橋を渡ると別世界になっている金村別雷神社。
演出家の故・蜷川幸雄さんが良い作品は最初の5分が勝負と言っていた。
最初の5分で作品の世界観に観客が入れるかどうか。
そこが演出の見せどころでもある。
たしかに宮崎駿さんの作品だと
風の谷のナウシカ
天空の城ラピュタ
もののけ姫
を思い出してみると最初の5分で作品の世界に没入できちゃってる。
ナウシカがオームからユパを助けるまで
シータが飛行船から落下してしまうまで
アシタカがたたり神を倒すまで
観ているぼくらは別世界に連れ去られてしまっているもんね。
神社参拝でいうと
伊勢神宮は五十鈴川を渡ることで気分が変わるでしょ。
山の山頂にある神社なら、山を登ることで気分が変わる。
非日常へ入っていける。
今回出会ったのは
鳥居にたどり着くまでに別世界に連れて行ってくれる神社。
それが小貝川の河川敷のなかに鎮座している金村別雷神社(かなむらわけいかづちじんじゃ)。
茨城県つくば市の神社です。
ただし別世界を存分に堪能するのには条件があって
小貝川に架かっている福雷橋を西岸(常総市)から渡って神社に行くこと。
小さな福雷橋には通行制限があって、幅2M、高さ2.7M、重量2t。
バイクか軽自動車なら問題なく通行できるという橋。
ナビに導かれて福雷橋を渡ると
向こう岸(小貝川・東岸)に鳥居が見えてきた。
この風景に出会えただけで
この神社に来てよかったと思ってしまった。
鳥居をくぐる前
福雷橋の上ですでに金村別雷神社の世界に入っていけちゃう。
とっても風情がある神社。
江戸時代には参道の両脇にあった30軒の茶屋は
1960年代に河川の中に人が住むことはならずと法律ができて
今は跡形もなくなっている。
毎月第二土曜日は骨董市が開かれているみたい。
ぼくが参拝した日、神社は無人だった。
参拝している30分ほどのあいだ
ずっとひとり。
朗々と祝詞を奏上してみると
鳥の鳴き声や吹きかけてくる風や紙垂が鳴り出して
不思議と温かくてとっても心地がいい。
本殿裏には10以上の摂社があった。
さすがに全部の神さまに祝詞はあげられないので
識子さん情報で
寂れてしまっても見えない世界では残っておられることが多いという
お稲荷さんの前で祝詞を奏上してみた。
本殿の前に戻っても
やはり誰も来る気配はない。
ふたたび本殿前で合掌しながらたたずんでみる。
たたずみながら脳内で神さまに向けて話しかけていたんだけど
摂社の神さまたちの繁栄を願った瞬間
頭上の紙垂が不自然にバタバタと鳴りだした。
あっ、この会話は神さまたちに通じている
そう分からせてくれるサイン。
金村別雷神社は931年に京都の上賀茂神社から分霊された神社。
いったいどんな神さまがいるんだろう。
温かくて居心地の良い神社でした。
振り返ってみると河川敷の神社って初めての参拝かも。
住宅地を走ってきて福雷橋を渡ると
そこは金村別雷神社の静かな別世界が広がっていました。
とっても素敵な神社なので
季節が巡ったらまた参拝に行っちゃいます。