変えたいのは腫瘍という実じゃない。実を生み出すカラダという土壌。
太腿に出来た腫瘍を摘出する手術が来月に決まっている人が来室された。
全身麻酔の事前検査の日までも時間はあまりなかった。
ご本人は出来れば手術をしたくないとお不動さんに毎日祈願参拝されていた。
腫瘍はカラダという土壌が作り出した実。収穫物ってだけ。
医者は腫瘍を切除したら手術成功と見なすのかもしれない。
それは実を切り取っただけ。
土壌はそのままなんだから時間が経てば再び同じ実をつける。
整体指導では病気を診るんじゃなくて、心身を観ている。
土壌がどうなっているかを観察している。
実際に観察してみると
太腿の腫瘍よりも圧倒的に気になる部分を抱えているカラダだった。
カラダは異常や疲労が生じると
まずは異常を感じて、回復させようとする働きが生じる。
生体恒常性=ホメオスタシス
だからこそ整体指導においては病気治しじゃなくって
ホメオスタシスが動ける本来の在り方、整体かどうかを観ていく。
彼女のカラダが気になったのはホメオスタシスが動いていないカラダだったから。
異常を感じられない麻痺が拡がっている状態だった。
ご本人いわく、寒さや暑さもあまり感じない。
それどころか空腹かどうかも感じない。
だから空腹なことに気がつかず、いきなり倒れて救急搬送されたこともあるらしい。
「感じない」不感症の在り方を完成させてしまっている人だった。
通常は不感症の完全態になってしまった人が整体指導室を尋ねてくることはない。
たまたま腫瘍が大きくて押すと痛かったこと、
紹介された大病院で手術と言われたことで危機感を感じて訪ねて来られた。
ぼくが行っているのは整体指導なので手術が回避できるかどうかは分からない。
ただ言えることはホメオスタシスが動いたら
在り方の土壌が変わったら
腫瘍が変化する可能性があるだろうということだけだった。
だから整体指導をきっかけにして
カラダが動き出してくれれば変わる可能性があるし、
動き出してくれなかったら手術は回避できない。
通常は次回来るようにとは声は掛けない。
けれども手術前の最終検査まで1ヵ月残されていなかった。
もしカラダが動き出して変化が感じられたら
なるべく早いタイミングで来室されるのが望ましいとお答えしてお帰りいただいた。
結局、彼女は20日間のあいだに3回来室された。
すべて彼女から自発的に整体指導の依頼がきた。
毎回、整体指導の後は立ち上がれない程ぐったりされて帰っていかれる。
カラダが確実に動き出してくれていた。
発熱、頭痛、皮膚からの排泄、いつもより臭い尿など
カラダは確実に動き出してくれていた。
そして35℃だった平熱が36℃台に変わっていた。
10日後の2度目の来室時には探さないと分からないほど腫瘍が小さくなっていた。
そして20日後の3回目の来室時には腫瘍は探しても分からなくなっていた。
数日にわたって頭痛に耐えたり
こんこんと眠ったり
数日便秘になってみたり
ホメオスタシスが動き続けてくれたからこその変化だった。
ちなみにぼくが働きかけても動き出してくれないカラダもいる。
だから変化をもたらしたのはホメオスタシスのお蔭。
手術前の最終検査で病院から手術不要と言われましたと
彼女から喜びの報告が届いた。
整体指導で関わらせていただいたぼくとしても嬉しいことには違いないんだけど
もともと腫瘍よりも気になっていた不感症のカラダの鈍りは残されたまま。
不感症を生み出した最初の1点はまったく変わっていない。
整体指導の目標はあくまでも土壌改良。
感じられないカラダ→感じられるカラダへ
活元運動が出るようになって土壌が変わってくれば、
大元の1点も変化をしてゆく。
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