いざラップランドへ
学期が変わるごとに新しい友達ができるものだったのだが、今学期の生物のコースでは友達ができなかった。初回の授業でたまたま遅れて最後列の席しか空いてなかったのだが、右隣は結局最後までひとりでスマホゲームをやり通した。全ての授業の全ての時間を費やすその情熱を邪魔する勇気はなかった。左隣はカップルだったのだが、割と早い段階で授業に来なくなったのでほぼ空席。前列は女子のグループで不要に話しかけようとも思わなかった。さらに、細胞生物学のコースはフィンランド語で全ての課題をこなすのは難しいだろうということで、留学生の僕に特別に選択肢が与えられ、個人の課題を一人で進めることになったのでもはや教室にいる意味がなくなった。何をしたい?と聞かれたので、細胞の絵を描きたいと言ったら、それが僕のこのコースでの課題となった。そういうわけで、ずっとミトコンドリアや細胞膜のモデルをシャーペン1本で描いていた。
そんなこんなで今学期も終わり、今日から期末試験週間。ただ僕は、1週間ラップランドに旅行する。フィンランド中からくる約100人の留学生と氷点下20度の世界が待っている。
その若い生物教師に試験に出られないと伝えたら、ラップランドでやって良いよということだった。このフィンランドの高校も、若い先生ほど柔軟性があったり、奇抜な発想で授業をする。同じ英語のコースを訳あって2学期分受けたのだが、教材も学習内容も同じなのに教師ごとに全くもって異なる授業を展開する。正直、若い教師の授業の方が楽しいし工夫されている。日本の公立進学校に集まったベテラン教師たちの、何十年使いまわしたか分からないようなオリジナル教材を読み上げるだけの授業を思い出してしまった。
留学が終わったら大学で勉強したいのだが、日本の大学へ行くなら受験を通過しなくてはいけない。人によっては、受験勉強は必要かもしれない、メリットかもしれない、でも自分には必要ないのではないか。学校のコンピュータの都合で3週間越しに日本の担任の先生から来たメールの返信に、クラスの様子を思い浮かべながらそう思った。だから、このラップランド旅行は全部忘れて頭をフィンランド語から英語に切替え、フレッシュに新たな世界を見てこようと思う。
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