女性棋士がいないことの個人的考察
女流棋士が棋士編入試験に挑戦したが、残念ながら合格することができなかった。
いろいろと多くの人が理由を考えているが、その中で競技人口が少ないことを理由に挙げていたことが気になった。
特に、能力に男女差がないと言いつつ、競技人口差が女性棋士がいないことの理由というのは実におかしな話である。
能力に男女差がないならば、競技人口などは関係ない。強ければ棋士になれるという実にわかりやすい図式である。
つまりこれは、今いる女流棋士の方々には才能がないと言っているのと同じで、敬意が感じられない発言のように思う。
確かに、競技人口は多ければ多いほど可能性は高くなるが、プロのチームスポーツとは違い、個人競技においては個人の努力次第の面もあるのではないだろうか。
さて、ここで一つ疑問がある。
本当に将棋の能力に男女差がないのだろうか。
能力に男女差がないならば、すでに女性棋士がいてもいいように思う。なぜなら、今回の挑戦者しかり、日々将棋と向き合い、研鑽している。
努力量や集中力は棋士の人たちと差がないはずで、少なくとも、中学・高校くらいまでは同じくらいの勉強時間を確保できるはずである。
それにもかかわらず、女性棋士が誕生しないというのは、能力の面で男女差があるのではと疑問を持ってもおかしくはないだろう。
プロスポーツ、すなわち身体能力には明確な男女差があるわけだが、この他にも男女差が存在するであろうことがある。
それは「数学」である。
最近の研究では数学も男女差がないと書いているものもあるが、正直、個人的には納得できない。
理由はふたつ。
ひとつ目は、文系と理系の男女比に明確な差があること
二つ目は、数学の点数には2種類の得点方法があること
である。
ひとつ目は説明する必要はないだろう。
問題は二つ目である。
一般的に試験などで数学を解く場合、当然ながら答えがあって、解き方もあり、試験の準備をするわけである。
そうすると数学が苦手な人も点数を取ることができる。いわゆるパターンの暗記である。この問題はこう解く。次の問題はこう解く、といった具合である。
しかしながら、数学の得意な人というのはこのようなパターンの暗記のようなことはせず、考えることで答えを導くのである(ただし、試験は制限時間もあるため、だいたいはパターンを覚えて解いていることが多い)。
当然ながら、パターンの暗記で得点する人には女性が多いことは言うまでもない(当方は塾講師経験者)。
そして、このふたつの解き方で差が出るのは、応用問題や新傾向といった問題である。パターンの暗記の人では明らかに対応することができない。
問題なのは、80点を取ったとして、その80点はパターンの暗記で取ったものなのか、数学的思考を基本として取ったものなのかどうかを判断できないことにある。
だから、数学の男女差がないかどうか試験を行おうとするならば、この問題を解決しなければならないが、今のところ、そのような形跡は見られない。
これらの理由から、女性の方が数学が苦手である可能性が高いと現時点では考えている。
ここでようやく将棋の話に戻るのだが、将棋の本質は数学である。具体的には組み合わせと確率の問題だと思っている。
だからこそ、数学が苦手な傾向にある女性の方が将棋は強くない傾向にあると考えるのである。序盤から中盤まではパターンの暗記で対応できたとしても、終盤に入ってくると思考力(数学的思考)が必要になる。
女流棋士には振り飛車党が多いとも聞く。これも一種の男女差であり、おそらく、理系的かどうかの部分も関係しているのではないだろうか。
しかし、一方、男性棋士でも文系の人が多いではないかと思うだろう。その通りだとは思うのだが、やはり、理系科目が苦手と言えども、女性よりは男性の方がまだ、理系科目に関しての素質があるのではないだろうか。
それからもうひとつ、将棋について重要なのは数学的思考だけでなく暗記も重要なのは言うまでもない。この点は序盤から中盤、終盤にかけては研究されていることが多く、暗記しているかどうかが非常に重要な要素となる。その点を見ると、数学的思考と暗記力をバランスよく高いレベルで持っている人がより強くなるだろう。藤井聡太竜王が読書好きで、社会と数学が好きだということも偶然ではないだろう。
さて、ここまで書いて思うのは、まず、将棋が強くなるには暗記力と数学的思考が重要で、特に数学的思考を持っている人の方が前例のなくなる終盤で力を発揮することができるため、より強くなりやすいだろうということ。
そして、棋士にも文系出身の人がいるということは、女性棋士が誕生する可能性は十分にあるだろうということ。
ただ、女流という制度がある中で、女性棋士を目指す人が出てくるのかどうかということと、勉強方法を確立できているかどうかということは非常に重要な要素になる。
特に勉強方法に関してだが、理系科目が苦手な人ほど勉強の要領が悪い傾向がある(何度も言うが、当方は塾講師経験者)。勉強の要領が悪いのは本質的なことを理解していないためで、そのため、間違った勉強方法を選択していることにある。これは、勉強方法などを公開している人の多くが文系出身の人が多いことも影響しているのだろう。
勉強の要領が悪ければ、当然、勉強の進み具合も遅くなるのは明白であり、どんどんと差が開くのは明白である。
以上が、女性棋士がいない理由の個人的な考察である。
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