人間は物ではありません
悪い部分があったらips細胞で培養して交換すればよい。
エネルギーがなくなったら食べ物を補給すればよい。
だとすると人間は物と同じだということになる。
人間が物と同じなら。
氷に触れるときに自分の手が冷たければ、氷との温度差は少なくなるわけだからあまり冷たくは感じないはず。
ところが実際には氷に触れるときに自分の手が温かいとあまり冷たく感じない。
自分の手が冷えていると氷をとても冷たく感じてしまう。
人間が物であれば。
仕事が終わって疲れたときには食べないとエネルギーは出てこないはず。
けれども、疲れていても酒好きの人なら飲みに誘われると途端に元気になる。
まだ告白もしていない好きな異性から食事にでも誘われようものなら、もっと元気になっちゃう。
まだ食べていないのに。
引越しで働いていたとき。
1日2件の現場をこなして18時か19時には帰社するのがいつものコース。
ある時20時になってもまだまだ終わらない現場があった。
3階建てで、奥まったところに建っていてトラックが家の前に止めらない。
荷物の大部分は2階と3階に運び込まなくちゃいけないのに、階段が狭くて家具がとおせない。
家具や大物家電は釣りでベランダから入れないといけないという現場。
みんな顔が疲れ切っていた。
それなのに、お客さんが1人につき5千円のご祝儀を下さった途端に笑っちゃうくらいみんなの顔にやる気がみなぎった。
日給12000円で5千円のご祝儀は大きいし、そもそもご祝儀5千円だしてくれるお客さんなんてほとんどいないからね。
やったー、とエネルギーが湧き起こってしまったわけ。
美味しいイタリアンのお店に行っても、仕事の付き合いなどで嫌々ながら食べるのと、恋人と食べるのでは感じる味はまったく違う。
恋人の舐めていた飴玉を口に入れられたら嬉しいのに、ルンペンの舐めていた飴玉を口に入れられたらどうだろう。
唾液成分ペプシンはまったく同じなのに、気分だけじゃなくって実際に体調にまで変化をきたしてしまう。
間違いなくその日の気分は最悪だ。
人間は物ではない。
TV番組でチアリーディング部の高校生が顧問の先生へのお礼に木村拓哉をサプライズで招くというバラエティ番組。
先生は50くらいの女性。
先生は生徒みんなが知っている木村拓哉の熱狂的なファン。
木村拓哉が現れた時の先生のリアクションが凄かった。
飛び上がって、叫んで、全身が沸き立つエネルギー。
そして木村拓哉に抱きしめられて。
彼女は一生忘れないだろう。
人生という時の流れの中で猛烈に濃い時間として彼女の中に刻まれる。
そのエネルギーは何処から来たのだろう。
人間は物ではない。
自発的な要求がエネルギーを生み出すのが生き物と物体との決定的な違いであり、要は気が集まっているかどうか。
根本エネルギーが気なのに、気のことについてこれほどまで問題にされていないという事実に驚きを隠せない。
人間を突き動かしているエネルギーが分かってくるとまず整えなきゃいけないものが見えてきます。
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