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楽になることを突き詰めたところは『死』である

ガス中毒で死ぬ間際までいった方が野口先生に語った言葉。


あんなに気持ちのいいことはなかった。

あのまま死んでしまうのなら、死ぬのは実に楽ですね。

けれども息が戻ってからというものは急に苦しくなった。

こんなに苦しいのなら生きるなんて嫌なことだと思いました。



楽になるというのは、死んだということと同じ。

楽になることを突き詰めたところは『死』

異常があるのに異常を感じなくなったら

カラダが鈍ってきたということ。

苦しいというのは、生きようとする動きが

カラダの中に起こっているということ。



この野口先生の解説を読んでいて

自分自身の体験を思い出した。


自分の実家のようにくつろがせてもらっている親友の実家がある。

夏休みに泊まりに行ったときに庭でバーベキューをしていただいた。

焼き台を2つ用意して、そのうちの1つの火おこしを任された。


そこ山口県は東京よりも日が落ちるのが遅い。

夕方だけど十分に熱気がこもっていて

汗がしたたりだした。

昼間は船で海遊びに連れてもらって心地よい疲れを感じる。

腹ペコだった。

なぜか友達に破れた団扇を渡されて

いざ火おこしを始めたんだけど全然炭に火が点かない。

え~~、全然火が点かないんですけど~


いいこと思いついた。

自分は声も大きくて肺活量もあるので

こんな破れた団扇であおぐより

口で吹いた方が早いじゃんと。


そして実行してみた。

実行に移した瞬間に死んだ。


正確にいうと

この世界に生まれてから

「寝る」以外で初めて意識が途切れた瞬間だった。


人生という映画のなかで「寝る」以外で初めて

スクリーンが真っ暗になったのでした。




なんか遠くで名前を呼ばれているような気がする。

いや、呼ばれている?

日比さーん、日比さーん、日比さーん

あれっ

カラダが大きく揺さぶられている?


次の瞬間

ぼんやりとした意識の中で

目を開いた。


そのとき外の世界ではどうなっていたのか。

友人たち談だと

いきなりぼくが後ろに倒れて痙攣した。

みんな一瞬何が起こったのか理解できずにフリーズ。

直後に、痙攣しているぼくに駆け寄って

揺すぶりながら大声で叫んだのだそう。


一酸化炭素中毒 (>_<)


完全に意識が飛んでしまったので

目を覚ました直後は

自分がどこにいるのかさえ認識できなかった。

意識が途切れたことすら気づかないほど

一瞬のことだった。

あのまま死んでいたら

自分が死んだことにすら気がつけない。


ぼくは人一倍汗っかきで

むかし夏場は武術の先生がぼくの胴着があまりにビチョビチョなので触れるのを躊躇するくらい

その汗が完全に止まっていた。

なんか朦朧としていて

世界がゆっくりになっていた。

これ、やばいなって

どれくらい影響が出ている?

野口整体の先生に電話をして処置を仰ぐことにした。


整体指導中に電話に出るなんてことはあり得ないんだけど

電話口のぼくが一酸化炭素中毒なんですと伝えると

先生に電話を取り次いでもらえ

先生が指導を中断して電話口に出てきてくれた。


頭部のガス中毒の調整点を押さること。

背骨に気を通すように。

2点の処置を教わった。


ふだんなら自分の背骨に気を通していくと

背骨がボキボキ音をたてて整っていくんだけど

まったく気が通らなかった。


やっぱりかあ

結構、深刻なダメージかも。

食欲もそんなに湧かず、早めに休ませてもらうことにした。


どれくらい時間が経っていたんだろう。

みんなが寝鎮まった夜中に

ようやく自分の背骨に気を通すことができた。

気が通った瞬間

いつものように真夏の大汗が流れ出した。

そしてお腹にも息が入るようになった。

ベールを被っているようにしか感じられなくなっていた世界を

再び明確に感じられるようになっていた。


楽になる

感じないというのは

文字通り『死』に通じるのだということを実感した真夏の夜の出来事。














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