表の世界と、裏の世界。
移動手段が電車やバスだけだったときは
行きたい神社を見つけたら
まず交通手段があるのかどうかを調べていた。
交通手段がなければ今は行けない。
電車で行けるエリアが自分にとって存在している表の世界。
駅から離れていて路線バスも通っていない場所は行くことのできない裏の世界だった。
ところがバイクを手に入れて世界がひっくり返った。
道路さえあればどこにでも行けちゃう。
目的地をGoogleMAPに設定すれば
最短時間のルートを表示してくれる。
すると今までの自分にとって裏の世界だった場所に導かれることが多い。
駅から離れた人口の少ないエリアであるほど道路は空いているし
なにより大型河川沿いの道には信号がないの。
利根川沿いや江戸川沿いは
下手をすると10Kmくらい信号なしで走っていけちゃう。
今まで行ったことも、聞いたこともない町がそこにはあった。
江戸川の東岸を北上する道もよくGoogleMAPが提案してくれるルート。
その道を走っていたら古い商店街に出会った。
埼玉県の北東、千葉県と茨城県の県境近く。
都内でも数が減少している和菓子屋が2軒もあったり
古びた仕出し屋の看板もかかっていた。
京都の祇園近辺だと料理の仕出し屋が発達している。
時が止まったような商店街
しかも最寄り駅がない商店街に仕出し屋の看板。
仕出し屋があったってことはかつて賑わっていた時代があったことを示していた。
いったいここはどういった場所なんだろう。
自然と興味が湧いた。
ぼくが知らない観光スポットや寺社仏閣があるんだろうか。
そのときはそんな思いが脳裏によぎっただけで通り過ぎた。
帰宅してGoogleMAPを眺めてみた。
とっても印象的な地名だったので覚えている。
宝珠花。
「ほうしゅばな」と読むらしい。
縁起のよさそうな名前。
知らない有名なお寺でもあるのかしら。
MAPで見る限り観光スポットらしきものは確認できなかった。
地名の名前がついている宝珠花神社に行ってみたら謎が解けるかも。
ブックマークしておいた地域の氏神神社らしき宝珠花神社に行ってみました。
都内では桜が満開となっていたこの日。
いつものように江戸川沿いを北上していくと
1週間後に来たら見頃かなと思わせる赤い蕾をつけた桜並木があった。
この日の目的地には桜の名所の神社も含まれていたので
ちょっぴり桜には早いかなあと思いつつ
バイクを北へ走らせていた。
そんな想いを抱いて地域の氏神神社と思われる宝珠花神社に到着すると
不思議なことに境内に1本だけある桜が満開で出迎えてくれました。
境内にある説明書きを読んだら
ぼくが抱いていた疑問が解けました。
宝珠花地区はかつて表の世界だった場所でした。
現代の国内物流の主流はトラック輸送。
それ以前は鉄道輸送。
もっと以前が河川を使った船の輸送。
その河川輸送の拠点として栄えていた場所だったのでした。
古びた仕出し屋の看板はかつての栄華の痕跡。
宝珠花神社は小さな神社ですが、
登れる見晴らしのいい富士塚もある明るい空気の神社でした。
時代によっても表と裏は変化するし
自分の行動様式によって表と裏は変化する。
それにしても縁起のよさそうな地名だよね「宝珠花」って。
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