憧れの深掘り

ピーヒョロピーヒョロ。。。。


今日もトンビが鳴いている。
見上げると電信柱のてっぺんを器用に陣取っている。

「おはよう。」一応挨拶。


そのうち、遠くからピーヒョロと聞こえた。飛び立ったようだ。

くるくる、くーるくると。気持ちよさそうに夏の青空で暇を潰している。


羨ましい。この縦横無尽な飛び方。


私は「捕食動物」というジャンルが好きだ。

なぜだか、いつからか、わからない。なんだか憧れる。

今飼育している動物といえば「うさぎ」。
完全に程遠い激弱草食動物だ。

クーラーの当たるソファにころんと座っている。

時々、抱き上げられようものなら、
目はまんまるく固まって、この世の終わりのような表情を見せる。
まさに「捕食される側の動物」だ。

丸いフォルムで愛くるしい動作から癒しを求める一方で、
いつも「捕食動物」への憧れが再燃する。



いつだか、近所の人にこう聞いた。

「トンビに向かって、餌を見せてみな。BBQの時にでも。肉がいい。

 くるくると数回上を旋回して、ぐーっと下降する瞬間がある。

 その時にパッと肉を天に放るんだ。うまくキャッチするぞ。

 昔はよく手懐けたもんだよ。俺のトンビ、今どこいったかなー。


そんなことを聞いて、妙に憧れに張り付いた。
それから数日トンビに向かって精進したのは言うまでもない。

うまくいかなかった。旋回するどころか。
ただ箸で挟んだ餌を天に向けて突っ立っている、シュールな絵だった。

後で知った話、
トンビは「カラス」と似た習性を持つ。

少し、イメージと違った。

確かに、カラスとは、いつもちょっかいを掛け合っている。
ライバルなのだ。

そうか。都会ではカラス。田舎ではトンビ。


トンビへのリスペクトが少し減ってしまった。
それから挨拶が軽めになった。なんか、日常っぽさを感じてしまったのだ。

捕食動物にもいろいろいるんだと学んだ。

私はもっとこう、野生的で本能的で、鋭く敵を狙う。
そんな動物に憧れていたのか。

きっとお互いに思うことはあるだろう、と。

これ以上掘り下げるのはやめにして、
憧れをまた探求していこうと思うのだった。

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