また教育資金も準備してきた。 大学進学を子どもが希望するならば、進学実績がある高校へと思っている。一緒に頑張れる仲間がいた方がいいという思いからで、それは変わらない。 彼は大学進学を希望している。 彼が希望するなら応援するが、 自立す

    • 反抗期の子どもとどう付き合うか

      ベッドでスマホを見ている第二子に話しかける。 「明日、雨予報だけど、車で送った方がいい?」 「‥‥‥」 「車で送るなら、お母さんの朝の予定が変わるから早めに言って」 「‥‥‥」 自転車通学の第二子は雨の日は時々送迎を希望する。その相談をしたいのに無視だ。 突然のことで決められないなら、そう返事をすればいいものを、「無視とはどういうことだ」と、一言、言いたくなるが、「同じ土俵に上がるな」と自分に言い聞かせ、その場を去る。 第二子は典型的な「反抗期」だ。 こちらから話し掛ける

      • 同じ言葉でも、同じようには伝わらない。

        「こんにちは!」 今日も元気な声で納品に来た。 初夏から担当になった社会人2年目の新人営業さんだ。ちょっと失敗が多いけれど憎めない。 彼は愛嬌がとてもある。 「すみません」 「ありがとうございます」 の言葉がしっかりと言える。 そして、その響きがとても心地よい。 そんな話を隣の席の社員さんにしたら、 「彼は調子が良いだけで、彼の言葉は薄っぺらい」と返事がきた。 同じ言葉でもどうしてこうも相手によって伝わり方が違うのだろうか。 一つ一つに様々な側面があるのだと改めて考え

        • 子どもの心配はいつまで続くのだろうか

          猛暑日が続く頃、高校の同級生とランチに行った。 本音で話せる友人だ。 息子が不登校であることは、すでに打ち明けていた。 友人の息子さんは有名私立大学の3回生。昨年度、休学し、今年度も休学をしている。 「本当、お互い、心配があるね」 「これからどうするの?」 「留年が決まったからね、10月から通信制高校へ転校するかな」 「そっか、無事に転校できたらいいね」 「Tくんはどう?大学を休学して何してる?」 「聞いてよ。去年はさ、留学したいって言って、カナダに語学留学したから、まぁい

        どういう人生を歩むのがいいんだろう

        マガジン

        • 不登校の高校生の彼
          15本

        記事

          不登校の高校生の彼の「新しい道」

          何回、高校の受付で先生を呼び出して頂いたであろうか。 泣きそうになるのを必死に堪えたり、 在校生の元気な姿を羨ましく思ったりしたが、それも今日で最後だ。 転学の書類を書きながら、先生と雑談をする。 「18日しか出席してなかったんですね」 「私もそんなに少なかったのかと思いました。席が前だったので、入学当初からよくお話したんですよ」 「短い期間でしたが、学校に行けなくなってからも色々と考えてくださってありがとうございました」 不登校が始まった頃は、高校に対して様々な感情があ

          不登校の高校生の彼の「新しい道」

          子どもが不登校になった時に、親の私が助けられたところー未来地図

          彼が「学校に行かない」ことを決めたその時から、それはそれは、あらゆる検索ワードでネットの世界に溢れている情報を探した。 一時期、全ての広告が不登校関連であったと言っても過言ではないと思っている。 経験者、家族、支援者、様々な方が情報を発信している。 心配で弱ってる心につけ込むかのようなサイトもあるようにも思う。 見ている側も心をしっかり持たないといけないと思った。 来る日も来る日も、ネットの世界に「何か」を求めていた時に、同じ不登校の高校生の親さんが綴っておられるブログに

          子どもが不登校になった時に、親の私が助けられたところー未来地図

          子どもが不登校になった時に、親の私が相談したところースクールカウンセラー

          不登校の彼は、 「なんでこんなことになったのか?」 「しんどい、どうしたらいい?」 と、何度も何度も口にする。 心療内科に「何か」を求めたが、「まずはゆっくり休みましょう」であった。学校を休むことは決めたけれど、彼の不安を取り除くには不十分だった。 そして、親にも彼の不安を取り除く言葉はなかった。 「もう何回も同じような話をしているよね。お母さんもどうしたらいいか分からないから、専門の先生に話を聴いてもらおう。学校とは別のところにもスクールカウンセラーさんに話を聴いてもら

          子どもが不登校になった時に、親の私が相談したところースクールカウンセラー

          子どもが不登校になった時に、親の私が相談したところー心療内科

          高校生の彼が学校を休み始めた時の彼の絶望的な声を聞いた時、これはすぐに解決できないと直感した。 休み始めて3日目、心療内科を受診することを彼に提案したところ、前向きな答えが返ってきた。 初診のweb予約の備考欄にしっかりと状況を記載したのがよかったのか、1週間後に受診できることになった。 先生の診断は「適応障害」 ゆっくりと話しを聴いてもらいたかったが、時間がないことがこちらにも伝わるような話し方で、親子共々ガッカリした。 よかったことは、早めの診断で、診断書が学校に提出

          子どもが不登校になった時に、親の私が相談したところー心療内科

          不登校の高校生の彼の「親それぞれの気持ち」

          彼の不登校がはじまってから、彼の父親は大きく見守っていた。 「無理をしない」「無理はさせない」というのが不登校への対処方法。 それを理解しようとし、彼の「学校に行かない」気持ちを尊重していた。 当初は元気になることだけを願っていたが、 決断に迫られた時、 「時間はかかっても、いつか今の学校に再び登校する」に気持ちが傾く父親 「今の高校は辞めて、通信制高校に転校する」に気持ちが傾く母親 と意見のすれ違いが浮き彫りになった。 留年が決まり、 彼は、通信制高校へ行く気持ちを固め

          不登校の高校生の彼の「親それぞれの気持ち」

          不登校の高校生の彼の「通信制高校を決めるまで」

          「学校を辞めて、通信制高校に行きたい」 この言葉から始まった不登校。 彼は当初から通信制高校への転校を考えていたようだ。 そんな彼は、時々、広く名の知れた通信制高校の名前を口にしていた。調べてみると、とても魅力的で様々な経験ができる高校であった。 我が家から通学可能な範囲にサポート校があるので、転校を視野に、彼とこれからのことを話した。 できれば週5日通学したい できれば大学に進学したい サポート校で、彼の希望は叶いそうだ。 ただ週5日通い、大学進学のサポートも受ける

          不登校の高校生の彼の「通信制高校を決めるまで」

          不登校の高校生の彼の「決断」

          彼にとって大きな決断が二度あった。 一度目は、「定期テストを受けるか受けないか」だ。 学校には全く行けそうにない。 ただ、定期テストを受けないと評価は各段に悪くなる。 様々な大学入試の方法がある中で、高校1年生の評価が大事になるかもしれない。そういうことが分かっているので、それをここで放棄していいのかと葛藤している。 「どうしよう、どうしよう」 少しでも楽になるようにと高校に相談して「別室」を用意してもらえることとなった。 定期テスト前日 「あああああ」文字通りの言葉

          不登校の高校生の彼の「決断」

          不登校の高校生の彼の「親の決意」

          「今の高校」は、地域の中での進学トップ校では決してないものの、それなりに大学への進学実績がある。 大学進学を目指す彼にとって、「今の高校」は、同じ目標を持つ同級生とともに勉強できる。課題をこなしていくのは大変だが、しっかりと進めていけばそれなりの学力はついてくる。 部活にも真摯に一緒に取り組める仲間がいる。そんな仲間とのつながりは人生において大きな財産になる。 そういう良い環境が「今の高校」にはある。 ほとんどの学生は上手く、または良い意味で適当にその環境に合わせているのだ

          不登校の高校生の彼の「親の決意」

          不登校の高校生の彼の「親の葛藤」

          1日が過ぎた。 翌日の学校をどうするか確認したら、「行けるかもしれないから、7時に声を掛けて」と言う。 その言葉に期待をするが、翌朝の彼は起きるのも辛そうで、学校の話はできなかった。 私はもう一日、仕事を休んだ。 暇さえあればゲームに動画視聴にスマホを触っていた彼が、ずっとベッドで過ごしている。スマホは見ているようだが、ただ眺めているだけのようだった。 時々話しかけてきて、ぽつりぽつりと今の気持ちを伝えてくれた。 「しんどい」状況から離れるために、部活を休部すること、大学受

          不登校の高校生の彼の「親の葛藤」

          不登校の高校生の彼の「はじまり」

          連休最終日、翌日の仕事に備え、早めに寝る準備をしていた私に彼はこう言った。 「学校を辞めて、通信制高校に行きたい」 突然のことで言葉が出ない私に、彼は高校の嫌なところを説明し続けた。 クラスや部活の人間関係には問題がないことは確認した。その上で、説明を聞いても、それが辞める理由には思えず、 「学校辞めて、通信制高校に行きたいと言われ て、わかった、はい、いいですよと言えるわけないよね  人生が変わる大きな決断だから、ゆっくり考えよう  とにかく明日は学校は休めばいいよ」 と

          不登校の高校生の彼の「はじまり」

          不登校の高校生の彼の「はじまりの前ー高校受験から高校入学」

          中学3年生の冬 高校受験を控えている彼は毎日のように塾に通っていた。 勉強も部活も頑張りたい。 彼は「文武両道」を誇る高校をを目指していた。合格圏にいるものの、心配性の性格からか、本当に一生懸命に勉強に励んでいた。 頑張りがを結び、無事に合格を手にした彼は、 「部活はいつから始まるかな」 「1年生から大学進学を目指して頑張りたいから、塾に行きたいな」 とやる気に満ち溢れた言葉をいくつもいくつも口にしていた。 彼の希望を全て叶えるのにはそれ相応の努力が必要だ。 一年生から大

          不登校の高校生の彼の「はじまりの前ー高校受験から高校入学」

          不登校の高校生の彼の「夏休みの終わり」

          8月31日、不登校の彼は体調が悪そうだ。 お守り代わりにと心療内科から処方してもらった薬をのんだ。 「今日は大阪に行ってくる」 「今日はゲーセンで遊びんでくる」 「今日の夜はラーメン食べに行く」 夏休みは、中学時代の友達と色々遊んだ。 居心地のいい友達と楽しい時間を過ごした。 夏休みが終わって学校に通う友達と、 夏休みが終わって家で過ごす彼。 「学校に行けていない」現実と再び向かい合って、少し身体が悲鳴をあげているようだ。 10月から通信制高校へ転校する方向で準備を進

          不登校の高校生の彼の「夏休みの終わり」