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そのおじさんって、お不動さんですやん。

太腿の内側に押すと痛いシコリが確認できた。

総合病院で精密検査やMRIを撮っても不明。

悪性の可能性があるとのことで来月全身麻酔で生体検査を行うと決まった。

病院側からは同意があればその後に切除の手術をしましょうとの説明があった。



シコリが気になってからお不動さんにお参りを始めた。

和尚さんの朝の勤行に相伴させてもらい

足が治りますよう、手術をしないで済みますようにと

お不動さんに祈願するようになった。


ぼくのブログは以前から読んで気にはなっていた。


そんな中、突如ぼくの整体指導を受けるのなら今だと

雷に打たれたように思い立ち、訪ねて来られた。


病気のことをブログに書いている人は多い。

中にはシコリを切除しました。

もう3回目です、なんて書いている方までいる。



シコリ、腫瘍、ガングリオン

どんなものであっても、それはカラダという土壌が産み出した実。



土壌であるカラダが同じならば、同じ実が育つのが当たり前。

もう3回も切除しましたなんて人は

死ぬまでにあと何回切除したら気が済むんだろう?


環境をも含めた自分が変わらなければ、カラダという土壌は変わらない。

カラダが変われば、同じものは産み出せなくなる。


来室されたご本人はシコリが無くなってくれればと期待されていた。


実際にカラダに触れて観察したぼくは

シコリよりも弾力を失っている背骨の方が遥かに気になった。

あまりにも硬張っている。

様々な異常を生み出す下ごしらえが完璧に準備されていた。


後日伺ったお話では

カラダの欲求が全く分からないという。

暑い、寒い、お腹が空いた、疲れた

カラダからのメッセージが分からないので突然倒れてしまう。

その原因がただの空腹だったなんてことがよくあるらしい。

過酷な幼少期を過ごされていてカラダの感覚を感じないことで生きて来られた方だった。


生き物にとって、感じない=死

感じることで免疫、ホメオスタシスは働き出す。

「感じない」麻痺が大きく育っていた。


シコリに対しても働きかけは行ったんだけど

整体指導の目的は背骨の弾力を回復させて

ホメオスタシスが働き出すようにサポートすることだった。

「感じない」カラダを「感じられる」カラダへ。

カラダという土壌を変えること。

それこそが最も重要な働きかけになる。


初めての整体指導を終えて礼を交わしたあと

彼女はぐったりして呆然自失となっていた。


ふだん、ぼくは次回また整体指導に来るようには指示を出さない。

まずはカラダが感じられる様になって

感じられる様になった人が自発的に受けたいタイミングで来て欲しいから。


けれども来月手術をする方向で話が進んでいるので

もしカラダの変化が生じたのなら早めに訪ねてくるのが望ましいとだけお伝えさせていただいた。

今年に入ってから、そのようにお伝えした人は初めてだった。


初めて整体指導を受けたその夜

ホメオスタシスが動き出して発熱できたんだそう。

今まで感じたことの無かったカラダが濃厚に感じられる様になって

頭の中に思考がない時間が生まれてきた。


そして1週間後、

毎朝通っていた目赤不動では

お不動さんの日である毎月28日の護摩行が行われていた。

護摩行に参加していた彼女は

突如、頭の中でおじさんの声が

「もう、足は大丈夫だ。」って話しかけてきたのが聞こえたんですって。


その話を聴いたぼくは即座に彼女にツッコミを入れてしまった。

おじさんって!

それお不動さんですやん!

それは目赤不動のお不動さんの声だった。


※目赤不動さん


護摩行の翌日に来室された彼女の太腿のシコリは

触れて探してもなかなか分からない程に小さくなっていた。


たぶん、突如としてぼくの整体指導を受けたいという衝動を湧き起こらせてくれたのも目赤不動さんだったんじゃないだろうか。

また挨拶に伺ってみたい仏さんが増えてしまいました。




※文京区の南谷寺(なんこくじ)。五色不動のひとつ、通称・目赤不動。







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